桜散るのは夕日の丘か
日暮れ近づく夕日の丘か
散りゆく桜は薄紅色
薄紅色の十二単
十二もまとった春の衣
一枚脱げば夏の予感
呼んでいるのは母の声か
遠い故郷の母 ....
1
縁側につるされた風鈴を
さやかに押すその御手
彼らは海峡をこえてゆく海鳥の
滑空する翼の先端に生まれ
たたみで昼寝をする私の
ほほをなでて死ぬ
2
二人 ....
曼陀羅寺へは湖沼の脇のあぜ道を
通って行かねばならない 丈の低
い湿原植物の群生が道を覆い隠す
ように拡がっている 湖沼にはぼ
んやりと霧が立ちこめ向こう岸は
見えない 風はなく水面はほとん ....
しゃぼん玉が生まれた時
たくさんの仲間がまわりにあふれていた
陽の光はまぶしく
見るものすべてが新鮮だった
子供たちの手が伸びてきて
仲間のいくつかがぱちんと弾けた
悲しかったけれど
....
1
わたしは部屋中の時計の針をとめました
ごめんなさい、毎日の生活に、疲れてしまったのです
今日は、朝は早く起きました、そして歯を磨きました
掃除をしました、洗濯をしました、近くの ....
夕暮れ発 明日行き
手をすり抜けた紙飛行機は
いつまでも落ちない
深まる緑の季節も
夕焼けを背景に影になる
傾いていく時刻に
明日を見ながら祈って
紙飛行機を折る
飛ばした ....
山崎さんは次は自分の番だと思っている
隣の老人はもう逝ってしまった
遠い朝の点呼のように
順序があればいい
そして死にも
牛乳ビンのふた
爪で弾いて
裏が出るか表 ....
音の無い空
音の無い花
近づきながら 離れながら
混じることなく
川の上に重なる川
川を映す川をゆく
花に触れ
鎮む流れ
陽は分かれ
影は過ぎる
花は音 ....
きっと
気付いているのに
気付かない振りでいたんだろう
そこにあるのに
そこにはないと
雨上がりの夕暮れに
乱反射する光と
湿気を含んだ風が
張り付いて
剥がれない
雨に濡 ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
週末の淀んだ駅の構内で
すれ違う人々の心の{ルビ懐=ふところ}に
「ある独りの人」がおり
優しくうつむいていたり
寂しくほほえんでいたりする
「ある独りの人」は
(声をか ....
あちこちに光を反射する海と
緩やかに登っていく山の斜面とに
張り付くような町を
通り過ぎる
ざあざあと
長い波間を
滑り込むようにして
通り過ぎる
穏やかと
それ以外に言いよ ....
雨に打たれ散る花のことなどしらない
サボテンのとげが雲に向かって伸び
天上では太陽に向かって縮れた風が伸び上がる
カップに入れた珈琲はいつものように薄く
カレンダーは四月のまま終わらない
....
「チャンスはいつも平等に」
急行の止まらない駅でチャーリーはいつもつぶやく
いくつもの携帯電話の着信音が鳴り響く遺失物届所には、
いつまでも使われない傘と
これからも役に立た ....
桜の花びらの
ひとつひとつに
名前をつけて
しばらく会っていない
もしかしたらもう会えない人達を
眺めていたら
君を思い出せないうちに
最後の一枚が散った
....
この頃は心境の変化からか、つげ義春ばかり読んでいる
萩原朔太郎に耽るのは止めた、鬱が止め処なく成るに足るから
(痰が絡んで仕方が無い)
止め処なく、
酒に浸って惰眠など貪れば、虞美人草に深 ....
100円玉で買った
にんじんスティックを手に
檻の前に立つ
シマウマは
鼻を鳴らしてこちらを見る
たてがみも立派に
シマウマさん
このにんじんをあげるから
わたしにその黒い縞を ....
やみくもに捕えられ
放り出された宇宙で
死んでいくのだね
やみくもに
放り出され
死んでいく
と言う処は
僕と同じだけれど
それから
文句を言う相手が
見つから無いこと
君は ....
この文章は、みつべえさんの詩作「凪の日」ほかいくつかの作品と、「凪の日」に寄せたいとうさんの批評「何故詩なんか書いてしまうんだろう」に触発されて書いたものです。
「凪の日」
http://po ....
★ ライオン砂漠
あまりの暑さにたてがみを
くるりと脱いでネコになる
そりゃないぜライオン君
★ iシシャモ(しかも子持ち)
スケルトンな
....
一本
二本
三本
指が沈んでる
あなたに触れようとしたら
全部
落ちてしまった
水槽で泳ぐ
さみしそうな指に
ゆらゆらと
水草がからみつく
しょうがないので
エ ....
その日の雨が
今でも時々僕の肩を濡らす
廃園の木下闇に
置き忘れられたブリキのバケツ
松葉を伝い落ちる雫が
想いおこさせる
もうひとつの心臓
眠れぬ夜毎
消え残る雫がほのかに光 ....
蕩児はついに帰らない
粗暴な海にうまれた いきものの
鰭のひらめきのような
ひとときを
ただ過ぎてゆくためにだけ
夏はあったと
ひとしれずつぶやく
ここちよい自虐に
おしみなく反吐を! ....
影と
影が
重なり合うので
夜でなくても
うずくまりながら
なにかしらの気配が
ぐるぐると周回する
忘れられたまま
中心もないのに
ライカ
私の声が聞こえますか
....
しばらくあっていない
ともだちにてがみをかいて
だしにいくとちゅう
みたこともない
かわいいはながさいていたので
てがみのうらがわに
えんぴつでうつしとった
じょうずにかけたので
....
くたくたに、くたびれて
引力に思う存分やられたかなぁ、って
拡大していたものが
点になって
引力の地のそこで
バタンキュー、 それは倒れた
月面で、
倒れた
菜の花の はたけで ね ....
さいきんなぁんもかんもわすれていきよるち
おかあちゃんがいいよった
なーなー、おかあちゃん
ぼくんことも
いつかはわすれてしまうん?
こーえん
ゆうやけこやけのあかとんぼ
うしろのし ....
風が私の輪郭をなぞる
私は風によって顕れる
その刹那
私は世界だ
世界が終わるとも
声は続く
風の意志は続く
世界は風によって名付けられ
名は風に隠されている
声は名 ....
CARでゴー
念願の免許をとったら
CARで、
中古のシルビアで
ふくらはぎの綺麗な女を 轢きまくりたい
カーで。
どの路地でも時速100km
スピードで
カーで、
赤とか青とか ....
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。
さよなら
さよなら
ほんとの さよなら よ
ふぅん、ぼく よくわかんないや
こまったわ
....
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