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ちょっと耐えて
触れずにいた、かさぶたが
ぺりっと めくれ
新たな肌が日に照らされた

ほんとうは
回復しよう、しよう、としている
皮ふも 心も

まるごと
川の流れにゆだねた ....
妻と息子はかわいい寝顔でねているが
男はつらいよ
って、
誰か晩酌の思いをわかってくれる
友はいるかね

はぁ・・
渋谷・RUBYROOMのカウンターで
白ワインを飲む
今夜は嬉しいことがあったから

先月はここで
赤ワインを飲んだ

この店では月に一度
「SPIRIT」という朗読会が行われ
今夜 ....
机上の聖書の上に置かれた 
ひとりの骸骨が 
遥かな明日の空を視て、笑ってる。 

骸骨は、恐いものと思っていたが 
全てがそうではないらしい 

どんな人もいつかきっと骨になり 
顔 ....
「明るい私」を演じる日々に疲れて 
休日は体を丸めた蓑虫となり 
布団に包まる 

{ルビ転寝=うたたね}の間に 
夢の運転席で僕はハンドルを握り 
並走する左の車線に 
追いついてきた ....
今日は
自分であることが 
うれしかった 

ぼくを囲むお年寄りの 
無数の瞳をうけとるように 
語らうことができたから 

今日は 
自分であることに 
じっと耐えた 

ぼ ....
車椅子に座る 
小さいお婆ちゃんを 
前から抱きかかえる  

少し曲がった 
「 人 」という字そのものに 
なれた気がする 

ごめんなさい、ごめんなさい 
と繰り返すので
な ....
ぼくの頭の修理を頼んだ 
大工のたけさんが通った 


「 ぼくの頭はやかんなので 
  やっぱり治さないでだいじょうぶ 」 


「 あぁそう ならば
  ちょっと不思議な部品を ....
ざざあ 


ながしに水をすてる 


空っぽの 
やかんの中身をみていると 
わたしの頭のようだった 
プレハブの 
休憩室の入り口に 
日中の仕事で汚れた作業着が 
洗ってハンガーにかけてある 

ドアの上から照らす電球の 
茶色いひかりにそめられて 
干されたまま 
夜風にゆられる作 ....
喉が渇いたので 
駅のホームのキオスクで買った 
「苺ミルク」の蓋にストローを差し 
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると 

隣に座る 
野球帽にジャージ姿のおじさんが 
じぃ〜っとこ ....
昨日は職場のおばさんの 
くどい{ルビ小言=こごと}に嫌気がさして 
かけがえのない他の人さえ 
土俵の外へうっちゃり 
しかめっ面でひとり相撲をしていた 

昨晩見た夢のなかで 
旧友 ....
夜明け前の道を 
自らの高鳴る鼓動を胸に秘め
歩いていく 

川に架けられた橋をわたり 
駅の改札を抜けて 
無人の列車に乗り込む 

腰掛けると 
発車を告げるベルがホームに響く  ....
鈍く光る銀色のドアノブをひねり
といれに入ると
窓辺にはうす桃色の{ルビ薔薇=ばら}が咲いていた

水色のすりっぱには
背中合わせのふたり
男の子は贈る花を背に隠し
女の子は四葉のクロー ....
右手にもったきゅうすを傾けたら
青い湯飲みの底に花が咲いていた

一瞬にして
そそがれた緑のまどろみの下に
花は消えた

この湯飲みで
数百杯の茶を飲んでいるというのに
知らなかった ....
窓辺のてーぶる
並んだふたつの影を朝日に落とす
じゃがいも・いちご
似ても似つかぬ後姿の影を背に
似た たましいの まなざしそろえ
窓の外に光のたまる
明るいほうへ   *

 

 ....
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる

あの{ルビ娘=こ}は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる

 ....
週末の淀んだ駅の構内で
すれ違う人々の心の{ルビ懐=ふところ}に
「ある独りの人」がおり

優しくうつむいていたり
寂しくほほえんでいたりする

「ある独りの人」は

(声をか ....
自らのおぼつかない足どりに
黙って下を向いてたら

「歩けるかなぁ ・・・
 じゃなくて、歩くのよ!」

隣で僕を支える君が
猫背をたたき
ぬくもった平手で「気」を入れた

 ....
*(この文章は、ジュテーム北村さんから、「同時多発朗読」の連絡を受けた後、
  行った朗読と、過ごした時間についての個人レポートです。
  なお、ジュテームさんからの連絡は「21時に」とのことでし ....
Boy
話のわかる先輩とグラスを重ね 
生意気を言い放っては 
頭を撫でられている

Boy
姉さん達より自分の肌を瑞々しいと言った後
懸命にフォローの言葉で繕って
やっぱり頭を撫 ....
石の階段を{ルビ真=ま}っ{ルビ直=す}ぐ上ると
{ルビ古=いにしえ}の文人達が林に眠る東慶寺

境内の門の向こうには
紅白の梅園が広がり
石畳の正面奥に
惑いなき御顔で座る大仏

  ....
今日は老人ホームの庭を
婆ちゃん達とさんぽして
草っ原のベンチにみんなで肩を並べ
空泳ぐ鯉のぼりを眺めていた 

「大きいまごいのお父さん」は
しぼんでこんがらがった日干しの姿で
尾っ ....
若い頃
「やさしさ」は理想の全てで
自分や人の 心も 体も
真っ白なペンキで塗りたくろうとしていた

大人になるにつれ
白いペンキはふしぶしで{ルビ剥=は}がれ落ちた

テレビの箱 ....
見知らぬ都会の夜
人ごみをかき分け
「すみません、手相の勉強をしてる者ですが」
の声を会釈でよけ
{ルビ潜=もぐ}りこんだカフェでコーヒーを1杯

( 日中の{ルビ時間=とき}は遠き夢な ....
曇り日の
凪いだ海に漂う
うつぶせなサーファー等の上に舞う
アホウ鳥の{ルビ呑気=のんき}な飛翔を眺めつつ

{ルビ理由=わけ}もなく
「にたぁ」とほほえんでみる

僕は
もう
疲 ....
昨晩瞬いていた満天の星屑が
ねむってた間に降ってきて
昼の七里ヶ浜の海にきらきら光る

昔々
女がりんごの実をもいで
男に蜜をあげました
  
人祖の罪で失われし楽園も
秋晴れに江 ....
たもつさんの服部 剛さんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
かさぶた- 服部 剛自由詩720-3-10
晩酌の愚痴- 服部 剛自由詩1*20-2-15
SPIRITの夜- 服部 剛自由詩320-1-11
あかるい骸骨ーセザンヌ展にてー__- 服部 剛自由詩812-5-23
夢の道路_- 服部 剛自由詩7*08-10-11
石の顔_- 服部 剛自由詩308-2-22
「_人_」_- 服部 剛自由詩18*07-7-18
やかん_〜2〜_- 服部 剛自由詩707-6-4
やかん_〜1〜_- 服部 剛自由詩507-6-4
夜ノ電球_- 服部 剛自由詩15*07-5-29
車内の隣人- 服部 剛自由詩33*07-3-25
弱者の拳_- 服部 剛自由詩15*07-3-13
始発列車- 服部 剛未詩・独白13*06-4-4
といれのかみさま- 服部 剛自由詩6*05-2-24
顔のうらがわ- 服部 剛自由詩10*05-2-13
早朝の青空に消ゆ_みすずノ星の_澄んだ瞳に見守られ・・・- 服部 剛自由詩12*05-2-1
「る」- 服部 剛未詩・独白31*04-7-9
漏声_ー夜の車窓ー- 服部 剛自由詩604-5-2
向日葵- 服部 剛自由詩6*04-4-21
同時多発朗読・個人レポート- 服部 剛散文(批評 ...7*04-4-14
川の底に置かれた石- 服部 剛自由詩9*04-3-28
弥生・三月・夢見月_ー北鎌倉・東慶寺にてー_- 服部 剛自由詩4*04-1-3
鯉泳ぎ- 服部 剛自由詩303-12-27
荷物違い- 服部 剛自由詩2*03-12-6
しまパンえれじい- 服部 剛自由詩5*03-11-22
瓶ノ墓- 服部 剛自由詩503-10-30
きせきのひ- 服部 剛自由詩10*03-10-26

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