1.
「理解が世界というのなら、あまりに世界は小さい」
ブルゾンかぶって 青い瞳の彼は言う
男の人ってみんなそう
理解さえ信じてないもん わたしは
それにしても
画面いっぱいに青い ....
明るい
床の上
人頭大の
石ころが
二つ
向かい合って寝転んでいる。
色違いの格子縞のシャツを着たりして
そのくせ
肉体は
無い。
人は誰も
生まれて
死ぬが
詩人
金 ....
しずかだとおもうほど
わたしはここにいたいわけではない
となりにすわるおとこと
たわいない会話をかわしながら
わたしはよいを隠している
すきだとかあいしているとか
ねたいとか
そんな ....
1 自然環境におけるチャンスは人間の想像以上に確率の低いもので
まず心よりも先に愛しいと感じる全ての器官
{引用=参考資料1「2つの景色」より
マウントするのは
野生における♂が
....
川の悪口が流されて
きれいな景色でも見えるかと思ったら
泡しかない
「閉」マークを触った人差し指第二間接を泣きそうになりながら二度洗って
セミハ流れてぴっくりかえっていました今わたしが
....
ひとりきりでいなくなろうと思った
特に悲しみなどないのに橋の上から
飛ぼうかと思っていた
わたしはみかんがだいすきだったので
最後に一つと思ってくちにふくんだけれど
あまりにおいしくなかった ....
激しかった雨も
いつのまにか やみ
気がつけば
ひとすじの虹
片想いが
やっと通じたように
空から空へ
ひとすじの虹
ただ
追いかけても届かない
ひとすじの虹
雨の日は
耳になる
秋は死に
鳥は黙したまま
はじめから
世界は
満ちることなく
ぼんやり
霧にぬれる
地球と鳥篭
やわらかな文字が降りてくる
葉の裏側の粗い緑に
次々と染まり 降りてくる
朝の方位へはばたく鳥の
青い青い羽の炉心へ
影はたなびくように落ちてゆく
午後の淵 ....
05:50 目覚ましが鳴る
ピッピッピッ
頭を押すと目覚ましが止まる
ピッ ピッ ピッ ピイ ピイ ピイ
小鳥の囀りにかわる
ぼんやりした靄をつきぬけて
06:00 妻が起きる
06 ....
絵描きの描く肖像画は
どれも本物と見間違うほどの
素晴らしい出来映えだったが
どの絵からも
顔の構成品がひとつだけ欠けていた
片目の瞳だったり
上唇だったり
耳たぶだったり
必ずどこか ....
*
少女からはみでている
魂のゆらぎは
舗道のプラタナスの
青い影の上を
過ぎる一匹の黒猫
そのしなやかな足音は
遠く離れた街の路地で
こだまする
*
透明な空 ....
去年の子猫は
もうおとなになった
おととい
二匹の子猫を
産んだ
小高い丘の
天文台の脇をすぎる
風のように
夢はいつでも
ゆっくり醒めてゆく
この惑星のこのあたりはそろそろ晩秋で
赤く色づきはじめたハゼの葉が
窓の外に揺れ
この惑星のこのあたりはそろそろ夕刻で
暗くなってきた室内に
パソコンの画面がまたたき
またたき
....
庭が熱くて 幾重もの春がはりつくものだから
わたし 困ってしまっていたわ
被子植物のウロが溜まった真昼で硬くなってゆくのを
我慢して見ていたのよ
それでもわたしははらえないから 業者に頼んでお ....
☆清岡卓行「子守唄のための太鼓」の場合
ご要望にお応えして清岡さんでいきます(笑)
と決めたものの、待てよ、そういえば、この詩人の作品、まとめて読んだことがないのでは ....
曇り日の
凪いだ海に漂う
うつぶせなサーファー等の上に舞う
アホウ鳥の{ルビ呑気=のんき}な飛翔を眺めつつ
{ルビ理由=わけ}もなく
「にたぁ」とほほえんでみる
僕は
もう
疲 ....
ひらひらと
一年の思い出を
ひっさげて
木の葉は空へと
舞ってゆく
どこかの星へ
報告をしに
ス、べる
ファスト、ぶ
レク、ファスト
モゥロウ
ティーン、ン
ウ、える、コ
ンドル、ド
ルフ、エンド
ルフィン、グデビ
....
おとこおんなおとこおとこ と
四人の子らが次々生まれ
奥様大変ですねえ と
まわりのひとはみんな言う
五歳 四歳 二歳 三男坊は七カ月 よくもまあこんなに連れて
はるばると来たものですね ....
形。
私はこけしに似ている。
木の机に こけしを置くと
転がり落ちそうだ
箱根で君が
「欲しいの?」と問うた
木の 指輪
欲しくないが。
きっと こけしのまま
おばあさんにな ....
おやすみなさいとゆめをみない
おはようとめがさめない
こんにちはとてをふれない
さよならとふりむけない
しらないうちにわたしは
がらがらごえのばばになり
ひとりきりでさくらのしたに
ねむ ....
人はなぜ恋文を書いたか
体内の炎を紙につけて燃やすため
でもあるが案外
紙と鉛筆がそこにあったから
近頃では
恋人たちはテレホンカードを消費する
電話器は二十四時間鳴りっぱなしで
体 ....
夕焼けに
あなたをひたしておいたのは間違いだった
体の重みが邪魔でならないというように
身をよじって窓辺のベッドに横たわる
へそのくぼみから腰骨
肩甲骨
うで
まるく光る乳房
あごの下 ....
どうしても白熱灯でなければいけないのです
冬はあたたかいし
心なしか 黄色く胸がおどり
照らすと天気の記号のように半分になるので
そう こわれものはやわらかな
空気の入ったビニールでつつ ....
金が無い
働いてないのだから
当然なんだが
何しろ働くと言う事を
やめてしまって
何にもしたくないので
寝てばかりいるので
このゴミだらけの部屋で
自分までも腐ってしまいそうで
....
料金が足りませんからと
窓口の向こうの若い局員は不機嫌そうな顔で
茶筒みたいにふくれた封筒をつき返した
そりゃあ、足りないのは僕の落ち度ではあるし
深夜勤務の彼にはちょうど今頃が
一番眠たい ....
くやしい
と言って
涙を浮かべる
君を見ていたら
「くやしい」の
「く」も
「や」も
「し」も
「い」も
全部消してあげたくなった
おまえが
愛しくて愛しくて
愛しくて愛しくて
何度も何度も
何度も何度も
抱きしめたこの手を
振る
いまはただ
雨が降り
石にしみるまま
あけないおくで翳のかたちを追っている
ひがしの空だけが
ゆるやかに
くちびるをひらき
すきまから虹彩をのぞむ
わたしは
まるい眠りを
かきわけ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131