いいんだ、もういいんだ
これまでのことは
産まれてきて、居場所はなくって
どうしようもない日々ばかり続いて
気がついたら
何処でもないここへと辿りついて
でもいいんだ
次のひかりは見えて ....
ぐれてイグアナになった友人は
何か
忘れ物でもした顔をして
酒を飲んでいた
たまたま
その夜は
人間に戻っていたらしい
挨拶をすると
眼はイグアナのままで
何を考えているのか
全く ....
友達がぐれて
イグアナになった
もう
人間に戻る気は
ないらしい
奥さんと話をしたら
俺は百舌鳥になりたいと
息子が暴れるそうだ
わたしも
たまに
こっそりカメレオンになるから
....
時計の針がない
改札の駅員も消えた
この草の匂いは
懐かしくない
どこか
遠い所で育った
草だ
この周りの
草ではない
どこか
知らない場所で
育てた
草だ
電車は陽炎のレールを
すべるでもなくはうように
ホースの先を
つぶして持つ君の背中から
やぁ
と声をかけると
驚いた拍子の水を
よける間もなかった
光化学スモッグ注意 ....
{引用=
今日も
平熱だから
よかった
歩けるし歌える
見られるし聞こえる
}
{引用=
しがらみ、ほだすから漕ぐ、漕ぐ、届かないもの、失ったもの、に馳せる隙
間、追い出し、持たず、右足、左足、込めるたびにこぼれていく、ビル群、ア
パート、果樹園が、ひしゃげていく、流線を ....
}羊水(春)
コイン・ロッカーのコインが着地する
その音を聞いて
呼気をつきはなす
わきまえてなまえを呼んでも
まだないのだから
うぶごえをあげる
こっちへ来なさい、
と あな ....
幾つかと問われればただ指を折る
頃を過ぎてもただ指を折る
背伸びをし過ぎた私の深い爪から
こぼれ落ちる魚
夜の底の青
水面をすくう
静かに、丁寧に
どんなに気を配っても
波紋は広がる、 ....
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた
わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから
おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
....
群青のカケラを
金のひらめきで
刺繍する夜
アラビア文字みたいな冒険を
してみないか
飛行機の窓を開けると
飛んでいくよ
君と君をおおっていた
包み紙が
君はどんどん
小さ ....
僕にも使命はありますか
十字架にとまった蠅が
呟いた
一人の子が転倒した拍子に
持っていた飼育ケースの蓋が外れて
甲虫が飛んでいってしまったことを
なかったことにしたいと思って
その子がもうすぐ起き上がって
気を取り直すまでの空白を用いて
誰 ....
難破船が、出港する。船であるからには。海が。あるからには。心優しい、友人たちよ。惜しまないでくれ。わたしは。幸福とひきかえに、世界を。手にするのだから。
※
棒のようなものを、ふりまわす。 ....
あなたは生きるために日本を出ていった
ポストカードはいつも滞在地の言葉だった
ワールドカップはどこでみるの?
私は日本語で返事を書く
ここがSFの世界なら
あなたはもうこの星にさえい ....
鍵がないことに気が付いて
ドアノブに手をかけると
抵抗もなくドアは開いた
一度振り返ってから中に入る
靴は脱ぐべきだと思いながら
リビングにつながるドアを開けると
見たことのない女が水 ....
崖があり
陸はそこで終わり
振り子運動の仕掛けとして
ボールがひとつ手元にあり
結わかれた紐のもう一方は
斜め上空の
実在しない高さにまで
続いているのだという
手を放すとボールは
....
例えば二分の一の確率だけ
の君がいる
それは僕かもしれない
ふたを開けるまで
どちらの君がいるのか
あるいは僕がいるのか判らない
もちろん半分だけの君と僕が
キカイダーかバロムワンかダブ ....
不在票が
届いている
裏の公園の
桜が散ったのだ
こんなにたくさん
さよならを伝えたくて
春が終わっていたのだ
私がいない時に
わたしの妻になるひとは
どこにいるのだろう
漠然と考えていた
頃があった
もしわたしがこの街に
来なかったなら
あなたはもっと
幸せな人生を
歩んでいたことでしょう ....
あなたは拾う。石を。躓いて、はじめて出血した記念に。いつか青い星の降る夜。額にのせて眠ると、夢のなかで恋が成就する。
※
空が割れて、水が落ちてくる。あなたはいつも、とつぜん訪れる。ウィザ ....
ミニバラ、カスミソウ、トルコキキョウ
ある揺らぎが産み落とされた、
この日
このよく晴れた日をふちどる、
あざやかな
あざやかな
モノクロの葬列
/今日も大量の薬を飲む。てのひらから ....
私と君がバランスを取り合うこの世界は、い
くつかの悲しみによって支えられ僅かに綺麗
な側面によって、装飾されている。書置き。
降る言の葉。てのひらを傘のようにしてあな
たは、透き通る雨に打たれ ....
干からびた革の装丁に
そっと手のひらを添わせ
花びらのように軽い
ページをくるわたしの内奥に
懊悩は滴る
融点の低い金属の
自由さとまたひとつ季節を
経巡りここへたどり着いた
....
読んでしまう
光や空気のように読んでしまう
不安をソラシと読む
雲をドシレと読む
つまるところ
わたしの思いはひとつだけだ
犬を飼いたい
ゴッホの絵がほしい
星晴れのする、小屋 ....
くさぐさの名は
ただお前の口元へ
収斂するしもべ
――極彩色の踏み場から
人はなんと多くの夢を見る
わたしたちはいつか死ぬ
ということは
死にゆくわたしが見てるのは
夢なのではないか
+
わたしは空を飛ぶ
鳥だったような気がする
わたしはアスファルトに咲いて ....
この部屋は まるで 水槽
口をぱくぱくさせている 光のあわいに あわせて
線路から 水があふれでて ドアをたたく
6:10 6:20 6:30 6:40 6:50 7:00
電線を雲がは ....
神の言葉を携えた君は
膝のうえで不意に
遠くを見ながら喃語で話し始めた
何かを祝ぐための言葉
私が話せなくなった言葉
未来の君は
私の命日を知っているはずだ
判るなら教えてほしい
....
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