洗濯物をたたむうちに
不意に可笑しさがこみあげてきた
昨日までの
それまでの
汚れを落した衣服の形
そうだとしても
ひとつひとつ
笑顔や葛藤や
その他{ルビ諸々=もろもろ}の生活を ....
竹竿の先に灯火をぶらさげて
小さな子から先にあぜ道を歩いて行く
ひと粒の米に
千もの神が宿っていた頃から続く火で
稲の葉を食べる虫を追い払う
のだと言うが
揺れる火はまるで
人魂 ....
霧の花がしめやかに
咲く谷には 夜の単位を
定義した者たちが眠っている
そこから わたしは来ました
もうすこし 先まで行きます
なにかがたりないよね
って
みんないう
なにが
ってきいても
こたえてくれない
たしかに
それはめいかくに
おもいえがかれているはずなのに
めをそらして
うまくいえないけど
....
くらげはもう水みたくなって
やがて海になるだろう
溢れる 空想を両手にとって
きみは穴を掘っている
隣で海を耕しながら
私はそれらを見つめてあげる
....
かざぐるま
自分では回れない
竹とんぼ
自分では翔べない
( 風を起こし風にまわる )
風鈴
自分では歌えない
三日月
自分では輝けない
夏の終わりを待ちこがれ
飛 ....
いれものが
ふたつありました
ふたごのようにそっくりでした
どろみずをひとばんためておくと
いっぽうはどくみずに
もういっぽうはのみみずになりました
のみみずは
ひとびとののどをうる ....
われらの旅についてかたろう
われらとは わたしであってわたしでなく
すべての旅を ひきついでありつづける
おおいなるひろがり そのなかへ わたしもきえるが
われらの旅にはおわりがない
雨、
雨音
ヒグラシのリズム
おもむろに始る
朝のデカダンス
雨が沁み入る
抗体のしきたり
生き足りて苦痛です
滅落して遊ぶ生態は
蓄音機になりたいのだ
潰されない虫に ....
いきどまりまで
あるいて
いきどまって
しかたなくひきかえす
しょうがないよ
いきどまりなんだから
べつのみちを
えらんでも
またいきどまり
こぶしでかべをうちつづければ
いつ ....
いまのは世界中の石像が
月のちからにひかれ
変身しようとして
均衡をうしない
たおれて砕けた音だ
体温と体温が混じりあい
肌と肌の境界を失うように
わたしとあなたも、また
いつしか混じりあうのだろうか
それとも、また
いつまでも失い続けるのだろうか
熱的終焉の果て
触れあうこ ....
えにかいたように
みごとにころんだ
あたまのうしろで
ものすごいおとがして
なにがなんだか
わからなくて
だいのじになって
ぽろぽろなみだがながれて
たいようのまわりの
にじいろ ....
子供達は塾へ行く途中
車の酔っぱらいをひき殺す
音楽は定型詩だと思うのだよ
それだけで
お終いにするつもりなのか
猫が踊り犬がはしゃぐ
そんなことを言っているだけで
金持ちにはな ....
編集担当のデスクに、どんどん山が出来ていく
原稿、取材メモ、伝言、領収書、手紙、新聞
未読書類、読んだけど理解できない資料
カロリーメイト、ネクタイ、靴下かたっぽ
煙草のヤニとコーヒーによって ....
じめんにぶつけて
かどをおとし
いわにこすりつけて
かたちをととのえ
すなでみがいて
ひょうめんをならし
どろでこすると
やっとぴかぴかになった
さっそく
むねのおくにしまって
....
通り過ぎてゆく急行列車だけが
一瞬
地下室に心地よい涼風をつれてくる
急行通過。
不快指数はこの夏最高
顔面からだれかに霧吹きを吹きつけられているような
蒸 ....
日本の子供たちの思いやりが込められた
膨大な量の千羽鶴が海を渡った
あばら骨の浮き出た子供たちは
弱々しく 震える手で
ひとつひとつ 千羽鶴を開けた
何も入っていなかった
....
きらきらした
しずくが
そらからおちてきて
てをのばしても
とどかずに
じめんで
ぱちん
とはじけました
どうして
もっとはやくに
きづかなかったんだろう
もうにどと
うけ ....
つながっている
その声に
心がうつって
つながっている
指を絡めるように
ひとつのことばと
その隙間に
つながっている
瞳を
間近で見ている
ように
....
はだかだと つい
においを かいで
おもわず からみあい
いっしんどうたいで
おれまがったりします
かなしい夏 ?
夏の首すじが
眩しい
何もすることのない午後
空気さえ発光している
しなやかな夏のゆびさきが
飽きもせずあやとりしてる
夏はあの木立のてっぺんあた ....
「 雷 浴 」
あめは
ふっている が
あつ すぎて
やけに
かわきやがる
かみなり
を よぼうか
かみなり
を あびたい
....
かいつぶり 片目瞑って 飛んで行け
そらにはヒカリ 地には蜘蛛 食われる獣 食わない死人
みんなみんな大きくなった 伸びた顎髭 剃ってみろ
胡瓜の佃煮食べてみる 甘酸っぱくて ....
おーい
いっぽうからこえがきこえる
だれかいますか
もういっぽうにつたえる
おーい
へんじがかえってくる
ここにいるよ
よびかける
おーい
おーい
たくさんのこえが
いりまじ ....
えのぐでも
けせなかった
いろがみをかさねても
けせなかった
くぎでめちゃめちゃにひっかいても
けせなかった
もやしても
あきびんにつめてすてても
うらにわにうめても
けせなかった
....
名前のない鉢植えを買って
如雨露で水をやっていたら
ある日 みぎとひだりの
ひとさしゆびの さきっぽを
あわせたような虹が咲きました
どろどろに
くさってしまったから
もう
あわないほうがいいとおもう
じゅわきのむこうの
こえはかすれていました
そんなのかんけいない
へいきよ
って
いえませんでした
じゅわき ....
は、しめっているというのに
雨は、
雨の
仄暗き
雨の奥へは。
らんららんららん
質量に囚われず
なんてつべこべいわず
我が身を笑え
されど迷うなかれ
じっとりとした空気は ....
中吊り広告といっしょに
垂れ下がっているおじさんの
大きなあくび
ふと 幸せそう
なんて
風景が揺れて
どこからともなく
空き缶がからころと
わたしの足許に転がってきましたが
ど ....
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