遠い日の妹へ   
佳代子

遠い日の妹へ  

幻影に愛された魔術師の妹は
悲しみも苦しみもマゼンタの組紐に変えてしまう
私の内なる地上絵の上を飛ぶ時も
橋が壊れたから
つい手を滑らせてしまったから
眠り病になってしまったからと
巧みに赤い糸を結びなおし
にこやかな呪文で通り過ぎる
「あたし悪くないよ」って
降り注ぐ光の滴 振り払いながら
執拗な暗殺者の眼差しで遠くを見る
それからテーブルの恋 食べ尽くして
蒼穹の空へ時計を捨てるのだ
恐怖はいつもその意味を失い
妹は勝者のように胸を反らす
ああ なんと段取りよく過ぎて行くことか・・・
あなたの生に針を刺したくなるよ
私の魔術師 遠い日の妹


自由詩 遠い日の妹へ    Copyright 佳代子 2004-07-10 14:42:53
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