赤のテープと黄色のテープ。
母の嘘と父の嘘。
知ってしまったら、黒のテープで口を塞がれてしまったわ!
もうぐちゃぐちゃだもん。
ぐちゃぐちゃだもん。
靴下にぎゅうぎゅう詰め込んで、
....
あの人が死んだ時
私は不思議と
悲しくなかったのです
頭では死というものが理解出来ても
それが心までは伝わってこなかった
まだ
もう二度と話せないという現実
もう二度と笑えないという ....
忘れてませんかね
繁栄を謳歌してるのは
地球の主役は
わたしらでっせ
哺乳動物がなんですかね
冷血どもがなんですかね
もちろん鳥なんて
あんなものは滅ぶべきですな
もっとも多く ....
暑い日だった。どうも影が黒い黒いと思っていたら、蟻が群れていた。蟻は集団でいながらまるで一匹であるような挙動で蠢いていたが、しばらく放っておいても害がなさそうだったので放っておいた。蟻は蟻の言葉で会 ....
彼らの地面が
迷うことなく飛翔している
その背筋に
私はここから
敬礼する
瀕死の人間の魂が電波を操れるわけはなく
だからあの明け方に二度鳴ったベルはあなたのおじいちゃんの仕業ではなく
単に誰かの間違い電話だったのだよ、 と言われ
冷静な私はそれを十分わかっているの ....
しばらく詩をかくのを忘れていた
それはいいことだ
そして ....
森に 街に 空に
さんざめく
いきものたちの ささやかないとなみ ....
からだが
ちいさくぶんれつして
ゆるい葛湯のなかで
しびれてしまった
熱いコーヒーで
眼を覚ませと繰り返して
無駄
口腔を越えて
咽頭を流れ
食道に向かうけれど
感じる ....
長谷川七郎八十二歳の詩集『もうおしまい』
くもり空の伊豆高原で祝いの酒宴をはった
そこには詩人のぶあつい生の風景が舞い
夏の夜はたのしい談笑のうちにふけていった
女流反戦詩人の膝枕はやわら ....
人間はいつもゴキブリの飛翔におののく。
りっぱな羽根があるんだから、
ゴキブリにしてみりゃ、
飛ぶのは当たり前なんだが。
ゴキブリ自体は、
単に飛びたいときに飛ぶ。
問題をややこしくす ....
+
忘れていたことすら忘れていたのに
嗚呼、忘れていたことを思いだしてしまった
思いだしてしまったことをいつかまた忘れられるだろうか
++
花の絵を描いて ....
幾度も季節は過ぎ行きて
過去に残せし我が心
舞い散る枯葉は
千夜一夜の我が夢か
咥えし煙草も燃え尽きて
儚く灰になりにけり
空の彼方を待ちわびて
夏の背中も今遠く
星の無き夜の ....
非番の日
みえこは赤ン坊をつれて外出中
(退屈なので)ぼくは
近所のスーパーに出かけた
食品を手にしてはいちいち
(退屈なので)
表示内容を大声で読み上げた
「着色料に発色剤 合成保存料 ....
寝起きはネコのようであり
うつぶせで顔をあげると
アザラシのようであり
つかまり立ちしてキョロキョロすると
イタチのようであり
よつんばいで這いあるく格好は
イグアナのようであり
ゲジゲ ....
平成元年五月六日午前八時三十八分
きみはこの世にあらわれた
なんて真新しい
しわくちゃないのちなんだ
嫉妬と羨望 そして羞恥から
たちなおるための時間を少し
ぼくにくれ
そのあとでなら ....
くもり空のおもたい朝
欠伸をしている川獺
頭にかぶっている笠
ぷんと鼻にかおる野糞
きみの眼のまぶしい若さ
よれよれになっている裾
てのひらにあふれる乳房
白い毛の犬がのそのそ
....
ずっとずっと まわりで
小さな音が鳴り止まない
バスから降りて バスに乗る
またバスから降りて またバスに乗る
いつのまにか隣に
歌がふたつ 座っている
小さな支えを失っ ....
君は僕を
まだ待たせる気なんだね
今まで20年も待っていたのに
更にあと30分も
博士。あなたがあちらに行って何年になるのでしょう、
数えてもしかたないけれど。
あれから、人間は全く進歩しておりませんが、
技術は立派に進歩しております。
治るようになった病がたくさんあり ....
つちのかたまり
きのかたまり
一つ一つ刃を入れて
ぬのをまきつけてひとをつくる
ななだんかざりや
さんだんかざり
硝子のなかのふたりきり
いちまさんはひとりきり
ほそいまなざし
....
それにつけても おやつは
フランシスは、口に運ぶと クルンと自分の体を抱えた
ひとりっきりの台所で
「今日も遅くなるから」のメモを見つめながら
いつも通り
....
きみにとってぼくがそうであったように
ぼくらにひとつの指針が ....
君の化石を
掘り起こして
眺めてみる
化石が
語りかけてくる記憶は
良かった思い出だけ
悪い思い出は
時が洗い流してしまったのか
角が取れ
丸くなった化石
化石は
生 ....
風まじりの雨模様に海はのんびりひろがる
はてもなくさわがしい世間をのがれて
ぬれた花崗岩に足をすべらせおもしろがる
生きてきたそれぞれの体型に目がなれて
だまっていてもあたたかい空気にふれ ....
今年の鮎う ちっこおてえ、
{引用= 夕方
小さい頃から毎年聞かされてきた
親父の秋を告げる声
ここ数年は}
空港工事で もう釣れんわいね
{引用= と続く
....
箸を持って近づいてみたら
じいちゃんの骨はほとんど残ってなかった
焼き時間を間違ったんだって
ママとママの姉弟は泣き崩れて
火葬場の人は床につくくらい頭を下げていて
あたしは用事のなくな ....
熱海といわれても
有名な温泉地という以外
実はなにも知らないのだった
このお題、絶対残るよなと思いつつ (※)
毎週書きつぶしていったけれどやはり残りつつあって
途方にくれながら飛行機で ....
おとついのおかあさんは にんげんだった
たまにようじを すこしわすれた
きのうのおかあさんは にわとりだった
さんぽあるいて ことばをわすれた
きょうのおかあさんは はとぽ ....
建物の谷間の空き地から
町を分ける河が見える
もう作られることのない鉄橋の
橋脚ばかりが並んでいる
雲の居ない水面と
船の窓に映る汽車
そこにしか棲めない生き物のように
....
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