銀杏の枝に 月が
ひっかかって ゆれているから
それとなくわかる 風の道を
じぶんのいない 未来のことまで
しのんで あるいてきた
子守唄のおかげで眠ったばかりの男が、
夢の中でも子守唄を要求している―
部屋の中をさまよっては壁にぶつかり
青白い火花を散らすブリキのこうもり。
それと一緒に地下室にしまわれていた、
未 ....
少年は粘土でイカの化け物を作った。
「これは何?」と先生が訊くと
「バケモノイカ!」と言って、
あまっていた粘土をイカの化け物にぶち当てた。
ふっ飛ばされたイカの化け物は、
隣にあった「潜水 ....
子供が
消えて
雲と、雲以外のものの境界が
曖昧になってゆく
遠い飛行機の轟音と、鼓膜とが
混同されてゆく
昼なのか、それとも
冬なのか
子供は
過ぎる為に走るのだっ ....
ぐるり、と
回ってみて気付いている
下敷きにされた世界は、ほんの少し暗くて
それでも透明、に何処かへ繋がろうとしている
きみは
あの頃の夢の続きを見た後で
ぱあん
と、弾けてしまって
....
その公園にはたくさんの小僧がいる。
「ハナタレ小僧」に「ヨダレ小僧」
「お漏らし小僧」に「汗かき小僧」のせいで
地面はビッショビショ!
芝生が枯れるわ臭いわで、たちの悪い動物園みたい。
人足 ....
通り道に たおれていたら
ぞろぞろ やってくる
異形のものたちに
ふみつけられて すこし
げんきに なるのである
知っているのですか
あなたと
わたしが
手を合わせる
その意味を
つなぐ、と
つながれる、の
隔たりをあなたは
まるで何も
知らないかのように
この寂しさを
知ってくださ ....
法の不備
「どこよりも安く」
コロッケバーガーにポテト
七福神の女
エスカレーターなのに途中で歩かされる
イバラギじゃなくてイバラキ
円の動きだと回転軸は止まっている
下馬評通りの「サプ ....
空には穴が開いている
誰かがこっそり覗いてる
交差点の真ん中に
するりと垂れた縄梯子
かばんを置いて昇ってく
初夏正午の花時計
白い帽子のカフェテラス
モノレ ....
青のお墓で悲しむことはありません
白の立ち姿を遠目で映します
赤のお空で産声は響きます
黒の後ろ姿を光で焼きつけてください
あなたのいた砂の層が
うららかに音を奏でて
....
団地の13階から2階が狂おしく
ひん曲がる
誕生日に欲しい
駐車場のコンクリートの一部
さなぎのカレンダーに
ストレートティーをぶつける
....
あのころ
とても好きだったのは
Mと云うおさない綺麗なひとで
ピアノを弾くひとでした
むきだしのあしををちいさいおとこのこども
のように
黒い椅子のうえで揺らして居たのを覚えて居る
重い ....
くりくり
くるくると透明が
世界を構築している夜でした
星空が邪険に
その様子を見下ろしていて
「真知子」
と呼ぶ声がしましたが
わたしの名前は真知子ではありませんでした
もう ....
ねむいと まぶた おもいって ほんとだな
いちど とじたら あさまで
ひらけそうに ないから こんやは
し かくの かんべんして もらおっと
って ゆうべの はなし
「もったいぶった言い回し!」で
学者達は、実に様々な靴を用意する。
お前に合う靴はないか、と―
結局、手に入れたのは片方の靴だけ。
もう片方は路地にぶん投げられている。
探しに行かなくちゃな ....
て の ひら
かぜ に なび いて ひ かって
え くぼ を ゆび の はら で
おせば こぼ れ ....
ファシストになる
くらいならブタでいい
と言ったブタのバラ肉が
スーパーで売られる
ような国にはしたくない
アスファルト ビル風 その怠惰な起伏
慣性の法則は働き者
流線型に磨り減ってゆく野心も
革靴の踵も その幾らかの理由を失ったまま
(前進 前進 前進)
追い風参考
公認記録に届かない僕 ....
夜汽車の皆々が無言のハンド
ハンディ 親指と目の神経
にピンと張りしきり
デッキ越しの区音 足あと
ブックマークの向こうライト
赤かテカテカ ミスド 安い香水の匂い
真っ直ぐ ....
ともすれば、その人の
冷たい朝なのかもしれない
天井はいつも通りにぴんと張り詰めている
とりあえずは、流行の
そこから外れた道の街路樹のなびく姿を真似て
まずは珈琲をすすることから始める
....
三部作
「占いの」
アンタ死ぬね!
日記見られて死ぬから
もし多数決あるなら
隠す方に手あげるね
ミンクは身につけない方がいいね
科学者に抱かれた方がいいね
女のビーカー持っ ....
花瓶のなか
ぎっしり 眠る
胎児の へその
緒のさきに
咲いている
陽気の過ぎる歩行者天国を
とぼとぼと歩いていて
すきまがない 幸せに苦しむ人々の声は
着ぐるみのセイウチが差し出した風船に
引き伸ばされた十年後を見る
ガードレールに腰を ....
#01
だれかが しんでしまった日を
なぜ 命日 というのでしょうか
きのうは だれかの命日で
たぶん きょうも だれかの命日で
そして あしたもまた だれかの命日です
....
{取消=君の名を}
これくらい
簡単であればいい
散乱していたの
物体ではなく あたし の
(思考と存在 に 対する雑感
思春期めいた思考は
フォルマリン漬けにしてしまえ!)
意味でない もの でもない
反芻 ....
虹の彫刻に
あこがれて 雲を
きざんでいるが
美はいつだって ぼくらを
さげすむ
天井を上って行くと骨だけ燃える
空からの骨が三角が鉄の錆びる
雨が降りながら
口を閉じて飲む
目が眼鏡をかけて
電話を架けて
意味
青い握るところ。離れては付き、
蛍光 ....
ぼくときみのねがいを
ぼくときみのこどもたちの
そのこどもたちのこどもたちのこどもたちの
そのまたこどもたちのこどもたちのこどもたちのあたりまで
つたえるにはどうしたらいい かんがえているうち ....
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