疫病が蔓延して
またひとつ
古い村が捨てられた

縦穴住居跡には
いつも怯えたような
青白い満月がかかる

古代を復元した月が
青白いのは空気が澄んでいたから

ここにも ....
えりちゃんのにおいがして
雨がすこしふった
きれいなえりちゃんはふきげんで
ようふくの襟を
ひんまげて

おとうさんはとかげを撫でて
まどを 
すこし開ける


えりちゃんの隣に ....
血を 花を
みどりの草地に散らかして
突っ伏している 兵士たち
風のニュアンスを聞きわけた
鳥は しばらく帰ってこない
こんにちは
頼りのない足取りの青年が囁く
こんにちは
つぼみのままの桔梗のようなからだが
治療病棟の個室に吸いこまれる
「若松さん。」
人の傷跡が残る廊下に ただよう消毒液のにおい
若松 ....
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 .... 空が微かに剥離する
空の剥離する音をきいている

微かに青い香りがしている

カシャっ

生活はいつまでたっても生活で
ぼくは毎日お腹が空いて
そしてぼくは
sexがしたくなってし ....
 カーテンの隙間から差し込む光のブロー
 頬を擦っていく風のブロー

 この街はリング
 真っ青なライトと
 アスファルトのマットに挟まれた
 埃っぽいリング

 午前中は誰も口を ....
 十月

忘れられない人がいる やわらかな白いカーディガンをきて 水辺のそばに佇んでいた人 手をふりやさしくぼくに微笑んでくれた あかるい霧のような雨が降っていた 
ぼくは何気ないそぶりで 自然 ....
また夜がきた そうして風がしみる
ぼくの肩も胸も もろく こころは
出血を くりかえしているが
かまわずに よりかかってくれ
きみひとりなら まだ支えられる
ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている

カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
濁った瞳孔の中で赤い金魚を飼っていた君
祭りの時出店の親爺に貰ったらしい
餌の代わりに角膜を貪る赤い金魚
くすぐったいと君が笑った
曇り空に似合いの栗の花
白濁の匂い
蒸せる空気に重く混ざり咽る

萌えあがる緑にそそぐ霧雨は
「熱帯雨林」という言葉を浮ばせて

栗の花
呼吸困難

緑のトンネル
国道4号線
 ....
誘蛾灯の下でバサバサ
大きな腹を揺すぶって
分厚い羽をバサバサ
まるでモスラみたいにバサバサ

記憶のなかのオオミズアオは
そんなふうにとっても大きかったのに
こうして見ると
意外に小 ....
車の走る音が聞こえていて、「くらい」と「くろい」の境目をさがしています。光る点は、ぼくは、時間とは。かすかに白がぼやけて湿らせた夜、ゆら・ゆれるあふれをせきとめるようにして、すれ違う日々/人々をなぞり .... 思い出が居眠りをしているのでした
今日も少しづつ暑くなりそうな感じがしています
揺すって起こそうかと思いましたが
そのままに

夏 それぞれの葉が今にも喋り出しそうな
明るさの中で 震える ....
我慢しようとしても
だめ
我慢には限界があるから
でも
我慢したほうが
楽しくなることとか
気持ちよくなることとか
たくさんあること
おとなはよく知ってるの
でも
こどもには
教 ....
風がおわるよ。
もうすぐ。
ともだちの
髪もなまえも
風の泡になるね。



  ちいさなガラスをとおして
  見える視野。
  いつもの都会のはずなのに。

  それは、
 ....
さらさらと さよならが ながれて ゆきますから
わたしは手に掬ってみるのです
手に掬いますと さよならは さらさらと
さらさらと 儚くも消えてゆくのでした

夏の
陽は さよならの中で
 ....
いつでも石を
なげつけ られたがる
ひんぱんに騒ぎを
おこさずには おられない
そんな人たちの そばでは
夜明けの風にほどかれた
雲の帯をたぐるように
よぶように手を伸ばす
朝日 そのへりにそって歩くぼくを
路地の無音のスピーカーが振り向かせる
民家の中 ただひとり
あのひとが嘲っている
日 ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
海の見えない
深い森の中で
事件は起きた

たまごから
孵ったばかりの
おたまじゃくしは
幼いから
なにも知らずに
鰓呼吸をする
木の葉が沈んだ
たまり水で育つ

藻を食べて ....
たぶん
狐がついてるんだよ
って
教えてあげたいけど
あまりにも
幸せそうだから
何も言わずに
遠く離れた場所で
ただ
静かに観察している
夕暮れ時わたしは足元が見えなくなるまで歩いた
足元が見えなくなると笑いながら歌った
お腹が空いて寂しくなったので
知らないガチョウを食べた
知らない足音がわたしたちを追い越し
立ち止まっていることに気づく
群れるものたちのすべてが
居場所を持っているように見えて
小さな声でいることに
少しだけ疲れて

彩られた樹木たち ....
知らない方角から
明るさを取り戻してゆくかのように
朝はぼくのもとにやってくるのでした
遠くの響きは
古い透き間から静かに流れ
ぼくを取り囲むのでした
後戻りする物音は見あたらないのでした ....
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=25813

たもつ(敬称略)『十階の家族』。
子どもの夢がどんどん膨らんでいくのは、いいもんです。その夢を親が一 ....
残していったものが
背中でまだ疼いている
一日の始まり
蝶のような揺らめきで飛び立っていったのは
形にならない荷物を抱えた人
遠くへと呼びかけた
朝の挨拶をすり抜けて


ここで何か ....
表札を掲げるのは
自己確立のためと
現在では思われている
だから地球上の
どこに表札を掲げても構わない

流木の表面に掲げても
氷山の軒下に掲げても
番傘の柄に巻き付けても良い ....

知らない住宅街を
自転車で走っていたら
なんだか怖くて
気がついたら
みんなが家の前に座っていて
ああ困ったな
困ったな
そう思いながら
わたしはペダルをこぎ続けて
前から
 ....
たもつさんのおすすめリスト(3889)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月曜の夜- あおば未詩・独白3*05-6-20
なぐ、じかん- はな 自由詩11*05-6-20
そろもん(鳥の話)- みつべえ自由詩305-6-19
こんにちは_若松さん- たちばな ...自由詩11*05-6-19
蒸し焼きの雨- 岡部淳太 ...自由詩37*05-6-18
カシャっ- tonpekep自由詩3*05-6-17
ボクサーズ- マッドビ ...自由詩105-6-17
十月_十一月_十二月_虹- 青色銀河 ...未詩・独白7*05-6-17
そろもん(抱擁の話)- みつべえ自由詩405-6-17
ムーニールー- ふるる自由詩35*05-6-17
赤い金魚- 自由詩705-6-17
栗の花- 蒼木りん未詩・独白3*05-6-17
オオミズアオ(百蟲譜49)- 佐々宝砂自由詩305-6-17
そうして積もっていくのなら- nm6自由詩1105-6-15
夏の日(because)- tonpekep自由詩12*05-6-14
楽しい我慢- チアーヌ自由詩205-6-13
風がおわるよ。- 青色銀河 ...未詩・独白305-6-12
言い訳- tonpekep自由詩7*05-6-11
そろもん(ヘルメット着用の話)- みつべえ自由詩405-6-9
夜明け- プテラノ ...自由詩6*05-6-9
空をみていた午後- 望月 ゆ ...自由詩49*05-6-8
詩禁止令第三条- あおば自由詩6*05-6-8
狐つき- チアーヌ自由詩805-6-8
知らないガチョウ- チアーヌ自由詩5*05-6-7
都市伝説- いとう自由詩22*05-6-7
土曜日の朝に- tonpekep自由詩20*05-6-7
おんなのこ、おとこのこ_〜たもつ『十階の家族』〜- 角田寿星散文(批評 ...605-6-7
着地点- 霜天自由詩1105-6-7
流木ハウスにおける表札- あおば自由詩1*05-6-7
夜の自転車- チアーヌ自由詩805-6-6

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