猫を借りてきた
あまりにかわいかったので

慣れない場所に連れて来られて
神妙にしている

私は猫アレルギーだから
かまってやれない
なでてもやれない

けれど借りてきた
あまり ....
山椒はけなげな樹だ
人に若芽を摘まれ
実を横取りされても
再び芽を出し花をつける

山椒は優しい樹だ
青葉に隠して
揚羽の幼虫を育て
幼虫に臭いをすり込ませ
ああこの臭い
幼虫はこ ....
おとしよりが
せかせかと歩く少しウエーブした腰は
なにものかを背負っているからなのだろう

からっぽの両手を
少しきちんと膝においた
見透かされそうな私

夕日と一緒にどんどん進む
 ....
心臓の検査で二時間待たされた
結果説明をするのは
驚くほど穏やかな話し方の医師だ
この穏やかさは
草食動物がまどろんでいるかのようなぼんやり
草食動物が説明しはじめた
非常に穏やかにしかし ....
 晩秋の風は悩みをはらみながら私の窓辺にやってくる。
 ああ、悩ましい。私は上手に言葉を紡げない。
 限界を超えたところに真実があるのなら私はそれを見たいと願う。
 私の存在に真実があるのな ....
そうだね
って言うのはむずかしい

たったひとことなのに
そうだね
って言えない

認めたくないわけじゃないと
おもったけどやっぱり
認めたくないのかもしれない

わたしは正しい ....
祈るようにサイコロを振る
嫌な予感は的中した
すでにホテルの建った銀座 わたしの靴は落ちた 
このままでは残りの土地を売却しても破産してしまう
なんとか逃れたくて 頭が高速回転を始める

 ....
独り言に
返事しあう老夫婦の
ひとつあけて座る
ベンチのわたし

なってもいいかな
こんな未来図を
感じながら
伸びをする午後
揺らめいている心象図が手に取るように見える
だけど何一つ
気が利いた言葉が紡げない


少しでもいいから
紡ぎ続ける繊細さが僕にもあればと
想い焦がれては項垂れる夜が積み重なっていく ....
修善寺の蕎麦屋の座敷にて
{ルビ熱燗=あつかん}を啜り

天せいろを食した後の
油が浮いた器のつゆに
喰い千切られた、桜海老の顔

白い光の小さく宿る
黒い目玉

{ルビ茹=ゆ}で ....
家の敷居や襖の線や開閉ドアを隔てて 深い河が流れている
隣の部屋なのに、もう渡る舟の手掛かりはなくしたままだ
河の底から 十二年前に口を交わした孫の燥ぎ声が
時々聞こえてくるのが楽しみで  ....
軽トラックの
荷台から
あふれんばかりの、かや
山盛りということはこういうことだ
現役で農作業をされている人が
こんなにも近くにいるということが
無性に嬉しい
今朝スーパーで見かけた車の ....
 
闇がさらけだされる

十三夜

君ものぞき見しているだろうか



 
息のかかった葉が揺れる
風でよかった
栗のいが 落とした枝先
風でよかった
瞑るから 消える月曇り
風でよかった
どろどろの みずたまり
風でよかった
障子穴には 悟られない
風でよ ....
 モダンな詩   Modern
 ダ   語   Modern
 ン   か   Modern
 な詩集かモダンは死   Modern
     ダ   語   Modern
     ン  ....
ほほえみなさいませ
青ざめた朝日に
うらぶれた夕日に
ほほえみなさいませ
粗暴な隣人に
博識な鼠に
あらゆる予言は成就する
互い違いの順番に
船出前には誤解は解ける
思い思いの格好で ....
アーティストの名前は覚えていない
確かブラジルの現代美術展にて

ささやかで嬉しい発見をした

ささやかな絵画だと
最初は思った
でもインスタレーションとの事

なぜこの絵画がインス ....
覚め切らない皮膚 あまおとの影ふみ
ギターはたどる言葉のない遺言を

心から剥離した音は捨て猫のように理由を探さない
薄物のヒューマニズムを着せてはまた脱がす
週末の脈略は絶たれどこか乾いた ....
わたしにはないもの
持っているあなただから
自然と惹かれていったのかな


あなたにはないもの
持っているわたしだから
自然と惹かれてくれたのかな


補うように惹かれ合って
 ....
今 冷静に考えればおかしなことは幾つもあった
学生服のボタンが陶器に替わったのは良いとしても
疎開先の山村に棲む父の従兄の大工小屋で
兵隊さんたちが材木を使って
角形の潜望鏡のようなものを ....
不満があるわけじゃないし反抗してるわけでもない
興が覚めたというか気分がのらないんだ

つくり笑顔が本当の笑顔になるのかな
君の笑い声とユニゾンできるかなぁ
 
  365日後の朝にまだ痛 ....
目の前の、岐路は分かれ
右の標識も、左の標識も
〇い空白のまま、立っている。

  *

私は想いを巡らせ…夜道を{ルビ漫=そぞ}ろ歩く。
立ち止まり…深夜に囁く星々に、目を凝らす。
 ....
私は褐色がかった指に
マニキュアを塗る
輝く爪を手に入れるため

これまでは
手をほめてくれる
人達がいた

大切にしていた
私の白い手は
褐色になりつつある

鋭角の風のよう ....
こどものころ 戦争は いつかなくなると 思っていた
実際の話 古代や中世の時代と比べたら
安易な理由では、人は人を殺めたりはしなくなったのだろうか

むかし 中世の時代に 真鍮の牛という処 ....
とつぜん雲が現れる
泣けば楽になると傍らで誰かがいう
雨が降りはじめる
わが子を抱きしめていた腕がするり
ほどけてだらしなく砂を掴んだ
かなしみに浸ることはかんたんで
すべてを捨てる覚 ....
表意文字同士で手を繋ぐ駅裏の小路
休んでいいかいと言った少年の姿はもうない
弦楽器の音合わせに
五本の指は小さな画面の上をひた走る


青年は手を自由にし煙草に火をつける
再び繋ごう ....
乾いている


鼓膜に打ち寄せる波に温度はあるのか
でも 飲み込んだ言葉はひび割れていた
靴音から調律までが一番好きだ
酔っていれば君を見つめていても
秘密のまま 鍵は手の中 ....
どうしてひとは死ぬのか
でも
恐竜やマンモスたちが死んでくれなかったなら
わたしたち、居なかったね

どうして父さんは死んだのか
十余年がんを繰り返して
苦労したから痛かったから我慢はた ....
スズや、スズ、と 呼べば白猫が一匹
呆けてしまった昭和の頭に 鈴の音だけでやってくる

年老いて逝く者の生きがいのために 孤独死を恐れてか
「アパート一室につき猫一匹飼育可能」、の高邁な ....
わたしにふれてと誘う水銀のふれればおかされてゆく毒

水の系譜もとをたどってゆく指先で、彗星ながれる

熱の朝水銀のメモリゆっくりと伸びてゆく儀式、生殖

だれとも手をつながないでどこへゆ ....
夏美かをるさんのおすすめリスト(7676)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
猫を借りる- やまうち ...自由詩315-10-30
山椒は優しい樹だ- イナエ自由詩15*15-10-30
先達- 朧月自由詩415-10-29
心臓の検査- ふるる自由詩20*15-10-29
救いのない・・・- ヒヤシン ...自由詩9*15-10-29
そうだね- 朧月自由詩415-10-29
モノポリー- ただのみ ...自由詩8*15-10-28
バス停- 朧月自由詩215-10-28
滲んだ抽象際彩色- komasen333自由詩3*15-10-28
海老の目- 服部 剛自由詩315-10-27
核家族- 為平 澪自由詩915-10-27
かや刈り- そらの珊 ...自由詩1215-10-26
十三夜- 殿上 童自由詩17*15-10-26
風でよかった- 砂木自由詩8*15-10-25
Modern怪談- ただのみ ...自由詩10*15-10-25
ほほえみなさい- やまうち ...自由詩5*15-10-25
ささやかな発見- 小川麻由 ...自由詩4*15-10-25
理由のない虹- ただのみ ...自由詩12*15-10-24
わたし不足_あなた不足_- komasen333自由詩3*15-10-24
【HSM参加作品】狂気の時代- イナエ自由詩14*15-10-24
アプリコットジャムのクッキー- 北大路京 ...自由詩415-10-23
宇宙の信号___- 服部 剛自由詩315-10-23
マニキュアの存在意義- 小川麻由 ...自由詩7*15-10-23
【HSM参加作品】真鍮の牛- るるりら自由詩15+*15-10-23
みちのり- かんな自由詩10*15-10-23
既視の岸辺_(四行連詩)- 乱太郎自由詩17*15-10-22
観想- 凍月自由詩9*15-10-22
おしまいの或る詩- もっぷ自由詩1215-10-22
アパート@猫一匹- 為平 澪自由詩9*15-10-22
第12族元素より- そらの珊 ...短歌12*15-10-22

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