不自然な学校のほうが
自然学校よりも
自然がよく解る
ブラック企業のほうが
ホワイト企業よりも
経済がよく解る
クチコミのほうが
マスコミよりも
世間がよく解る
だけど
....
フラフラと
朧月の生温い宵に
プラプラと
妄想の尻尾をぶら下げて
ブラブラと
調子っぱずれの自律神経をナビにして
此岸の縁をそぞろ歩く
フラスコの中の
フラストレーション
....
{引用=
一 あの丘で
あの丘で
春風をむかえよう
あの丘で
花のかざりに
微笑んでいよう
あの丘で
小鳥の歌に
つらなっていよう ....
一行で何人も殺せるペン先が細い
夜の闇は恐ろしい
目の前に何がいるかもわからないのに
自分がここにいることだけがはっきりしている
いっそ
自分も含めここに何がいるのか
誰も何もわからなければ
よかったと
闇の中 ....
(南無アッバ)をひとすじに唱え
天寿を全うした井上洋治神父が
空へ吸いこまれ、風になった日
霊柩車を見送る
カテドラル教会の庭の木々の緑に
透きとおる一陣の風は吹き抜け――
アンジ ....
この公園には獣がよく来ます
あの石積みの崩れは
イノシシの仕業
あなたの足下のぼこぼこした土
それは狸の厠
先ほど あなたの踏んだ黒い豆
シカの落とし物ですよ
昼間花見客で賑わう ....
壁を見つめて壁に書いた
壁に眼で書いているから
誰も気が付かないだろう
もうこの壁ともお別れだ
明日は別の壁の前に居る
じっと壁を見つめた日々
壁の前に机を置いている ....
飼い犬に似てきた
夫と息子がいる浴室に行くと
かつおぶしの匂いがした
親子で前世はかつおぶしか
鰹として泳ぎまくり
死んだ後はかつおぶしになって
お味噌汁になったのか
死後も価値があるなんて
かつおぶしは ....
押しても引いても現実は容易には動かない
しかし個々の事象は絶え間なく瞬時の変化をとげてゆく
成長とは産声をあげた瞬間からの死へのあゆみ
明日はわからない
でも希望はそのやわらかな隙間に生ま ....
呆けた{ルビ斑=まだら}の歌声に
後ろから捕えられ
目隠し外せば 春は
娘姿の老婆
千代紙から蝶
切り抜いては
ふうっと 吹いて
この肥大した冬には
心の資産全 ....
寒いけど髪きった
風がひゅうとさわる
後悔なんかしないよ
すっきり歩く
背中をのばして
梅がきれいだ
世界はきれいだなあ
川伝いに伸びる
でこぼこ道の向こうから
菜の花がきれいね、と
懐かしい人が
光をまとってやってくる
どこかで硝子製の呼び鈴に似た
澄んだ鳥の声が響く
あなた、
ずいぶんともう
大 ....
クロレッツを二粒
鼻腔を流線形が疾走する
春よ来いの大合唱
彼女は鼻腔に猫を飼っている
空には翼を持った豚
犬と羊が阿呆面で見上げる
五輪は四輪より速い
すべては風の前の塵に同じ ....
わたい、もやしはきらいや。
病室のベッドのうえで
母がぽつりと言う
六十年も付き合ってきて
母の好き嫌いをひとつも知らなかった
そんな息子だ
お父ちゃんがな、腹切ったときに出て ....
迷い犬はどこへ行く
都会の隅の雑踏で
蠢く影を身に潜め
声なく空気を震わせて
迷い犬はどこへ行く
春の終わりの夜の夢
風に手紙を運ばせて
木のドアを軽くノックして
迷い犬が夜を行く
....
時間は記憶のなかに堆積して
想い出になるものだろうか
涙は溶かした時間を映しながら
様々に色をかえてゆく
きみのハンカチを染めないでその色に
きれめのない時間のなかで
ピリオドやは ....
腹の音聞きながらもう一錠の睡眠薬
流れ星のような、
一瞬にしかわかり合えない
出会いのない命であるので
皆、慎ましくて尊ばれる命であるので
願いよ叶え、と
願い合いたいものです
つかの間の、
行きずりの間柄ならば ....
三月
守宮(やもり)は
たべる。
ゆっくり
ゆっくり
味をたしかめるように
たべる。
産まれつづける現実(うつつ)をおかずに
夢を
たべる。
くり返されてきた儀式が
....
水平線に
盛り上がった入道雲
の中へ
入ってゆく船
をあなたと
見送った日
渚に係留された
氷川丸を眺めて
赤い靴の少女を歌い
砂に埋まった啄木の蟹を
掘り出した二人は
こぼ ....
<イーゼル・ベーカリ>
イーゼルを看板代わりにした
街角のベーカリは通勤路
本日のメニューと季節限定
チョークは今日も鮮やかで
意外と個性の出るもので
あの人と彼女と彼と彼
....
C51の動輪光る
平和ニッポンの裏口を
急いで回る
こっそり回る
素早く回る
古ぼけた寝台車
古ぼけた3等車
金持ちの2等車
ひととおり引き連れて
今日も上野をこっそり出てゆく
煙 ....
故あってかどうかわかりませんが
猫に生まれまして
たいへん恐縮している次第でございまして
私が人間なら大変かなあともおもうこと
多々ありすぎて
申し上げることも躊躇いたしますが
あえて ....
物語を消費するために
私たちは生きている
今日も悲しい話をありがとう
困難を乗り越えた話
本当にどうもありがとう
感動してる
だから明日もがんばれる
がんばれると思う
明日 ....
正義は勝つと言って負けた
走り去る青い車の
テールランプながめながら
流線型の感情を抱きしめる
どうせ終わったことだから
もう悲しむことにさえ意味はない
遠雷が
湿った空気を震わせる
瞼の裏側で
す ....
まさか 夢にみるとは思わなかった
明け方の私の夢に現れた
君のことは何も知らないのに
ネットという魔都で知り合ったのは
ずいぶんと昔のことだった
私が詩を書き始めた頃
君の書く詩はとて ....
なにかをリセットしたいとおもい
恒例のだんしゃりを決行する
てはじめに冬服
もう襟足をたてて歩かないことにする
首筋からはいりこむ空気をうけいれることにする
ぶ厚い靴下をすてて
地 ....
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