気休めな水に放てば金魚らはひと夏きりの命を泳ぐ

六月に不似合いなほど晴れていて昨日の雨がわたしを映す

透明な花瓶の中で紫陽花の茎の模様が屈折してる

雨か汗滴り落ちて黒く染み黒いTシャ ....
ハーネスを付けた老犬が
散歩している
ヨタヨタと…

仔犬の頃から
遊びあった犬
散歩中に私を見つけると
尻尾を回し飛びついてきたのだが

「マリリン」呼んでみる
近寄ってこない
 ....
冷たい灌木の素足を芝草が覆う
うぶ毛のようなスギナの森
露に閉じ込められて朝の光が震えていた

「友よ お飲みなさい
こっちは先に頂いています もうすっかり
辺り一面へ溶けだして ほら太陽 ....
初夏の夕暮れ
やわらかい風に吹かれながら
玄関先にしゃがんで
ビオラの花柄を探しては
摘みとる
こんもりと咲き茂る寄せ植えが
あたらしく
生きかえるのが好き

いつからだろう
 ....
愛については
猫が、大統領よりずっと詳しい
だって猫は いろんな壁の上を
やすやすと あるいてきたんだ

ひとびとが にぎわう繁華街
ひとびとが やすらうベットタウン
肩をおとそうとした ....
吹き荒れていた強風が止み
静かに雨が
降る

激情は去り
懺悔するように


いまさら遅い


傷つけたものは
けして回復しやしない


けれど
過ぎ去ったものの後に
 ....
仔犬を胸に抱いた少年
あるいは
眠っている赤子を
抱っこ紐で抱えた母親
のように

買ったばかりの
ラナンキュラスの
花束を
両手で持ち

包装紙の隙間から覗いて

微笑ん ....
砂のような
罵詈雑言を
浴びせられても
べつに痛くもかゆくもない
友達だったこともないヤツから

雨の日に浮かれ
這い出てきたのだろう か細い
蚯蚓が

ぺかぺかに光って
張り付 ....
石の中から掴みだし
ほとばしる火の
洗礼により
おまえ打たれ
錬られ砥がれ
握られた人と共にあって

土を切り開き
木を切り倒し
人を切り裂いて
国を興しまた滅ぼし
繁栄と文化
 ....
     朝目覚めると空のコップが
     ひとつ置かれている
     わたしは満たす
     さわやかな空の青さ
     もうすぐ咲くだろう蕾の息遣い
     少し焦げた目玉焼き ....
ぽろぽろあまだれ
跳ね蛙スローモーション
滲む文様から浮かんだ島
鳥に紛れ白髪女ひとり
永い束ねを千切る声震わせて
ふたつみつの影を漉く
ひと筆の青さもない
そら背負ってうみは来る
  ....
    目を閉じれば
    いつだって自由に
    本を読むことができる
    そして本たちは折にふれ
    少しずつふえていく
    二年越しのラズベリーが
  ....
肩こりごり
首こりごり
腰こりごり
気持ちもこりごり
ごりごりまわして
どうにかならぬかどうにもならぬか
ずきずき疼くうずくまる闇
そのうち忘れてにこり
気づいてこりごり
空こりご ....
花びらが散って
緑が眩しい輝く気持ち
身体中で吸い込む
新しい季節のはじまり
いい匂い
鮮やかな破裂と
飛び散る細胞
広がる感覚
蠢く命と呼吸音
吐き出す息と
春風がどこまでも
 ....
    あの日を境にわたしの中から
    わたしがいなくなり
    半透明な海月になった
    荒ぶる海流に叩きつけられ
    なす術もなく右へ左へ
    痛みとともに流され続けた ....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって

とかなんとか言ってみても

こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
「思春期」


疎ましく膨らんで
悩ましく弾けて
狂おしく奔って
暑苦しく押し黙って

思春期なのか
四月は変拍子

狼狽える前髪で
躊躇う指先で
彷徨う吐息で
蹌踉め ....
     今夜わたしは玉葱を刻む
     包丁の切れ味は鈍いが
     こんな夜にはちょうどいい
     指先と玉葱と踊る包丁
     それだけを見つめ、不器用に
      ....
《ひどい! わたしの蕾に粉砂糖したの
姉さんでしょう
《あなたがはしゃぎ過ぎなの
わたしはまだ帰り仕度の最中よ
《ああうるさい こんな早くから蝉はよして
まだうたた寝したいじゃない
《駄目 ....
百均で買ってきた
ミニチュアの黒いうさぎは
手のひらに載せて
選りすぐろうにも
どれもみな
哀しくなるほど同じ顔
同じ姿勢同じ表情
どうしてこんなに正確に
大量生産できるのか
まるで ....
鼠夜桜ひきつれて

にぎやかな繁華街を抜ける
路地は大小二つに分かれ
月を眩ませる
再び斜影/方に肋膜の炎
告知する薄墨色
派手な更紗を纏う老婆を気にとめた
絵柄のカードをな ....
夜明けの群青の空に
透明な風の蛇がうごめいていて
脊椎に貫かれた腹でゆっくりと気流を動かしている

白んだ月は皮膚を通過し波状に広がる光を手放す
朝を迎える前の消印のように
反復ゆえの忘却 ....
2016年3月21の吹雪
   対
マイルス・デイビス
 「Bye Bye Blackbird」


      コーヒーの湯気と
      古いポートレート
      中心を射抜 ....
一日の仕事を終えて
帰った家のソファに、坐る。
ママは台所に立っている。

人より染色体の一本多い、周は
パパが足を広げた間に
ちっちゃい{ルビ胡坐=あぐら}をかいて
「おかあさんといっ ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
   人は生死の境をさまようとき
   花園を見ると言うけれど
   地獄の蓋が開くという彼岸に
   見たのは色を失った現世だった

闇の空から眺めていた
墨色の広大な砂場には
まばら ....
珠を数えている。
腕に通された木目の珠を。

祖母が亡くなったとき 
父が握っていた大粒の珠を、
父が四角い小さな石塔になったとき 
母の手首に引っ掛かった数珠の珠を、
数えている。
 ....
雀始巣
すずめはじめてすくう


佐藤さんちの玄関の
パンジーの寄せ植えから
オハヨウを拾い上げて

鈴木さんちのベランダの
古い室外機の裏側から
サビシイを探し出して

 ....
近づくこと
遠ざかること
 
 暗い 
    音節の 
  蝶番

止まることを拒む

海の裾のドレープ
駆けあがる白い泡

絶えまなく
描き直され
     拒みながら ....
 丘から見える遠い園生は純白に染まり、
 私の吐息と重なって淡く輝いている。
 手前に見えるロココ調の建築物はそれ自体が見事な絵画のように
 緑一色の額縁で装飾されている。

 丘の上に ....
夏美かをるさんのおすすめリスト(7676)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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乾燥地帯- Lucy自由詩16*16-5-2
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春風- 灰泥軽茶自由詩316-4-18
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雀始巣- nonya自由詩18*16-3-19
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