先月末に、大学を卒業してから勤務してきた会社を退職しました。最後はグループ会社の経理をしていたのですが、丁度グループ子会社の再編が始まりバタバタしました。やっと落ち着いたところで退職できました。
 ....
赤い線が
皮膚の上に浮かび上がる
今朝
バラのとげが作った傷が


わたしのからだの中の
赤いこびとたちが
あたふたと
いっせいに傷をめざして
走っていることだろう

猫を飼 ....
三日前、一度だけ会った新聞記者が
病で世を去った
一年前、後輩の記者も
突然倒れて世を去っていた
彼の妻とは友達で
今朝、上野の珈琲店にいた僕は
スマートフォンでメッセージを、送信した
 ....
羽が落ちている
本体は見当たらないから
誰かが食べてしまったんだろう
羽は食べてもおいしくないだろうし
さしたる栄養もなさそうな
だけど
錆ひとつない
無垢な部品

ない、みたいに軽 ....
いつの間にか落ち込んで、本棚の隅に引っかかっていた文庫本を見
つけた。手に取って頁の目地に溜まった埃を払う。

金沢市片町1-1-23 07**−61−7950

古い住所のその ....
牛乳を大きなカップに注いで
取っ手をぐるぐる豆を挽く
すうっと匂いを嗅いでホンジュラス
充分に沸騰させたお湯が好き
泡が立つ滴が落ちて
ゆっくりとゆっくりと流れて
お腹の底に渦を描いて満ち ....
お義母さま
あきの こごえです
朝風に 精霊バッタの羽音が
そっと 雫を 天に すくいあげています

何が終わったのでしょう
もう はじまりはじめの空
むかしむかしの反対のはじまりのはじ ....
とても疲れた夜はシュークリームひとつ

頬張る前に胸いっぱい息吸い込んで

放射線状に広がる口いっぱいの甘さ

幸せ歩く足音

横断歩道を渡らずに

何処かの惑星にいるような

 ....
僕のちいさな時間をかえしてほしいんだ
双眼望遠鏡に閉じ込められたほんの僅かな視差を

星雲の光年には追いつけやしないけれど
僕たちは自分のひかりの速度をもっている

パラダイスには遠いが自 ....
――誰もが探しているものは何?

ふり返ればずいぶん
{ルビ流離=さすら}ってきたけれど

――わたしが探しているものは何?

  青い光
  ヨコハマの
  青い光

それは観 ....
{引用=悪徳商法}
架空請求書が送られて来た
金額は自分で書き込むようになっている
魂の値段と 生の負債総額
その差額を生きている間に振り込めと言う

この後なに一つ善行をする予定はない
 ....
娼婦の臍の下に咲く薔薇のタトゥー
聖書を一枚ずつ破って巻紙にする
燐寸に踊る白い蛾のささやき
さ迷うオーブ雨の匂いどこまでも
――おやすみなさい


――追伸
あなたには太陽を
終わ ....
線香花火の玉落ちて
地平の向こうは火事のよう
昼のけだるい残り香に
なにかを始める気も起きず
夏の膝の上あやされて
七月生まれの幼子は
熟れた西瓜の寝息させ
冷たさと静けさの
内なる潮 ....
黒雲に覆われた空から
雷鳴降り注ぎ
驟雨の中を
啼き騒ぎながら飛ぶ鴉 
 
うららかに
影が伸び逝く
削られた肺の形に
木の葉が揺れる
今年だけの命が昔から
そして遠くまで
まる ....
小さなサイコロが
ころがっていく

平坦に見えた道に
傾斜がかかりはじめたから
なにもかもが
かろやかに
だけど
のがれることはできない

さよなら

さよならも
すなつぶも ....
樹木に絡む細い雨
しっとりした芝生
鳥たちの早すぎる朝の歌
あなたは夢見る髪の渦
傘を差そうか差すまいか

照り返す水の雲
ほどけ去る踊り子の
糸つれひとつ引くように
白いけむり青く ....
小さく尖った歯で
骨付き肉に喰い付くと
遠い昔がよみがえる
自分がまだ産まれてもいない
遠い時間の記憶が

タイムマシンはまだ発明されてはいないけれど
かたちのないタイムマシンはいつだっ ....
 パリ、モンマルトルの享楽街の中でも、ひときわ輝く大きな劇場があった。
 名を『ムーランルージュ』という。

 彼らはそこで活躍する芸人だった。
「ねえジャン、あたしたちがコンビを組んでもう ....
あなたは目を閉じる
すると見えてくる
哀しみ

逃げるのではなく
拒むのでもない
内側にある哀しみと
向き合う

泣いている人が
本当に悲しいのかは
外側からはわからない
笑っ ....
ひとつの楽曲が
獣のように現れては去って往く
そんな境界で白いけむりを手繰ること

倒木の洞
爛熟の火照りから上ってくる
固く閉ざした{ルビ鞘翅=さやばね}の囁くような反射

メモ書き ....
雨の音のくぐもり
かえるの声は少し哀しい
遺伝子を残すために
自分とは違う誰か
或いは
自分と同じ誰かが必要なんて
生きていくことは
素敵で
残酷だね
結ばれない糸は
螺旋を繋げず ....
朝から珈琲をぶちまける。おそらく私が無意識にテーブルに置いたカップは、テーブルのふちから少ししはみだしていて、手を放した数秒後引力の法則によって、まっとうに落ちた。……なんてこった。一瞬の気のゆるみが .... 薔薇の散るかすかなざわめき
酸性雨はやみ
コンクリートは少し発熱している
大きな海で貝は風を宿し
小さな海では蟻が溺れる
波紋はいつだって
丸く
遠く
対岸で鳥はさえずり
ポストはチ ....
ぽたり

心の壁の左下の
しみったれた蛇口は
しまりが悪くて
思い出したように
言葉が滴り落ちる

気紛れに
小さな器で受け止めて
液晶の畑に撒いてみるけれど
発芽するのは
 ....
流れ出た血が固まるように
女は動かない
動かない女の前で暫し時を忘れ
見つめれば やがて
そよ吹く風か 面持ちも緩み
――絵の向こう
高次な世界から
時の流れに移ろい漂う
一瞬の現象で ....
鶺鴒はすばしこく歩き雲雀は高く囀っている
生憎の曇りだが風は早足
日差しが覗けば芝桜も蜜を噴くだろう
虫たちが酔っ払って騒ぎ出すほどに
脇目もふらず歩く老人の後を付ける
サメの背びれだけが光 ....
通夜のさざなみ

鯛の骨がのどに刺さって
死んでしまうなんてね
或る死の理由が
人の口から口へとささやかれ



悲劇

重力がない世界では
シャボン玉も落ちてはこない
だか ....
白樺からか
ハンノキムシ
熱で磨いた色味して
降って来た
フロントガラスの向こう
鈍い光を投げ返し

 ひとつ
   ふたつ
     みっつ

涙の粒
星を深く沈めた
夜を ....
雨は降りやまない
けれど
雨音は音符に変換されていくから
赤子も子燕もやすらかに眠る

雷は遠く くぐもって鳴り
狙い撃ちされる心配はいらない

流れ星のいくつかは
蛍に生まれ代わり ....
コップにお水をいっぱい

こぼれそう

レモンを垂らして

ごくごくと飲み干せば

ため息一息ついて

落ち着いて立ち上がる
夏美かをるさんのおすすめリスト(7676)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
退職の日に_/_旅立ちの日に(最終版再投稿済)- beebee散文(批評 ...9*18-9-22
猫とバラ- そらの珊 ...自由詩25*18-9-19
光の欠片- 服部 剛自由詩1318-9-18
ひとひらの落とし物- そらの珊 ...自由詩16*18-9-18
片町書店へ__/__悪戯電話をして- beebee自由詩11*18-9-16
朝カフェオレ- 灰泥軽茶自由詩318-9-10
ラ・ラ・ラ族- るるりら自由詩22*18-8-30
吸い込むシュー- 灰泥軽茶自由詩218-8-26
ちいさな時間- 梅昆布茶自由詩1418-8-20
言葉の船_―横浜詩人会六十周年に寄せて―- 服部 剛自由詩918-8-8
終りに三つ- ただのみ ...自由詩13*18-8-8
最後の絵葉書- ただのみ ...自由詩11*18-8-4
枝垂れる文字も夏の蔓草- ただのみ ...自由詩14*18-8-1
雨上がり- Lucy自由詩11*18-7-15
夏の入り口へ- そらの珊 ...自由詩2018-7-15
皮膚に隠れて- ただのみ ...自由詩9*18-7-14
野性の夜に- そらの珊 ...自由詩13*18-7-2
ムーランルージュのふたり- そらの珊 ...散文(批評 ...718-6-27
ジョルジュ・ルオー_「ピエロ」- Lucy自由詩9*18-6-23
覚悟して往きましょう- ただのみ ...自由詩8*18-6-23
まっさらな海へつながる- そらの珊 ...自由詩1218-6-19
不運も幸運もすべてシャッフルしたような雨上がり、ひとり洗濯機 ...- そらの珊 ...自由詩1218-6-7
六月の朝はまどろむ- そらの珊 ...自由詩1618-6-2
蛇口- nonya自由詩17*18-6-1
静止性- ただのみ ...自由詩12*18-5-30
老人- ただのみ ...自由詩5*18-5-26
ふたつつむじのゆくえ- そらの珊 ...自由詩19*18-5-26
光沢- ただのみ ...自由詩3*18-5-23
架空の街- そらの珊 ...自由詩11*18-5-23
コップ一杯- 灰泥軽茶自由詩218-5-21

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256