死にたくなる街を歩く足に魚の目
夏の庭には自然が蔓延る
カマキリが三角頭をかしげ
雑草が繁茂して人間の通り道をふさぐ
葉裏から湧き出る蚊
這い出すヤスデ
ときには小型の蜂が哨戒し花を個別訪問する
手入れした庭の美 ....
わずかばかりの乗客を乗せた
昼下がりの鈍行列車の
窓を少しだけ開いてみると
六月の薫風がそっと忍びこんできて
僕の睫毛を醒ますのだった
この車両は最後尾なので
終着駅に到着する
....
なんとかここから這い出そうと
あらん限り手を伸ばしても
握りしめるのは砂ばかりで
こっちだよこっちだよと
地底から伸びる生ぬるい手に
足首を絡めとられる
もがくたびに砂を呑み込み
喉 ....
ダンボールに愛が1ヶ
ワレモノ注意
落とさないでください、くだけます
異臭のする道に耳の長いネズミ
齧歯類は常に齧る。はを減らさなければ、死ぬまで、歯が伸びて行く。
猫は爪を研ぐ。爪の鞘を引き離す。死ぬまで、爪が伸びて行く。
人間は自惚れる。いろいろ挫 ....
おしるしが来てから二日後
夜、下っ腹に引きつる痛みがあった
陣痛 前駆陣痛か はたまた胎盤が剥がれてしまったのか
ネットで調べる仰向けの オロオロ妊婦
これは我慢できる痛みだから 陣痛 ....
{画像=140615125414.jpg}
(ジョウビタキの♀)
これまでは耳を開ける事はなく
いつも音楽を流し込んでいた
今はイヤホンを外して
外界の音を追っている
鳥の鳴き ....
電車に忘れた傘といっしょに消えてて欲しい過去
移動遊園地のメリーゴーラウンド
イルミネーションに 子供が歓声をあげる
いつまでも追いつかない 振り向いた笑顔
もどかしい楽しさを思い出す
丘の上の石段に座って
町並みの彼方に ....
根を断ち切ろうとしたから
枯死しかけたのだ
根は父からの愛
古い蔓を伐ったから
新芽は萎れたのだ
古い蔓は母からの愛
依存することを嫌い
愛されることを拒んで
君は自分にな ....
蹴破る足はないが
閉された扉の前で待つ気もない
おれ自身が監獄
だから言葉は旅人だ
去り行く背中に
翼など無く
タダノモジノラレツ蟲は
預言の首飾りの哀歌 ....
海の匂いがする風が
過ぎていく時に
光と
圧と
匂いと
音で
描く
飛ぶ
鳥は
海風に向かい
まるで静止しているように飛ぶ
鳥は
生きる ....
ヘッ ヘックション
風邪ですか
ハウスシックかもしれませんねえ
多いですねえ カビとか
ええ 婆さんの華美もいやですねえ
胞子も飛んでいますから
ケイタイから出るやつもありますし
あれは ....
>吹いて
<吸って
<吸って
>吹いて
あたたかい息が
リードをふるわせると
やわらかい音符があらわれる
>吹いて
>吹いて
<吸って
>吹いて
さみしい唇を
....
誰もシラナイ理由が無い
わずかな隙間を生きているような気がするんだけど
近代現代近未来
産業ロボットはやがてラインを離れて
どこへ行くの
母を殺し父も殺して最果ての
流刑の地さえも ....
一度も開くことなく折れた傘を供養している
とても
とほうもなくとても
すてきな小説を読んだ夜
手放してしまうのが惜しくて
胸のなかで
それを抱きしめつつ眠れば
冬由来のゼラチンは
純粋な水によって
隅々までふやけ
迎えた ....
僕の文法のSは君と僕
Vは生きることだ
訳もわからずOをもとめてさまよう
たまさか生まれる言葉でCを綴る
規則正しいものに反感を持ち
疑うことの正当性をつかもうとして
いつのまにか自分 ....
世界はゆっくり流れてる
優しい人の温かい気持ちが
心に沁みる
何かを頑張っている
大切なことを
あきらめずにいる
手のひらが熱くなる
疲れた身体でも
....
ほとんどの恋とは、
心にだけ映っていて視ることはできない
約束された秘密の世界のことであったなら、
それから、あらゆる愛とは、
はっきりと形がある存在であって、
与えることも与えられることも ....
生まれたときにもらった種に
水をあげようと
じょうろに
たくさん水を汲んでいた
少年がいました
だけど、少年は
水を汲んだ帰り道に
少年と同じように
植木鉢に水を欲しがっている
....
空は薄暗いのに
色とりどりの看板や
揺れる木々の葉を
濡れた舗道は律儀に映し出す
冷たく滲んだ風景画を
靴やタイヤが
踏んでいく
ブラインドの隙間から
見ている私の
雨の記憶 ....
折れた傘ゴミ箱に挿しこんで本当の笑いかた忘れた
金属製の留め金は
時折きしむ
わたしを
ここに
留めておくもの
家族とか
四季咲きの薔薇だとか
増えていくばかりの本棚とか
愛すべきものたちばかりなのに
長雨のあと
造成地 ....
トイレットペーパーの芯で
1/10000のスペースコロニー模型を作る
125万平方メートルに1万人が居住するスペースコロニー
1万人がいる狭く閉じた空間は精密な環境下の秩序で成り立っていて
....
まるくなった猫の眼 チャイナドレスの黒い髪
いつものことのように 振舞う
カフェは満員だったけど 手を上げると
席を作ってくれる シェルブールから来たギャルソン
もう 彼の故郷に行 ....
今年の冬は
何時もの細長い島へ避寒に行くのよそうかな
島で 子作りするでもないし
このあたりでも河面も凍らなくなったし
餌の小魚も採りやすいし
あの島の平地にはニンゲンの巣が広がって
....
みなさん元気にしてますか?
ぼくはどうにか元気でやってます。
え?お前、誰だよって?
ちょっと待って下さいよぉ、
ぼくですよ、ぼく。現代詩です。
現代詩ですよ!
このまま世間に見向きもされ ....
火の山は
融けた岩と灰を降らせた
あたしのこころに壁を作った
驟雨の日 傘を置き忘れてきた
古びた駅舎のベンチにぶら下がって
薪ストーブの熱に 涙は乾いて小さな結晶に
誰かが ....
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