赤錆びた内なる世界から
私の退屈な半身が生命の扉を開けた。
今度は長旅になるらしい。
私は我が生命の光が再び灯るよう、半身に祈りを捧げ、見送った。
意気揚々と旅立つ若者に、私の心は鋭く反応 ....
 なあ
 おまえ歩くスピード遅くなったな

   そうかな

 そうさ

妻と散歩する夕暮れの利根川の土手は久しぶり

   ねえ
   誕生日プレゼント リクエストしてもいい?
 ....
ぼくらは言葉を繋げて
この暗い宇宙を何処まで渡って往けるだろう
一冊の詩集が時を越えることは
真空パックの棺が難破船のように
意識の浅瀬に漂着し鮮やかに燃え上ることだ
死んだ詩人についての{ ....
水はある
でも流れはない

花は咲く
でも土はない

枯葉はある
でも樹々はない

鳥は飛ぶ
でも空はない

音はある
でも音楽はない

陽は昇る
でも朝はない

 ....
愛されニキビ多く浮気されている 我が家ではハムスターを飼っています
だいじにみんなでエサをやります
水をやります
砂もかえます

ハムスター檻の中で
かさこそかさこそ

今日道路脇で猫が 犬が
しんでいました
ひ ....
秋が来ていた

遠い遠いところから
この家のどこからか

そっと耳を澄ますと
秋がわたしを呼んでいた

遠い遠いところから
あの日と同じ声がした

呼ばれるままに
仏間の襖 ....
見上げると、木漏れ日は白く
辺りの緑を淡く包んでいる。
優しい。
ただひたすらの優しさが僕を愛撫する。

沈黙する森の中でころころと流れる風。
郭公の呼び声も既に久しく、ひぐらしさえも歌わ ....
逃げている
追いかけてくるものから
ひたすらに逃げる夢

スローモーションで
お決まりのように
足が重くて
だるくて
走れないのに
すぐそこにまで
迫りくるものから
逃げている
 ....
それがお友達だった
セピア色なんてハイカラじゃあない
リアルな書きにくい紙でしたよ

5bの鉛筆
とっておき
茶色に踊る
鮮やかにね

藁半紙に書いた夢は
遠い昔の夢となった

 ....
どんなにおそろしいか
どんなにふあんか
まくらやみのなかで
ふみだす そのいっぽ

声をかけられなかった
ずっと昔
学校帰りの交差点で
その人は白杖を持って
信号待ちをしていた
声 ....
 真っ白な紙を見て
 僕は、こう考える

 ここでは、
 何にでもなれる
 どんな事でも出来る
 どんな世界にも行ける

 なにかを
 創造するということ
 言葉を通じて

  ....
人型サボテンは狂い咲き
愛人は血を流し過ぎたのだ
肌蹴た胸に呪詛めく黒子口移しで
器から器へと移動しながら
情熱は霧散して往く愛は
溶けないままで重く沈殿する 


裂く天つめたい銀河 ....
書けないときは
過去作でもなんでも
コンスタントに毎日投稿し続けて
さくさくお茶を濁しつつ
ポイントだけは
こつこつ稼ぎたい・・と
いよいよポイント依存症になりつつある
という自覚はある ....
虚空に向けて指さす人
その指先は何を示す
道標
明日の空
去っていった人の背中

夏の香りを衣装箱にしまい込み
スマホの写真を整理
一つ 一つ
削除しながら
思い出にサヨナラを告げ ....
感情が動くとつらい
身体中
気持ちで
いっぱい
重くて
重くて
横たわる

自分の
殻に
こもって
誰にも
会わず
何処にも
行かず
誰からの
言葉も
耳に
入れず ....
僕たちはすれ違う小彗星のように
尾をひきながら歌って生きてゆくのだ

そのときに交感した想いだけが
やさしいえねるぎーとなってさらに
宇宙の深奥へと誘われる生命なのだから

まだ魚だった ....
ぼーとテレビを見ていて
半開きの唇から
涎が一筋
急いで手で拭き…
認めない
涎を垂らしたことが老いのせいだなど
ただ 口を閉じていなかっただけ
幼児は涎を流し
若者だって 口角泡を飛 ....
消えたデータは消えたかったから消えたのさ
晒すものではなかったらしい 小癪だがな

二度目を脈打つと まったくの別人

アンタ誰なのさ まぁよかろう

 アタシはドライ詩が書きたかったの ....
今日は一日平穏に終わったと
一日に句点は打てたと
なにかに感謝する自分がいる

今日はちょっと辛いことがあったと
でも一日に句点は打てたと
なにかに礼をする自分がいる

今日はタイトな ....
新しい文明についていけない、老い、ヤラレル、という人々をターゲットに 
マネーゲームは 果てしない

今日も 宅配便の中年が 老婦人が出した百円玉が一枚足りないと
トロクサイ手つきを笑い ....
遠い、遠いあの日
結婚式のときにいわれたな

サムシングブルー
何か青いもの

「青」とは
透き通る
悲しみと、誇らしさ

おお、結婚。

はて、それならば
離婚の色は
何 ....
詩を待つように 私を待つ
たとえばバス停
駆け込み乗車して
時間に運ばれていく人と
置き去りにされる私
発車したバスがベンチから遠ざかるスピードで
私たちの溝はできてゆく

同じ街まで ....
夜風に揺れる柳は指揮棒
無数の電灯や家の灯りを観客に
雲の幕に覆われた月が
月光という合奏と共に現れる夜
デクレッシェンドして
新月になり
クレッシェンドの頂点で
今宵は満月を迎 ....
水絵具で描いた 月の光
宵待草の恋は セピアの思い出に
茶色い時代の かざぐるまが回った
夜店の裸電球に くっきりと影を作って


夏が去っていく 風と花を連れて
公園の片隅に ぶら ....
 論理というのは
 ギアボックスみたいなもの
 私たちの心に構築され
 その行動を、司る

 でも、
 スチールの
 箱の中に押し込められた
 小さな歯車の数々が
 錆びつき、牙が欠 ....
冬の間近に聴こえた去勢の声が
立ち止まらない足跡に踏み締められてしまって
還らない記憶となる

季節は幾度も挨拶してくれるが
それ以上語り合うことはないので
私の名前を一向に憶えてはく ....
何年ぶりだろう
二人で食べる黒蜜のあんみつ

手術前のある日の病室

老舗の和菓子屋の前を通り
ふと気づいて買った
お土産のあんみつ

あんみつの中には
紅白の求肥や赤豌豆
漉し ....
いちじくがなりすぎて
おしうりされて
いやになる きみの
ことがだいきらいなわけではないけど
だいすきなわけでもない
いっそきらわれたほうがましとでもいうように
そのみはすこしわれていて
 ....
哀しみは秋の日差しのように
ポロポロ
ポロポロ
こぼれるけど
いつまでこぼれるだろう
どこまでこぼれるだろう
哀しみは河の流れのように
サラサラ
サラサラ
流れるけど
いつまで流れ ....
夏美かをるさんのおすすめリスト(7676)
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いのち- 朧月自由詩214-9-12
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