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{引用=幼恋歌}
暑さ和らぐ夕暮れの
淡くたなびく雲の下
坂道下る二人連れ
手も繋がずに肩寄せて
見交わすこともあまりせず
なにを語るか楽しげに
時折ふっと俯いて
風に匂わす花首か
 ....
西野の花屋で薔薇を買った
高価だから四本だけ(バーボンに託けて)
紫の花弁が密集しておいそれとは見せてくれないタイプの娘がふたり
丁度よく開いた白い花弁になよやかに反り返る
ピンクの縁取りの娘 ....
  光に眩む草刈りの
  発動機の音
  青々とした虚無に吸われて
  日めくり捲る孫の手中
  また皆殺しの夏が来る


「頭のいい憂鬱はよろしくない 理屈っぽいのは特に
「そんなや ....
封筒を開くと雨が降っていた
ポプラを濡らし翻るみどりの雨
ふるえる雛鳥を包み込む手つき
そうして一気に命を絞り出す
言葉は自らを断つ

川沿いの公園
濡れるがまま置き去りにされて
終わ ....
浮き沈む鳩の斑な声に文を書く手も唖になり
犬連れの人々が屯う辺りへ角張った眼差しを投石する
紙袋を被る息苦しさ己が手足を喰らう祈り
内へ内へと崩落しながら書くほどに死んで往く


薄緑のカ ....
ひと口 ふた口
切れ切れになったドーナツ
片付かないテーブル
固着して動かない暗い光の厚み

幼子の足どりの{ルビ覚束=おぼつか}なさ{ルビ鶺鴒=セキレイ}の尾のタクト
風と雲 木漏れ日を ....
風のない日も向い風
おでこもあらわペダルをこいで
きみは往くきょうも
仮の目的地へ
本当に往きたい場所には
まだ名前はない
愛せない地図ばかり
もう何枚も手元にあるが
こんなに長い一瞬 ....
 *

川沿いの萌え木はふるえている
見えない愛を実感したくて
目を閉じて 身をゆだねた

 雨の弦 爪弾く眼差し

貝殻を拾う仕草で
またひとつくぐる風の裳裾
昨日も今日も 
 ....
風が担う祝祭の神輿

白蝶ひとひら
    またひとひら

もつれ ほどけて
    また結ばれて

あどけない水の声
    まろぶ 光の鈴

うたたねの距離
 雲雀につられ ....
ちいさな手がタンポポを摘む遠い日だまりに
開けられないガラス壜の蓋を捻じる
地平は終わらないラストシーン
エンドロールもなくただ風だけが映っていた

たわわに飾られた花籠に果実のように豊満な ....
夢の中となりに座ったあなたと話すことが出来なかった
夢でもいいから会いたいと願ったあなたがすぐ横にいて
あなたはもはやあなたではなくわたしの心の影法師なのに
あなたを知りあなたの心を慮ることで虚 ....
黒い森に満ちてくる水の囁き
乱立した死を足元から咀嚼して
本能すら気づかないまま飼い馴らされ
鳥も猿もみな魚になる
愛の骸の揺籃は腐った銀河のよう
崩れ去って昼も夜もない今
柔らかな時計の ....
けれども雲はいつも太陽を仰いでいる
暗雲だから項垂れて地を見下ろしているとは思うな
幸福を見つけた者が全てを置き去りにするように
地のことなど顧みはしない
どれだけ雨が降ろうが雪が積もろうが
 ....
夕陽を抱いた木々の裸は細く炭化して
鳥籠の心臓を想わせるゆっくりと
いくつもの白い死を積み冬は誰を眠らせたのか
追って追われる季節の加速する瞬きの中
ゆっくりと確かになって往く単純なカラクリに ....
{引用=悪徳商法}
架空請求書が送られて来た
金額は自分で書き込むようになっている
魂の値段と 生の負債総額
その差額を生きている間に振り込めと言う

この後なに一つ善行をする予定はない
 ....
娼婦の臍の下に咲く薔薇のタトゥー
聖書を一枚ずつ破って巻紙にする
燐寸に踊る白い蛾のささやき
さ迷うオーブ雨の匂いどこまでも
――おやすみなさい


――追伸
あなたには太陽を
終わ ....
線香花火の玉落ちて
地平の向こうは火事のよう
昼のけだるい残り香に
なにかを始める気も起きず
夏の膝の上あやされて
七月生まれの幼子は
熟れた西瓜の寝息させ
冷たさと静けさの
内なる潮 ....
樹木に絡む細い雨
しっとりした芝生
鳥たちの早すぎる朝の歌
あなたは夢見る髪の渦
傘を差そうか差すまいか

照り返す水の雲
ほどけ去る踊り子の
糸つれひとつ引くように
白いけむり青く ....
ひとつの楽曲が
獣のように現れては去って往く
そんな境界で白いけむりを手繰ること

倒木の洞
爛熟の火照りから上ってくる
固く閉ざした{ルビ鞘翅=さやばね}の囁くような反射

メモ書き ....
流れ出た血が固まるように
女は動かない
動かない女の前で暫し時を忘れ
見つめれば やがて
そよ吹く風か 面持ちも緩み
――絵の向こう
高次な世界から
時の流れに移ろい漂う
一瞬の現象で ....
鶺鴒はすばしこく歩き雲雀は高く囀っている
生憎の曇りだが風は早足
日差しが覗けば芝桜も蜜を噴くだろう
虫たちが酔っ払って騒ぎ出すほどに
脇目もふらず歩く老人の後を付ける
サメの背びれだけが光 ....
白樺からか
ハンノキムシ
熱で磨いた色味して
降って来た
フロントガラスの向こう
鈍い光を投げ返し

 ひとつ
   ふたつ
     みっつ

涙の粒
星を深く沈めた
夜を ....
天は雲から雨を紡ぐ
恵み災い七重八重
おぼろ単衣に織り上げて

 過ぎ去る盛り嘆いてか
 逝ったものを想ってか

俯く{ルビ顔=かんばせ}つめたく包む
想い溢れて七重八重
火から滴る ....
命がけで海の深みに潜り
古の眠れる宝を手に入れた男の話
錆びついた鍵を抉じ開けた
宝箱の中には
見覚えのある割れた手鏡ひとつ

結果より過程
得るよりも追求
流離うなら古代ギリシア
 ....
今朝は青っ{ルビ白=ちろ}いぬっぺらぼうすっきりしない暑くなりそう
砂ぼこりに跳ねる光キラリ目の端っこで鰯の稚魚みたいに
きっとありゃガラスの欠片だれが割ったか知らないけれど
小学生の道徳を中学 ....
黒焦げのトーストがいいマーガリンでいい
バターじゃなくていい
蜂蜜は国産 養蜂屋の小さな店先のがいい
種類にはこだわらないがシナ蜜なら尚いい

雨が降る前に用事を済ませたいが
用事の方がは ....
木片の内には像も形もない
{ルビ自=おの}ずと示す雛型も
なぞるべく引かれた線も
一つの像が彫り出された後で
木片はその内部に
一つの像となりうる可能性を秘めていたと
言えるだろうか
限 ....
杯から酒が溢れている
容量以上に入りはしない
さあおこぼれにあずかろう
わが同胞よアル中諸君

財布から札が溢れている
使える額など知れたもの
恵んでもらえだめなら盗め
親愛なるストリ ....
しようとして したのではない
しようとしないからできること

いたるところに仕掛けた笑いの影で

逃げたのではなく逃がしたのだ
あなたはあなたを 作品の中へ

なに不自由なく澱んでいた ....
絆は悲鳴を上げる
壊れたオルガンから吹いてくる
冷たい無言の侵食に
皮膚は乾いて剥がれ落ち
ざらついた土壁が顕わになった
隠れたところから見ている
目が
衝突して{ルビ擦=こす}り付けら ....
夏美かをるさんのただのみきやさんおすすめリスト(418)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夭折- ただのみ ...自由詩10*20-9-12
ちょっとした秘密- ただのみ ...自由詩13*19-7-7
内出血- ただのみ ...自由詩5*19-6-30
モノローグ/断絶のために- ただのみ ...自由詩12*19-6-23
鳩と修司- ただのみ ...自由詩7*19-6-15
拭えない- ただのみ ...自由詩7*19-6-8
自転車少女- ただのみ ...自由詩15*19-6-1
音叉- ただのみ ...自由詩11*19-5-26
陽炎- ただのみ ...自由詩13*19-5-19
風の巣- ただのみ ...自由詩12*19-5-3
あなたの夢をはじめて見た- ただのみ ...自由詩16*19-2-11
編み直される時間- ただのみ ...自由詩8*19-1-27
幸も不幸も- ただのみ ...自由詩12*19-1-2
見えない幻- ただのみ ...自由詩17*18-12-31
終りに三つ- ただのみ ...自由詩13*18-8-8
最後の絵葉書- ただのみ ...自由詩11*18-8-4
枝垂れる文字も夏の蔓草- ただのみ ...自由詩14*18-8-1
皮膚に隠れて- ただのみ ...自由詩9*18-7-14
覚悟して往きましょう- ただのみ ...自由詩8*18-6-23
静止性- ただのみ ...自由詩12*18-5-30
老人- ただのみ ...自由詩5*18-5-26
光沢- ただのみ ...自由詩3*18-5-23
五月の桜- ただのみ ...自由詩6*18-5-19
名無しの快楽- ただのみ ...自由詩12*18-5-16
きっと君はスカラベみたいな瞳で- ただのみ ...自由詩4*18-5-12
50階- ただのみ ...自由詩10*18-4-25
空を彫る者- ただのみ ...自由詩15*18-3-7
こぼれ話- ただのみ ...自由詩12*18-1-27
「――№3」に寄せて- ただのみ ...自由詩9*18-1-17
ことの終わりの理- ただのみ ...自由詩7*18-1-13

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