ふと想う
一生懸命な趣味とは
道楽などと云う
ものではないのだけれども
きっと最初は
お金を使ってしまうだろう
どんなジャンルでも
ワールドカップのような
競技があるように
世界 ....
君の右側がどんどん物化してゆく
歩くこともままならない
食事することもままならない
まして字を書くことはままならない。
自分の署名すら出来ない。
君は苛々する。
もうだめかも知れな ....
平面の布に
針を刺していく
そうして出来た
糸の道を引くと
操られるように
現れる
立体の波は
少女の真新しい綿のスカートの裾を
縁取って踊った
風、曲面のゆらぎ
影とひかり
....
言葉
言の葉
言霊
らららら
それぞれが意味を持つ
無意味なものなんて無い
未知のものがあれば
新しく与えよう
花も石も星も色も
愛され{ルビ呪=まじな}われ
誰かを笑顔に ....
パンが食べたい
結婚して子供をもうけたが
三十過ぎに発覚した病が原因で離婚
その後は親もとで闘病生活の女性を担当している
駅前のマクドナルドで聞いた
きみの近況
脳下垂体の異常 ....
41年
生きてきてわかったことは
時は流れるということ
だから焦らなくていい
焦らなくていいよ
どんな失敗も
やがて笑い話にかわる
41年
生きてきてわかったことは
忍耐強く生き ....
箸でつまんで
ポトリ ポトリ
やわらかな壺へ
金色の毒虫入れ合うの
互いに舌を絡め
{ルビ騙=かた}ることば
海が見たい騒がしく
鳥が声が
眼裏掻っ切って
わたしたち手探りのままでい ....
電車の窓ガラスに映る
何か忘れ物をしたような顔は
別の世界にいる自分を夢見ている
手に入れたものと失ったものを 秤に載せて
手の中にあった 虹色の玉は
守ろうと握り締めた瞬間に ....
これは本当の猫じゃない
昼間は猫のふりをしているが
真夜中、家人が寝静まる頃
ぼんやりと白く光って
人のかたちをしたものに
そして私の布団に
勝手にもぐりこんでくる
私はそれをだきしめる ....
父と過ごす最後の時まで
離れまいと決めた早朝。
冷えきった畳部屋であぐらをかき
ゆっくりと茶をすする父がいると
何気なく思う。
眠ったままの父をみつめ
正座を崩してそこに座れば
....
疲れた顔で見舞いに来ないでほしい
わたしの看護のために
あなたを育てたのでは無い
あなたはあなたの生き方で
社会の仕事を果たさねばならない
それがあなたの人生
わたしの看護が加 ....
足の裏をみたら無愛想だった
私自身あまり話しかけたこともない
思ったより冷たいやつだとおもった
彼もまた
固くて冷たい彼に触れるうち
いろんなものを踏みつけてきた昨日をおもった
ど ....
新緑の木漏れ日
雨上がりの朝
ひとの気配を飲む森
まぐわうように
愛をからませて吐く息
命の匂いに満ち満ちて止まない
そんな五月のように私たちが求めて止まないころ
得ようとしていたもの
....
赤い糸
ほっとくとだんだん透きとおって見えんようになります
そやからときどき紅を差します
絶対的と言う言葉は無いと
あろうことか
児童を守るはずの職員が
暴力と共に吐いた
考えて欲しい
板張りの床に算盤
そこに正座させたり
ケツバットを教育だとする ....
治療しなければ半年です
そう告げられました
でも私は治療をします
そして半年以上生きます
生きます
つるーっと
玄関から入ってきた
ひとつのボール
丸いな
手にとるわたし
明日は晴れるのかな
お母さん
きっと晴れね
これ水色だもの
受けとるお母さん
夕ご飯は何 ....
サワサワとゆったり
流れる河のほとり
私は目を閉じ姿勢を正して
瞑想を試みる
私の心臓はトクトクとリズムを刻む
トクトク
上流から聞こえて来た小さな音
近付くにつれ音は大きくなり
....
「山林へ」
いつものように山仕事の準備をし山に入る
ふしだらに刈られた草が山道に寝そべり
そこをあわてて蟷螂がのそのそと逃げてゆく
鎌があるからすばしこくない蟷螂は
俺たちと同じだ
....
ドヤと言う言葉を
君はご存知だろうか
横浜と言う
首都の隣の
港町
もうドヤドヤと
酒場を賑やかする
声は無い
季節労働者は
簡易宿で
死ぬを待つ
南区役所に行け ....
父を失った悲しみが癒えるとき
棚の奥にしまったままの写真は
寝室であった部屋の鏡台に置かれる。
新しい写真立て
マーブルチョコレートとゼリービンズ。
それらは決して開かれないまま
誰か ....
零れ落ちた詩を拾い集め
パズルを組み立てる代わりに
初めて出会った場所の記憶を掘り起こす。
(それがどこなのか、悲しいくらい忘れてしまった。)
今
目の前に居るのは幸せに ....
くるくると回る提燈の灯りの元
笑ったように眠る父が居る。
父の横に座り
口元に耳を近づけて
微かに聞こえる寝息を聞いた1月15日の深夜。
父を挟んで布団を敷いた妹たちは
....
先生、私たちの昼間が消えていきます。
カレンダーに休日がひとつ、足りないのです。
青と赤の隙間に、数字のいち、が。
時計は、今、だけを、さしたがる、から、痛い。
数字が昨日と明日を覚え ....
発する柔らかな音のかたちが
まだ定まらないころ
神経衰弱でトランプを捲るように
何度も見て触れて味わって
モノとなまえが一致して行く
意味を纏うのはまだ先のこと
ちいさな器は無限に広く深く ....
きみの悲しげな 薄茶の瞳が
雨に濡れた 捨て犬の耳に重なる
愛してるんだよ と 大きな声で
もし あの雨の日に戻れるのなら
真っ直ぐな思いに 応えられなかったのは
どこかに 罪の ....
テレビの中
子供の頃の私の口癖は 「テレビの中に入りたい!」だった
華やかな舞台の上で 踊って歌うアイドルに憧れて
親戚の前で物まね 未来のスターの誕生ね!って
皆が褒めてくれた 私はすっ ....
足の小指が嫌いなのだ
気付いた時には、箪笥の角にぶつかっていたりする
足の小指が嫌いなのだ
爪がひしゃげて白くにごり何よりひどくみっともない
足の小指が嫌いなのだ
スマー ....
半音下がった5月に
飛行機雲とポケットの中のちょっとしけた煙草
わかったつもりの自分に言い聞かせてまた
あらたなる接触をこころみる深さをはかる浅瀬で
風のなかにきざまれているもの
そ ....
突然ブガチャガ窓の外
ブガチャガ悪い缶蹴りが
ブガチャガドリブル人を避け
ゴールに向かって一直線
どんなに悲しいブガチャガに
どんなに苦しいブガチャガに
今日は繕い(つくろい)知ら ....
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