小学生ぐらいの女の子が下校中一人で
自分に課したルールで遊んでいるのか
罰ゲームか何かなのか
後ろ向きで住宅街をゆっくり歩いている
月面遊泳のようなスローモーションで
ラ ....
ま夏の背中よろしくこぼれおちる曲線は
ぼくのよろこびにまっすぐに突きささり
それらはやっぱり放物線をえがいている
きみの曲線のおしまいにくちづけをする
そんな目でみたってだめだよ、もう ....
本を破り捨てたことなんて初めてだった
そんな自分に驚いた
それほどまでにわたしは疲れていたのだ
それほどまでにわたしは一生懸命だったのだ
一歳四ヶ月の息子はまだ歩かない
育児本なんてクソ ....
うなぎはぐねぐね
おやじもぐねぐね
むすめはげんきだよ
わすれてるんだろ
いつのまにかいないことが
あたりまえになったけど
おやこだよ
わすれるな
わすれてくれるな
ぐね ....
焦げつくほどの灼熱の道
このまま歩いて行けるだろうか
じりじりと焼かれ続け
息絶えてしまうのではなかろうか
あぁ、それでも
....
忘れもん、いっぱいしてきたなぁ
でも、どうせやったら
この涙もどっかで忘れてきたかったなぁ
母親はいつも重い
遠くても
近くても重い
あなたをおもうとき
いつまでも私はこどもで
あなたはきりりとしている
げんきでいてください
なんて
いえないから書く
いえないからた ....
上塗りされた夏空の
組まれた手の
ゆびの
一本一本が
解かれてゆくように
光が
そこかしこに
ばらまかれ
熱を分けあう潮騒が
とおく
攪拌されてゆく
カンナの花が
....
僕は一人では立てない
見えない杖があり
支えられている
絆は 時に
ロープとなって
絶望の海から
僕を 引き揚げ
時に 鎖となって
生贄の十字架に
僕を ....
死体って本当に動かないんだ
父さんの死体は 父さんと言っても動かず
とても不思議だった
死体だけども 父さんと変わらずに呼び
唇を水に浸した綿で拭いたり
保冷剤を取り替えるのを 成る程と ....
プロペラから
風が生まれる
その中心を
つかんで
風を止められるかどうか
幼いきょうだいが
度胸だめしをしている
扇風機の首振りボタンで
風を分けあって
涼と熱を共有していた
....
言葉には棘がある?
だから履いたら足が痛む
言葉には角がある?
だから当たれば胸が痛む
言葉には温もりがある?
だから抱けば涙が流れる
支えられて
傷つけられて
癒されて
....
忘れてしまった時がゆっくりと蘇る
もう鋭い片鱗も無い 優しく語り合ってゆく
巡り会うそして 慰めあって生きようとする者たち
そう僕たちは回遊魚なんだ 自由を酸素として 常に泳ぎ続け ....
町の外れの思い橋 誰を想って茜色 心を寄せた思い橋 泣くのをやめて通りゃんせ
日暮れのいろのこの身には 微笑みは遠く はれぼったい眼で見る世界は 素知らぬふりしているようで
通り雨の様 あ ....
星からおちた小さな人が 走る
走れることが ただ 嬉しくて
他の子たちが小さな人を 追いかける
笑いながら走っているから 追いかけたくて
星だったころだって 走っていた
回れ ....
35000フィートの
高さで
時速580マイルの
速さで
華氏ー45度の
冷たさで
まっすぐ伸びていく
今日の航跡を
昨日の
何処かから転がり出て
一昨日の
坂道に置き去 ....
ゆらめいている
薔薇沿線のかたわらで
白い女の子たちの
折り目正しい
プリーツの
祈りの姿勢はいつも
夏うまれの呼吸をついばんで
ひまわりの瞳の高さまで
つん と
背のびする
....
知らないうちに 誰かがかけた メガネ メガネ オイラのメガネ
偏向機能と色着きの 本当の見えない このメガネ
かわいいあのこがブスに見え 苦いお菓子が甘く見え
大事な事がつまらなく ....
こどもが
しょくばにやってきた
こんにちはといって
やってきた
このくつのひといますかと
しょくばのひとにきいた
おこさんきてるよと
しょくばのひとがいった
....
光と影が交差した
あの日、
蝉が死んだ
探し求めた、あの日から
どこへ行ったのか
....
タバスコをピザに四、五滴土用空
愛は心臓ではありません
ひと刺しくらいで死にません
悶え苦しみ血を流し
こと切れるまで幾日も
血が乾くまでに幾月も
断末魔のその姿
もとに戻るには幾年も
愛は蛙じゃありません
....
僕はロボット 1953年生まれだ ガラクタを適当につなぎ合わせてできている
だが僕の父は天才科学者ではなかったので かなり杜撰な構造だがなんとか生きているさ
僕が生まれたのは三丁目の夕 ....
風が吹けば
裏返り 寝返る
白と黒
どちらも表で
どちらも裏で
裏の中に表が潜み
はっきりさせないことが
生きる術
だというけれど
白 黒 × ○
二者択一を迫られる
意思 ....
【ロゼット風】
両手両足は よく動く パペットマペットをつけたみたいに
たんぽぽの根は 大地に動く
たんぽぽの種は 空に動く
いまは 雨で どこにもたどりつけないよう ....
問【食べ物を残すと祟られるのだろうか】
答【ライオンに きいてみました】
ライオンとして 食べ残しは ハイエナにあげました
すてきな死肉でしたが ハイエナは かみさまに感謝したでしよう
先 ....
雨のなかの馬
時間さえ檻のなかに閉じ込められる
そっと名前を呼んだ
季節が過ぎて青いさびしさが満ちてくる
後ろさえ振り向かず駆けていこうとする
雫のビーズをまき散らす夢よ
どうか名 ....
コンビニエンスストア
毎日欠かさず立ち寄って
まだ見ぬフレーバー探してる
微炭酸 無果汁 200円
喉元を過ぎる甘酸っぱさは
青春のそれとはまた違い
少し、少しだけ擦れている
....
生まれた家よりも
外での暮らしが長くなると
前世のことのように思えてくる
たしかに今
それはあるんだけど
幻に見えてくる
今度のお盆は
最後の帰省になる
これで ....
象
ふるさとの草原も夕日も君は知らない。君の母親も父親もふるさとを見たことが無いからその広大さも見事さも話に聞いたことすらない。そこに憧れることもなく、ただ与えられたスペースを歩き与えられ ....
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