すべてのおすすめ
横顔とは
君の横顔が見える、という事は
なんと切ないものなのだろう
その視線が此方に向く事はない
僕は君の横顔を見ているだけで
それ以上、何も出来ない
膚の下の肺の中を
....
眩しさを思い返す
ルミナリエ
太陽が出ている時の
骨組みだけの状態
緻密で綺麗だった
静かに光を浴びていた
気が付いたら目を閉じて
手を合わせて祈っていた
....
乾いている
鼓膜に打ち寄せる波に温度はあるのか
でも 飲み込んだ言葉はひび割れていた
靴音から調律までが一番好きだ
酔っていれば君を見つめていても
秘密のまま 鍵は手の中 ....
あなたはいつも 視線の先に
ねこじゃらしの房が
朝日に照らされ
柔らかな光の珠になった
そのままとんでいって
しまいそうだった
抱き枕じゃ足りなくて
誰かに思い切り甘えた ....
他人は全員他人なのに
世界の総人口-1人の他人がいて
それでも僕は自分だった
寂しい
他人になってしまいたい
でもきっと
そう感じるのは僕だけではないはずで
それが少し悲しいけれ ....
解体工事中の廃ビルから
鉄材が鳴り響く音が
突然、微かに聞こえた
それは完全に想像
理由も無い幻聴
壊れた仕掛けを隠すハリボテも壊れた
くたびれた様子で
うつらう ....
僕は何を怖がって
視線を落とし街を歩くの?
向こう岸へ
向こう岸へ
そんな所に君はいないから
僕は一体何に怯えて
光ある方へ流れるの?
知らない世界が見たいだけ
知らない景 ....
見上げた夕暮れの青空が
迫り来る夜の黒に飲み込まれてゆく光景
その時僕が感じたのは
何も恐怖だけでは無かった筈なのに
自分が抱いた感情さえ
忘れている
こんなにも忘却が悲し ....
電車の窓から見える景色は
近景がこんなにも速く流れるのは何故?
遠景よりも遠ざかるのは何故?
僕の傍にいる方が早く消えてゆく?
ならば遠ざけておかなくちゃ
大事なモノほど消えてゆ ....
青空が燃えている
遥か天空が
ガスバーナーの火みたいに
青は温度が高い証
僕達は炎に向かって落ちないように
重力にしがみついている
僕らが時々
眩しさを堪えて空を見上げるのは
あの ....
君を見つめてももう何も無い
恋は苦しいものだと教わった
けれど
鼓動が乱れる事も無く
君の後ろ姿を見続ける
君を想った所でもう何も無い
赤い流れの速度は変わらない
僕は自分で ....
冬の冷気が
身体に刺さり、抜けてゆく
雪の一片が
銀木犀の花弁に見えて
淡雪の香りが心を満たした
視界の端で誰かが動く
誰もいない
ただの錯覚
既視感
また君じゃなか ....
朝焼けの虹と青の淵
教会の十字架の左斜め上
月が泣いていた
涙を流していた
昨晩遅く
見たときは
あんな魅力的で
悪戯っぽい微笑をたたえていたのに
いま月は目を閉じ ....
コンクリートの直方体に
鉄の芯が入り
表面がガラスで覆われた
無機質で重い建造物
その林の中にいると
美しい灰色の空気によって
吐き気がする
夜になると
別の世界が顔を出す ....
思い出した
思い出してしまった
宵の寒空
その底に沈む空気を吸って
木枯らし
髪は乱れ
呼吸は出来ない
内臓を風が通り抜ける感覚
僅かに揺れる身体
静けさ ....
寝ても覚めても
迸る感情
君の事を想いつつ
朝日が昇る
まだ形状の定まらない
流体の太陽
金床に流し込み
躊躇の槌で打ちつける
超高温の金属は
赫灼と輝き
理性 ....
僕のケータイは
常時マナーモードだから
君からのメールが来れば
振動して知らせてくれるのだけれど
ポケットに君との連絡手段を忍ばせて
電子的お手紙を待ってると
振動するからパカッと ....
夜風に揺れる柳は指揮棒
無数の電灯や家の灯りを観客に
雲の幕に覆われた月が
月光という合奏と共に現れる夜
デクレッシェンドして
新月になり
クレッシェンドの頂点で
今宵は満月を迎 ....
どうしようもない気持ちだけを抱え
90円を握り締め
僕は今、電話ボックスに
電話をかけた事のある人なんて
僕にはいないけど
今時誰も使わない電話ボックス
重いドアを開け
暑苦しい ....
私、私
僕、僕
僕がどんな一人称を使っても
私の勝手でしょ?
でも一人称が変わるだけで
私は
僕になって
僕が
私になるの
自分を偽り
他人を偽り
世界はこうだとか
....
人のこころは
陽炎に揺らめく砂漠に置かれた
少しだけ水の入った
壊れやすい硝子のコップ
君の言葉で水は満ちる
放っておけばすぐ乾く
君の言葉が
君の愛が
僕を満たし潤し ....
黄昏のような明け方、夜の今際
悲しみに暮れる夕焼けの如き早朝は
空の青と昇る陽の赤が
混ざり合い織り成す紫
また明日、と言って君に背を向けた
その明日が今日だ
染まる雲の柔らか ....
まだ足りない
融け出しそうなアスファルトに
全てを投げ出した缶コーヒー
プルトップ付近から流れ出す
真っ黒な涙
この世の暗い暗い所を
かき集めて固めて挽いて
それでも足りない ....
塔
街に
高い塔
塔がある
塔の中に
階段があ
る長い長
い螺旋階
段が塔と
一緒に伸
びていた
....
回り続ける地球儀
回転する時間軸
今日通った道は
いつも通ってる
変化なんて無い
全てが同じで
瞬きしても変わらない
つまらない
つまらない
面白くなきゃ
生きてる意味 ....
秒針だけの静かな時計
飛び込もうとして
やっぱりやめる
仄かに光って揺らめく水面を
乱したくないと思って
つま先から
トポンと
辛くても生きる体温を
鎮めてくれる水 ....
まるで息の音が止まったみたいに
音楽が終わった
僕はCDを取り出して
適当に歌ってケースに戻して
他の何かを聴きたがる
音楽に身を浸して
全て忘れてしまおうか
微かな浮遊感と共に ....