静かだなあ
今夜はなんとも静かだ
昨夜からの疼痛が
今は嘘のように収まって
気持ちも
まぁるく落ち着いて
こうして詩の言葉を綴る自分が居る
ちらっと記憶の奥を覗いてみたり
火照る身体を ....
笑い声は好きじゃない
怒鳴り声も号泣も
演説も告発も
講壇やテーブルをガンガン叩くのも

古い写真の笑った顔が好きだ
どこかの いつかの 誰かさん

笑い声は好きじゃない
だけど幼子 ....
  

小さな球体の内側を
ぐるぐる回っているだけなんだよ
どこまで歩き続けても
いつまで生きられたとしても
見覚えのある景色が
わずかに 気のせいほどに色彩を変え
懐かしく (すこし ....
ウッドデッキの
木と木の間の細い隙間に
花びらがすすっと入っていくのを見た
少し離れたところから
目を凝らすと虫が抱えていたようだ
蟻にしては大きかった
ごく小さめの細身の黒っぽい蜂の ....
海は水平線を
鋭利なナイフのように突きつけてくる
想い出は残照の別称であり
水のように浸る憂愁である

夏が去り
海岸には打ち上げ花火の残骸が
寄せ来る波間に漂っている
{ルビ流離=さ ....
未知へ
タクラマカン砂漠を越えて
間氷期のほそい水系が
稀有のしばりとなるあたり

雪豹の瞳 罅割れて凍る水晶体
天山山脈から崑崙山脈へと
迂回するいのちの循環 
毟り取られた緑の草原 ....
幸せになります
あーちゃんもね、って
何それ

今日ほど
私の二枚舌が
歯がゆかったことはない
私は

腕いっぱいに抱えた花を
思い切り
空へと投げ上げる

花は
みるみる ....
塞がれた傷なら
新しいほど
ほの明るい

命と呼ぶには薄すぎる
生まれたばかりの緑の雲母は
はかなげに震える風の欠片

アスファルトに跳ね返る
光の刃が
明日には切り刻むだろう
 ....
八月に入って
夏の子が孵化した
春の子はカラスにやられて
しばらく空き家になっていたキジバトの巣
避暑に出かけたカラスがいない間に
夏の子はすくすくと育った
キジバトの巣は我が家のケヤキの ....
ジニーが死んだ
名前なんかつけたから
何度壊してやっても
やがてまた同じところに低く浮かんで
逃げもしないし
玄関横の
しろい壁とオキザリスの
プランターの間を斜めにつないで
全然邪魔 ....
好意の正体を
私は知りたい
最近は
持ったことすらない

一緒にいたいと思う気持ち
寄り添いたいと思う気持ち
かなわないなあと思う気持ち
まあ
それもいいかなって

何も教えてく ....
月までは案外近い
いつか行き来できる日もくるかも、と
あなたはいうけれど
それが明日ではないことくらい
知っている
人は間に合わない時間が在ることを知っていて
間に合う時間だけを生きてゆく ....
木々が襟を立てて拒む間
風は歌わない
先を案じてざわざわと
意味のないお喋りを始めるのは木
いつしか言葉も枯れ果てて
幻のように消えてしまう
すっかり裸になると
しなやかに 風は切られて ....
りーりー
りりり と
鳴いている

耳を澄ますと
少しずつ違う音色で
合奏している

パソコンの中から
聞こえるようで

二階の窓から
見てみると
明るい夜空に
透明な羽根 ....
白い羽根のような雲がゆっくりとほどけ
ひとつの比喩が影を失う
意味からやっと自由になった娘らを
解釈は再び鍵をかけ閉じ込めようとする


ああ自己愛
鏡の中にしか咲かない薔薇よ
瑞々し ....
薄曇りの空を浴び
錆びたトタンが発色する
剥げかけた というよりも
薄い金属の表面を
浸食している赤ペンキ

腐蝕しながら
守るべきものを阻害していく

かつては輝きそのものであり
 ....
影かすめ
   ふり返り  だれも


――夏よ
荒ぶる生の飽食に晒された{ルビ石女=うまずめ}よ
あの高く流れる河を渡る前に
刺せ わたしを
最後に残った一片の閃光をいま
仰向けに ....
黒焦げのアカツメクサを労うように
レースフラワーが風に揺れ
夏が終わると歌っている
排気ガスまみれの分離帯にも
芽吹いた種は繁らせた
波打つ夏の色

色褪せた空のキャンバスに
ぽたりと ....
{引用=夜明けのこない夜はないさ
あなたがぽつりいう}

懐かしい歌が
あの頃の私を連れてきた
そして今の私が唄うのを
遠い窓枠にもたれて
聞くともなく聞いている
夜のはてない深さと距 ....
 盂蘭盆会

暮れてゆきそうでゆかない
夏の空に
うすももいろに
染まった雲がうかぶ
世界はこんなにも美しかったのですね
なんども見ているはずの景色なのに
まるで初めて見たように思うの ....
僕は竹輪が大好物で
性格も 真ん中がからっぽで
夏場は風通しも良いが冬は寒い

いまだに大好きな彼女には文無しの飲んべえだと
思われているのだが残念ながら
ほとんど当たっているのでとても悲 ....
{引用=*名を呼ぶ}
名を呼ぶ
ここにいないあなたの
井戸へ放った小石のように
真中深く 微かに響き
瞑っても
抱き寄せることはできず 
こみ上げる揺らめきの 
糖衣はすぐに消えて
 ....
ひらひらと横切ってゆく蝶々
つかまえようとして
伸ばされた小さな手
初めての夏という季節の光
街路樹の葉が落とす濃い影
見えない風の気配
蝉のなきごえ

お母さんの胸に抱かれた
その ....
寝床に横たわると
せせらぎが聞こえてくる

母の家は川に近いが
夜は窓も閉めているし
国道を挟んで
川の流れる音など聞こえるはずがない
たぶん一晩中自動で回る
換気扇の音だろうと
弟 ....
    頬を濡らすものを拭うこともせず
    ただ手放しであなたは泣く
    抱きしめても嗚咽はやむことなく
    わたしの肩が湿り気を帯びる
    体温の熱さが伝えてくるもの ....
     朝起きて顔を洗うとすぐに
     台所へと向かう
     目覚めのいい朝も、悪い朝も
     遅刻しそうなほどぎりぎりでも
     必ず台所へ向かう
      ....
ぼくたちは知ってゆく
ありのままではいられないのかもしれないと

人生でたったいちど編んでもらったマフラー
誰もほんとうのレストランを知らない

バイク乗りであまり街歩きもしなかったし
 ....
遠くで雷が歌っている夕刻
羽が生えた蟻をみつけた
それは
退化だろうか
進化なのだろうか
いずれにしても
この世界にとどまる現実の形だ
つぶされないうちに
飛んで逃げればいいのに
な ....
朝を折りたたみ
昼を折りたたみ
犬を折りたたみ
猫を折りたたみ
自宅を折りたたみ
通りを折りたたみ
横断歩道を折りたたみ
バイパスを折りたたみ
街を折りたたみ
都市を折りたたみ
飛 ....
滲む濃紺のシルエット
おくれ毛ぬれたその耳を塞いで
いたのは 誰の声だったのか

小さな手から逃げ出した
風船は 空いっぱいにふくらんで 
音もなく 破裂した 大人びて寂しい

始まり ....
夏美かをるさんのおすすめリスト(7676)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ありがとう- ひだかた ...自由詩16*17-9-22
好き嫌い- ただのみ ...自由詩12*17-9-20
球体- Lucy自由詩8*17-9-20
ウッドデッキの細い隙間に- Lucy自由詩17*17-9-19
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水系- 白島真自由詩13*17-9-18
象徴- umineko自由詩4*17-9-18
草蜻蛉に- Lucy自由詩11*17-9-15
朝の日記_2017夏- たま自由詩15*17-9-14
ジニー- Lucy自由詩14*17-9-12
青空熱- umineko自由詩5*17-9-10
秋窓- そらの珊 ...自由詩25*17-9-8
風の痛点- ただのみ ...自由詩18*17-9-6
りーりー- Lucy自由詩10*17-9-2
さてどうしよう- ただのみ ...自由詩9*17-9-2
ページ- Lucy自由詩10*17-8-31
夏石女- ただのみ ...自由詩14*17-8-30
労い- Lucy自由詩18*17-8-21
夏の終わりに- そらの珊 ...自由詩20*17-8-21
夏のあとさき- そらの珊 ...自由詩18*17-8-6
竹輪のうた- 梅昆布茶自由詩12*17-8-4
おかし詰め合わせ- ただのみ ...自由詩18*17-7-29
青信号に変わるまでの時間に- そらの珊 ...自由詩18*17-7-28
せせらぎ- Lucy自由詩17*17-7-23
夏の陰- 石田とわ自由詩14*17-7-22
ご飯と卵とわたし- 石田とわ自由詩9*17-7-22
僕のレストラン- 梅昆布茶自由詩1417-7-20
夏の扉が開かれる時- そらの珊 ...自由詩6*17-7-18
折り紙- やまうち ...自由詩10*17-7-18
暮れないまま- ただのみ ...自由詩16*17-7-15

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