みちのり
かんな


とつぜん雲が現れる
泣けば楽になると傍らで誰かがいう
雨が降りはじめる
わが子を抱きしめていた腕がするり
ほどけてだらしなく砂を掴んだ
かなしみに浸ることはかんたんで
すべてを捨てる覚悟がない
守りたいなら顔をあげる必要がある
涙はひとすじの虹をつくるという
きぼうってなんだ
せかいは反転しない
現実はきちんと折り畳まれてあり
受け入れることは
抱きしめられるだけのきもちのおもさ
しだいに雨雲がはれる
歩むみちがきちんと現れている
わたしと夫とわが子と





自由詩 みちのり Copyright かんな 2015-10-23 12:50:13
notebook Home 戻る