成熟めざすやわらかな自由
繰り返すいのちの加速度
緑の効用を想うとき
かならず思い出すのは雅子さまのことだ
東宮御所のあの緑のなかで
それでも御病気がよくならない雅子さま ....
歌えるのに歌いすぎない歌手がいることを
ぼくは知っている
吹けるのに吹きすぎない奏者がいることを
ぼくは知っている
書けるのに書きすぎない作家がいることを
ぼくは知っている
そしてまた ....
いっかい打って
それがどうなったのか
なんでそう打ったのか
ああすればよかった、
なんて思わないで
続けては打たずにおく
ゴールなんてないんだ
ああすればよか ....
新緑がこころに刺さる季節は君と手を繋いで歩きたい
野辺の花を愛でながら世界をいとしく思うことだろう
背に負った荷物も軽くはないがそんなものこの五月にくらべればなんでもないんだ
大地からの息吹 ....
父が商人になったきっかけは
一本のから芋の蔓だったのです
長男だった私は
そんなことを弔辞で述べた
そばで母や妹たちのすすり泣きが聞こえた
その前夜
父はきれいに髭を剃ってねた
どこ ....
あれはまぼろしだった
晴れ渡った夜の空
一つみつけた美しい輝き
とても嬉しくって
毎晩窓を開けて眺めてた
あれはほかの星とは違って
あれはとっても特別で
どこが
って言えないけれども
....
{引用=
陽炎に
雪 みあげれば
あっさりと あっさりすぎるほどに
春のよそおいを見棄てる
サクラでした
生の 爛漫が閉塞と終焉のはじまりなら、
未完でありつづ ....
山奥の沢
大きな石の上に寝転がっていると
こんぽろりん
こんぽろりん
遠くの方から小さな
木琴の音色が聴こえてくる
私は少し調子の外れた
しかし心地の良いその音に導かれるように
....
重そうな藤の花
棚からたれさがる午後
春の重みと
命の重みで
私まで深くもぐりそう
探し物は
子供の日の
母の日の
父の日の役割の家族
目にささる紫を
心に刻みながら
....
羽化したばかりのモンシロチョウの
おぼつかない羽ばたきが
風にあおられ
じりじりと後ずさる濃い霧の中を
触角も羽もなく這いずる夜も
誰かの仕掛けた銀色の罠に
迂闊に絡めとられる朝も ....
もうすぐ
夕暮のような
朝焼けがやってくる
始まりのような終りが
青がやってくる
赤がやってくる
そして 黒と白がやってくる
何度でも傷つこう
この世界がはじまるために ....
こうも近いのか、、
たかだか
何年何週何回転したか
それぐらいなんだ
だけど
ズボンを降ろしてYシャツをいれる
鞄を持つ
嫌いだった音楽を聴いて
....
涙を練って
甘くしたみたいに
空から温かい匂いがする
涙を流せない
木が
風に触れて話す
ぴよぴよと
黄色い花が
鳴いている
どこかに涙を隠している
だから、こんなにも ....
春の夜明けとともに
スイングトップははためき飛んでいく
空高く舞い上がり陽を浴びて
スイングトップは雲の流れのように
変幻自在に色を変えていく
まだ黒い闇と青い沈黙が混じ ....
ポケットのついた服を着ている
あわてて後悔を隠すため
間違っては訂正を繰り返し
ポケットはいっぱい
夜にざららととりだして
テーブルに並べる
色はあせているけど
今日の景色だね
....
山桜を眺めると、落ち着いてくる
白い花々は、何処かうつむいているから。
山桜を通り過ぎると、落ち着いてくる
派手さは無く、思いをそっと抑えているから。
遥かな国の方向へ
さ ....
金の夕陽を反射して
仄かなひかりを増しながら
炎の{ルビ矜持=きょうじ}を秘めている
稲穂の姿に、私はなろう
だいたい普通の人は家と職場の往復でなんてよくおっしゃる。
それが第一の場所と第二の場所。
では第三の場所とは?
それはこの現代詩フォーラムであり街の図書館や書店でもあり行きつけの飲み屋さんや ....
空のどこかが
解けて
みずが零れる
雨
モノとコトの上に
容赦なく
みずが注がれる
雨
雨
ぬるんだ雨は
葉っぱを揺り起こし
やわらかな雨は
根っこにじ ....
おばあさんが畑を耕していると
赤茶けた色に長方形におちょぼ口がついた一輪挿しが
いくつもいくつも出てきた
そこは古くから陶芸が盛んな町
今はない窯元があった土の下に陶器だけが眠 ....
急いだって
結局おなじくらいかかる
なのに急いでいる
それはこころで生きているから
みんなからだで考えているから
もっとあなたの
引き出しを増やしてゆこう
も ....
あらゆる人種が人生が交錯する
つまづいている僕
恋をしているあなた
人生は様々な糸が絡まって見えるが
案外単純な因果律の集積なのだと思うが
ICチップはブラックBOXではあるが
完璧に ....
貴方の胸に耳をあてて
静かな午後の小部屋の窓に流れ込み
たゆたう木漏れ陽のような
優しいメロディを聞きたい
そんな願いを
心の闇に深く沈めて
ただ何気なく
貴方の隣に居るだけで
光 ....
白い雲もなく
白い波飛沫もない
ひとつだけの乱反射が
わたしの瞳に届けられる
このひとつの色の波長は
わたしの血液を振動させて
濁ったこころを浄化する
黒い策略もなく
黒い騙し討ちもない
確かな ....
初めから
海でないものだったかもしれない
けれど 確かに
涸れた
だから
海だった と
言い張るほかはない
そのようにして 紛れもなく
青空だった
森だった
輝く山脈だった と
....
春どまんなか
土からは
いきおいよく命がうまれてくる
その上にいる私は
押され気味にゆれている
風はあたたかい
どっちへゆこう
きまりきった日常なのにおもう
人って
どこから ....
結婚前
付き合い出した頃の
写真を見ながら
今のあなたは
呪いをかけられている
と妻が言い出した
何の呪い?と聞くと
豚の呪いと答えた
私がその呪いを
解いてあげる
口づけ ....
なんだ
なんだ
なんなんだ
なんかしゃべってる
僕にむかって
懸命にしゃべる しゃべる
こんな形相
見たことないです
無限にしゃべる
そう
君はムシャベル
しゃべる しゃべる
....
悲しい
笑顔が悲しい
やさしさが
ぬくもりの記憶が
なにげない時間
余韻が
思い出のあれもこれも
ぜんぶ悲しい
悲しみが
わたしを満たし
身体を
思惑を
わたしを洗い
世 ....
そよ風が四月を渡ってゆく
ぼくの探し物は君に決まっているだろう
公園のブランコに座っていた
同じリズムで揺れていた
ツインテール
いつか大人になってゆくんだけれど
しろいブラウスの胸が ....
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