根の堅州(かたす)まで逃げ果(おお)せるか
その先黄泉(よみ)の暗い道順(みちゆき)
荒神谷の奥深く
人影も無く、道も無く
鬱蒼(うっそう)とした下草と
室(むろ)を作る地(じ) ....
みどりの線で世界を描く
翠は鎮静のいろ
緋色が補色
融和と柔らかな背反
それぐらいがいいところだとおもうのだ
ビリジアン
青みがかったみどりらしい
マゼンタ
あかるい紅 ....
メガネをかけた店員が私を緑のサツマイモだと言った
もう一人の店員は私のことを赤いキュウリだと言った
どの棚にも私の居場所はなく、
北海道の男爵やクイーンが
同じ棚には並びたくない、と言 ....
実家に帰り、午睡をする。
窓外で
うらかな陽に照らされたポストが
かたっと音をたてる。
配達夫のバイクの音は遠ざかる。
そんな風に僕はいつも
待っている
昨日も、今日も、これからも
....
鎌倉の朝は、なぜか散歩がしたくなる。
低い緑の山間から
燦々と顔を出す陽をあびようと
玄関のドアを、開く。
日頃住む街よりも
澄んだ風を吸いこみ
図書館の庭に足を踏み入れ
ベンチに腰 ....
天井一面に桔梗の花が咲いているという
わたしはそういうものが見える性質ではないので
驚いて友人に聞いてみると
特に悪いものではないらしい
おそらく先祖の誰かが好きだったのでしょう
たまには本 ....
指を折って数えて間違えている
『夕暮れ』
寂しいと呟けば
誰かが
肩を抱いてくれそうな
そんな
秋の夕暮れに
『曼珠沙華』
野辺の道に咲く
真っ赤な曼珠沙華が
やけに扇情的で
まるで娼婦のようだ ....
夕陽に向かって走っていた電車が停まった。長い間揺られていた人々は立ち上がった。この先には もうレールはなかった。が 旅が終わったのではない。
ここからは ひとり 自分の足で歩く始発駅でもあった。過去 ....
怪談をギャル文字フォントで読んでいる
{引用=たくらみを実らせた花はもう、少女ではない
女になれば脆弱な季節から嫉妬だけを学ぶ
かなしみ、は 夜を壊し牙をむく
いつも、淋しい姿で佇んではいない、と
教えてくれた あなたの沈黙は深く ....
純 粋
雨 あらゆるけがれ つ つ み こ ん で
粋 純
光◇◇光を◇通す
◇曲
◇ ◇
....
古い本を開いたら
あったはずの文字が
ところどころ喰われていた
くいしんぼうの羊のやつめ
紙より文字が好きときている
古いインクは美味らしい
いい具合に熟成していて
ひと噛みすれば口 ....
茶色く疲れ果てた蔓の途中で 朝顔の紅は
夏の追憶の中に留まろうと もがいている
枯れ急ぐ葉に抗う 小さくなった花は
冷えた朝露に濡れて うなだれる
永遠への憧れは たそがれて切なく ....
太陽
姿消し
夜闇訪れ
遠さの感覚
深海の底穴へ
傷みを哀しみを
沈めて鎮めて静か
意識無限広がり始め
己失うことなく明晰に
何かに半ば浸透され
中で思考スル何か
交錯響き合う音 ....
刑務所で子供を生んだ。
その子に「あかり」と名付けた。
闇ばかりだったあたしの人生に
あかりが灯るようにと。
あたしには、
殺人未遂経験がある。
14歳の中2の夏の日、
....
(世界は、針の骨を隠して生きている)
その身にさくり、
前歯を立てる。
雪のような淡白な
甘味のある肉の味が
春の風を呼んでくる。
けれどもその下で
支えている鋭い骨は ....
列車のベルが心臓直下で響きわたる
蒼白い片道切符を握りしめた駅
朝露で濡れた手は容赦ない
初夏の日、快晴、音楽、赤血球
揺すりあううちに まとめて角がとれて
本能が吹きすさぶ山頂のこの駅 ....
さあ お菓子を持っていきなさい
ぜんぶ持っていきなさい
キャンディーにチョコレート
クッキー マシュマロ おせんべい
袋いっぱいにつめて
ほらポケットにもまだ入るから
これは魔法のキャ ....
すっかり秋色に染まった道を歩いていた。
足元を覗くと落ち葉にも色々な色があることに気づく。
こんな事にも気が付かなかったのか。
秋は徐々に深まってゆくのだ。
最初から難しい ....
孤独な猫だった
丸焼けの鳩だった
まわらない風ぐるま
一等星へ続く坂道を
駆け上がってく自転車 ふたり乗り
後輪ナットにハブステップ 君は立ち乗り
スカイツリーはバベルの塔じゃない ....
平坦な生き方しかしてこなかった
それでいいと思っている
薄っぺらなままだった
それでちょうどいいと思っている
しかし
味はいろいろ覚えてきたつもり
甘めの醤油味みたいな
ざらざら ....
思い出
遊覧船に乗って
新婚だった妻と共に
数人の男女が目前で
騒いでいた
妻ふと船の屋外へ立つ
目前に広がる湖を
見つめていた
夏の夕であった
三七年夢のごとく過ぎ
苦しく ....
それまで
水の中を泳いでいたものが
産院のベッドの上で
あし。になる
それはまだ
自分を支えることも
出来ないけれど
あし。と呼ばれる
こんなに
ちいさく
まだせかいを歩いてさ ....
がんばった今日も
がんばらなかった今日も
わたしの指からきえてゆく
あなたが泣いた時間も
あなたがついたためいきも
あなたの手からきえてゆく
こんな風になにものこらないとおもっても ....
淋しさ悔しさを 酔いで溶かして
くすんだ裸電球に 大声で話しかける
焼き鳥の煙で 茶色くなった品書きは
扇風機の風にめくれ上がって 読めもしない
いろんな失敗をして 涙も流れたけど ....
秋が連れてきた死神
彼の声を聞いています
宇宙の鼓動にも似た深い深い群青色の声
夏の魔物は突然姿を消しました
迷いなさい つぎの夜までに飲み込まれる
冷たい砂漠 ....
今日も
野菜といっしょに売られる
店員の呼び声に包み込まれて
行儀良く並んだ大根の色つやを見比べ
身長と体重を確かめているあなた
それは昨日
あなたから延びた手が
子宮にし ....
練りに練った詩
今からここで 淡々と 放っていく
一貫性はない
論理にかけるかもしれない
かといって
「感性が爆発」
というほどの内容でもないかもしれない
....
眩しかった
眩しすぎた
鮮やかだった
鮮やかすぎた
会えた
それだけでよかった
話せた
それだけでよかった
戻れない季節
戻せない季節
描いても ....
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