昔、{ルビ通=かよ}っていた中学校の屋上に
天体観測の丸いドームがあった


天体望遠鏡を覗き込むと
こころの暗がりがみえた


こころはどの星だろうと
それから何十年も探 ....
ナンデーナンデーが増殖する頭をかかえ
森の中をさまよっておりますとパトカーの
音が谷あいに響いて山に反響して 谷の
町々のどこに パトカーがいるようだか
さっぱり分からないの 心の中はそんなか ....
柔らかい土
柔らかい手
指の腹からにゅういと
しぼりだされ
自然な形が出来ていく
少し不格好な佇まい
流れる時間と整う気持ち
優しい炎と温かい気持ち
山の向こう側で煙がもくもくと
空 ....
ほそく
だけどまわりの庭木よりたかく
そよいでいる
白樺の梢の辺り
黄ばんだ葉の疎らな繁りにふと
青いまま
いくつか
乾きながら
さわさわと光にそよいだころの
面影を残し


 ....
冬めいて部屋に取り込む鉢ひとつ

冬めくも猫を{ルビ抱=いだ}いてミルクティー

くちびるが一番先に冬めいて

冬めいてなんの未練もない鳥よ

パソコンを切って冬めく夜を知る

手 ....
冷ややかで
静か
ただの一夜で
世界を無色にしてしまう

寄り添って
何も言わない
いつもそう
あなたはそこに居る

人生の半分以上の時を
あなたと過ごしてきた
なのに
熱病 ....
こたつたつ
少し歩く
猫を呼んでみて
夜が笑う
震える身体
注ぐ月
少し酔ったふりをしながら
夢見る団欒

こたつたつ
少し歩く
転がるみかん
時計がつぶやく
じっとして
 ....
ペリっと剥がして
セロテープ
いつだれが何の目的で
気づかれずにただそこに
一枚佇む
ぺりぺり剥がして
さようなら
思えばそこにあそこにも
よくよく見ればあっちこち
一枚一枚丁寧に
 ....
ハトが二羽歩いている
なにもない場所で
なにか啄みながら
啄まずにはいられない
生きるために
地べたを歩きまわらずにいられない


うまく歩きまわるには
首をふり続けずにはいられない ....
お湯がこぽこぽ
コーヒー一杯
注げば泡がもこもこ立てば
いい匂い
いい匂い
もこもこ溢れるつむじから
いいことあるよ弾ける予感
ゆっくり喉を潤し
優しい時間
ひらひら瞼の裏には透き通 ....
いつだっていまだって青い
地球は朝で昼で夜だ
なのに地表の隅っこで(あるいは真中で)
いまブルーライトに照らされぽつねんと
もの思いに耽っているわたしには律儀にも
朝昼夜は朝昼夜と巡り訪れる ....
なんだかとても嫌な気分
並んでいるのに横入りされたり
雨が急に降ってきたり
静かなところでゆっくりしようと思ったら
おじさんがずっと喋っていたり
なんだかとても嫌な気分
気圧が気持ちが私の ....
広い邸宅など要らない
ベッドは
身体を横に出来るスペースがあれば良い
食卓には
茶碗の置ける隙間があれば飯は食える
とうそぶいて

新聞が 雑誌が 広告が 
テーブルに積み重なり
ベ ....
曙時に穴から這い出し
尻尾を立て太陽に体を向ける
体温増加が目的ならば
一匹ぐらい
背中を暖めていてもいいだろうに
どうして皆が同じ方向を向いているのだろう

父は
ぼくと弟を傍らに並 ....
腰のまがった老人はめったに見なくなった
まがった腰で
ヨッコラショと 
風呂敷をしょった爺ちゃん婆ちゃんは
わたしが子供のころの爺ちゃん婆ちゃんだ
農村や漁村では今だって
腰のまがった老人 ....
どんなことを言おうと
そりゃまあ 自由ですけどね
だからといって 妄想したことを
有ったようにしゃべりちらしちゃいけませんわな

妄想だよってしゃべりゃいいだろうな
想像だよってしゃ ....
光の傾斜のよわいめまい

いななきも止んだ朝の膨らみ
秋は秋と重なって遠近を失くしながら
凧のように {ルビ空=くう}の{ルビ空=くう} 淡く燃え


無限の、 矛盾の、 
存在の、 ....
寂しいから寂しくないふりを
しているなんてお見通しなの
寂しくないならどうして
そんな限界集落の無人駅に
会いに来ないかなんて言うのよ
あなたの孤独を映し出す
鏡のように澄んだ湖はもう ....
赤い目をしていま
なにを読み
どこを跳ねるのか


あなたは謀った
{ルビ和邇=ワニ}たちの背を戯れ跳ねながら
目指すところへ近づいた時(それは幻想だった)
傲りと嘲りが
鈴のように ....
僕の東側から
今日も君が昇った
コーヒーの香りが
ほんのり温かい

他愛無い話に
マーマレードを塗りつけて
右目は美人のアナウンサー
左目は君の笑顔

ベーコンエッグは
半熟 ....
手にしていたのは
小さなひしゃく

星が消えた途方もない夜は
蛍を連れて

そしてたどりつく水源の
ほとりは

どこへつながっているのか
どこへもつながっていないのか

汲み上 ....
屋根一杯に
鳩がいる
何かの見間違いかと
車窓から目を凝らす

もしや瓦の形の鳩じゃないか、と

でもやっぱりそれは鳩だった
生きている鳩そのものだった

ねえ、あれ鳩ですよね
 ....
雨は綺麗だ
ひどくやみ上がった空はうつくしい
衣服が濡れて透ける
心までが裸になるのだ

終わり欠けの虹を見る
どこへいく
どこへいってもスマートフォンは繋がる
恋人からは逃げ ....
どこから、どこまでが
いのちなのか
そんなの、訊ねられても
わかんないよね

ましてや、人生なんて
いつから、どこまでだなんて
微妙だからさ
わかんないよね
考えるのもアホらしくって ....
いま歌っているのだろうか心から
誰かに伝える努力をしているだろうか

僕はソングライターではなかったのだろうか

きちんと生きているだろうか
きちんと本を読んでいるのだろうか

ドラッ ....
ベランダを覆いつくすケヤキの枝に
キジバトの巣がある
朝六時
キジバトの鳴き声で眼が醒める

ジュウイチジニキテクダサイ
ジュウイチジニキテクダサイ

十一時に?
どこへ?

夢 ....
万年筆の血液が乾いてしまったようだ
無理もない
数年うっかりと放っておいたのだから
いちにち、はとても長いくせに
すうねん、は
あっという間に感じるのはなぜだろう
風、が通り過ぎていく
 ....
          草葉に風の足音
夏の光の深い底で焼かれる虫たち
夜に置き忘れられた
艶やかな目に乾いた夢が映り込む
生と死の歯車が柔らかく噛み合って
素早く回転する
  濃厚で豊満な匂 ....
   太陽の匂いが漂うんです
   懐かしいあの土手沿いの道の一画に


   両手から
   はみだしてしまう大きさの
   おおきな亀裂のあるトマト
   とうさんが  ....
いい天気だ
扇風機の羽根が
ゆっくりとカタカタとまわりはじめる
私は顔を近づけると
向こう側の景色は伸びたり縮んだり
跳ねたり飛んだりいきいきとしている

私はわわわわわと扇風機に話しか ....
夏美かをるさんのおすすめリスト(7676)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
天体とこころ_Ⅲ- 白島真自由詩21*16-11-8
りぼん- るるりら自由詩17*16-11-8
器をつくる- 灰泥軽茶自由詩416-11-6
青いままで- ただのみ ...自由詩11*16-11-5
冬めく- そらの珊 ...俳句14*16-11-5
再会- Lucy自由詩9*16-11-4
こたつたつ- 灰泥軽茶自由詩516-11-3
セロテープの跡- 灰泥軽茶自由詩616-11-3
歩けや歩け- ただのみ ...自由詩14*16-11-2
コーヒー一杯- 灰泥軽茶自由詩316-11-2
地球的青さ- ただのみ ...自由詩18*16-10-26
鯛焼き- 灰泥軽茶自由詩216-10-26
狭い部屋- イナエ自由詩18*16-10-21
ミーアキャット- イナエ自由詩7*16-10-15
爺婆に捧ぐ- ただのみ ...自由詩15*16-10-12
指向性。または、発熱の日に- イナエ自由詩8*16-10-12
詩/代償としての- ただのみ ...自由詩14*16-10-5
白のブルース- Lucy自由詩20*16-9-29
うさぎのダンス- ただのみ ...自由詩11*16-9-24
当り前- nonya自由詩18*16-9-23
ほとり- そらの珊 ...自由詩10+*16-9-19
鳩の家- そらの珊 ...自由詩1016-9-15
雨やみ上がり虹のハシまでいと電話するすると吐く恋人のサギ- かんな自由詩10*16-8-20
八月のさようなら- たま自由詩14*16-8-6
ソングライター- 梅昆布茶自由詩1116-7-29
七月の忘れ物- たま自由詩16*16-7-24
ふたたびの夏- そらの珊 ...自由詩15+*16-7-21
火葬詩転生- ただのみ ...自由詩14*16-7-20
真赤な太陽- るるりら自由詩20*16-7-18
はざま- 灰泥軽茶自由詩216-6-29

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