五月の風の透明さ
雨上がりの石畳のにおい
雪の朝の静寂
足元をさらう波の清廉さ
出発前夜の胸のざわめき
日曜午後のあきらめにも似た安らかさ
わからなすぎる夜の身もだえ
泳いだ後の満たされ ....
見えなくなった
何もかも
熱帯雨のような景色のなかを
蚊が飛んでいる
飛蚊症なんだって

読めない
書けない
意識がまとまらない

網膜はく離の前兆とかもあるんだって
頭痛、嘔吐 ....
大局読めず
漂うかもめのように
風に揺られ
ふらりふらり
答えを求めるようでもあり
知りたくもなし
明日の天気はどうだろう
だいぶ冷えるようだ
二人の妙齢に達した会話
夫婦のようでも ....
飴玉
また噛み砕いちゃった
我慢できずに
ばらばらの気持ち
ゆっくり
舐めたらいいのに
こういうときは
せっかちだから
噛み砕いちゃう
少しでもあなたの気持ちをと
少し時間がたてば ....
彩色された 醜い些細な日常を
覆い隠すつもりで 目を閉じて見ている
心に残った出来事だけを 何度も何度も
繰り返し話す 自分の世界に浸って


大根の葉が 黄色くなった
裸になった樹 ....
かつて激しくなにかになりたいと
想ったことがあっただろうか

自分以外のだれかになりたいとはいくども考えたが
それはクラスの席替え程度の安易な願望にすぎなかった

ラモーンズのコピー親父バ ....
一人前 たまご三個は使いたい
これは食べ盛り男子向きなのだ
たまごを割ってボウルに入れ
醤油をたっぷり入れる
過ぎない程度に良く混ぜる
どんぶり飯に乗せて食べるのだから
しょっぱいくらいが ....
おとうさん
あなたの遺した杖がある

この杖をつき
生まれ故郷の野山を散歩するのが
最後の楽しみだった
歩くことができなくなってからも
ふるさとの山の桜を見に行くことが
最後の希み ....
   ーーーーーーはじめにコトバありきーーーーー
        「ヨハネ伝黙示録 より」




神はコトバにて人間を造った、いや、正確には、人の間の者たちを
それは 私たちのこ ....
心地良い朝を吸い込んだら
迷子のオキシダントが
途方に暮れているのが分かった

悔しすぎて歯軋りしたら
心配性のフィブリノーゲンが
身構える気配を感じた

本当を言い当てられて黙っ ....
夕暮れチャイムの音を 靴底で踏む
冷めた指で掴みたかった夢は
温い毛布の中のちがう体温

斜めに闇を切り裂く車のライトに
いくつもの私の顔が 現れては消されていった

パンプス ....
私は折り畳み傘が好きだ
しゅっぽと傘を広げるとき
そうっとわくわくする

それはマジックのようで
手を広げれば花束や
白い鳩が出てきそうな予感がする

それはまた魔法のようで
手を広 ....
古色まぶしい
郷愁の地に

歴史と風雨を
たえぬいて

今もなお
多くの涙が
あるのでしょう

子どもらは
幾つに
なりましたでしょうか

孤独に歩み
すすめたことも
 ....
バスの座席に身を沈めると
自分の居場所を見つけた気がした

乗客は疎ら
誰もが無言で
窓の外を見つめている

赤いテールランプの川
灰色のまま濃くなる空に
星のように瞬いてとび去る
 ....
無影灯の下で
 (あるいは 河原で 砂漠で)
鶯色の神々にかこまれ
 (あるいは 烏色の悪魔に)
無防備に横たわる

切り裂かれる皮膚
晒し出される内臓
 (生きものの命を掴んだ少 ....
黄砂の舞う交差点
目を細めて上空を窺う
直立不動の小学生の左手には
やや大きめのファーストミットが

反対側の信号機の下
サイドスローの怪人が
華麗なステップで卵を
直立不動の小学生に ....
     まっしろなカップに
     夜が満ちる
     からっぽなわたしは
     真っ暗な部屋で
     夜を見つめてすごす
     安堵のなか
     ごくり ....
冬の道のあちこちに
手袋の片方がよく落ちている

ポケットから
ものを取り出す時に落ちたのか
自転車の前かごから滑り落ちたのか
私も長年愛用していた
手袋の片っぽを失くしてしまった

 ....
父が寄り添う。
父が寄り添う。

喪服姿の妻と娘たちを抱きしめるかのように。

父が手を振る。
父が手を振る。

満開の桜を頭上に仰ぎ
最後の団欒を見届けながら。
昨日まで
温もりを感じた父の身体

今日になって
冷めかけのお茶よりもぬるくなる。

一昨日まで
温もりを感じた父の身体

今日になって
明け方のこたつよりもぬるくなる。

三 ....
酒浸りの毎日が厭きてくると、突然思い立って詩なんぞを書き始めるようになつた。

 詩を書くことにしたのは、既に日々欠乏しつつある己の体力と得体の知れない精神と何とか帳尻が合うかも知れないと言う甘 ....
傘をひろげましたら
夕べの余韻が
小指におちる滴に
とうていました

親をなくす
という意味を

青いろの空は
オリーブの葉を揺らし
春の息吹を
祝福しているようで
交代のしら ....
青い空がおいでって私を呼んでる
ずっと夢見ていた旅立ちの日

春の風が何度も私をせかして
早く早くって言うけれど

飛び立つにはけっこう勇気がいるのよ
心臓がドキドキして今にもはじけそう ....
ハムすき〜!

叫んだポニョがうらやましかった
私も
ハム好き〜!

叫んでみたかった

だけど
ハムの裏側にある
添加物の数々を
確かめずにはいられない
そうして
ハム ....
春かな
雨がしとしと
しとしと心に
目をつぶり
何をしようか考える

春かも
傘をさして外へ出れば
何かあったのかな
皆嬉しそうに少し笑っている

春だよ
手は冷たい
頬を撫 ....
カンカン照りの夏の日に
黒いペンキが捲れてた
露出した鉄の赤錆を
ぼんやり見つめる
ころがり落ちた
階段の下から
目覚ましが
遠く鳴る
リリリ
リン


すでに
取り返しが ....
駅から家までの道を歩きながら
様々な方角へと視線を分け入らせていく
見たこともない花が咲いていたり
知らなかったガソリン貯蔵施設があったり
私の視線は細くしなやかな糸のように
ど ....
灰色の道の上に
ひとつの疑問が落ちていた
ずいぶん昔 この胸に生まれ
しなやかに若木のように育ち
そして出て行った
いつか答えを見つけるのだと
朝の光が包む白い道を
振り向くこともしない ....
夜、部屋に帰って来ても
朝、起きても
置いた物は
みんな
置いた場所に
ある

一人 なんだなあ
自由 なんかなあ
紙箱に仕舞われた
細いヒールの靴を
何十年かぶりに取り出す
一歩
二歩
あまりの痛さに
これはもう私の靴ではないと
知る
おそらく知っていたけど
今日、知ったことにする

おそろ ....
夏美かをるさんのおすすめリスト(7649)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
崇高なもの- やまうち ...自由詩615-3-5
計器飛行- たま自由詩14*15-3-5
潮騒わずか- 秋也自由詩115-3-5
飴玉- 灰泥軽茶自由詩615-3-4
祖母の春- 藤原絵理 ...自由詩515-3-4
夜が零れる- 梅昆布茶自由詩15*15-3-4
親父とわたしと息子- ただのみ ...自由詩25*15-3-4
まほうの杖- Lucy自由詩12*15-3-4
創世記- 為平 澪自由詩9*15-3-4
かものはし- nonya自由詩19*15-3-4
靴底- 為平 澪自由詩10*15-3-4
折り畳み傘- 灰泥軽茶自由詩1215-3-3
連詩〜とよよん様と〜「被災地を知らない私たち」- 黒木アン自由詩8*15-3-3
夕暮れのバス- Lucy自由詩14*15-3-3
幻死_- イナエ自由詩8*15-3-3
冤罪(えんざい)- ……とあ ...自由詩7*15-3-3
月なしの夜に- 石田とわ自由詩19*15-3-3
【_手袋の片っぽ_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-3-2
無題。- 梓ゆい自由詩315-3-2
今日になって。- 梓ゆい自由詩215-3-2
日常- ……とあ ...自由詩8*15-3-2
春雨の涙- 黒木アン自由詩315-3-2
たんぽぽ春のパラシュート- 未有花自由詩16*15-3-2
窮屈な食卓- そらの珊 ...自由詩9*15-3-2
春の雨- 灰泥軽茶自由詩615-3-1
冷えていく鉄/即興ゴルコンダ(仮)投稿.17- こうだた ...自由詩10*15-3-1
歩く- 葉leaf自由詩3+15-3-1
灰色の道- ただのみ ...自由詩22*15-2-28
置物- 金子茶琳自由詩1815-2-28
靴を捨てる日- そらの珊 ...自由詩1215-2-28

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