すべてのおすすめ
つきぬけるような青空だ
天国の存在も許さぬほどに

旧年度の引き継ぎが終わり
神様は後任のために天を掃除した
きっぱりと片付いた空に満足し
目を細めれば

見よ 地上には桜の煙り
赤 ....
あきらかな
あたたかな
あなたとわたしの
いっときの
うんどう

えんどれす

おともたてずに

かなしいよる
かたつむりがはう



きりのなか

ください
く ....
赤ん坊の頬をなぜるように
水蜜桃の皮をむいていく
あなたの指が
汁にまみれて
窓から差し込む光に包まれている
甘い水が
赤ん坊の膚のような
産毛の柔らかい皮をはぐたび
したたる
した ....
なんだろう、風がすずしいのは
どこまでも突き抜けていくんだ
水色のベールに覆われているということを
空は気づかせない
視界良好
闇はまとわりつくが
空は遠くにあるだけだ
どんな風にあるの ....
夏の終わりを待つ
私の耳には
波の音も
大きな地面を渡る水の音とはついに聞こえない
砂浜を歩きながら
光がどこから来るのかもわからなくなっていた
手を伸ばすと空間がななめになって
空がぐ ....
冷ややかな朝に
渡る風の行方を見つめていると
どこかで古いレコードが回りだす
草原の朝もやの中から
湿った石の階段が現れる
五段ばかりで
他には何もないのだが
時を経て少し苔むしたまま
 ....
空に標識がないのに
飛行機がぶつからないのは不思議だ
と母がつぶやく

風のはじまりはどこなんだろうねえ
風はどこで終わるんだろうねえ

お母さん
あなたと同じように
私も
いつの ....
古い写真
同じ年の子供たちが
いっせいにポーズをとって
こちらを見ている
覗き返す
私と
唯一
目が合わなかった
十歳の私

偏屈な子供
いつもみんなが
ガラスの向こうにいるよ ....
寒さが染みてきて
壁から伝ってくる


暖房を酷使しても
革のソファは冷たくて
ふたり絡まりあっていても
耳に吹きかける息が白くにごる


かつて
部屋の中で燃えていた
暖 ....
長いこと沈黙していた
アスファルトの隅で
地面のざらざらの下にある
本当の地面を思って

空の底には
まだ底がある
底の底は
地球の裏側の
空の底

夕暮れ
ノアの箱舟に
オ ....
頭がしゅうしゅうする
曇り空に
赤い点
落下傘が流されていく
ごまつぶのような黒い人かげ
大きな指が
垂れこめた雲に
文字を描く
地上にひしめいている
誰もが
しゅうしゅうしている ....
おまえが
にゃあ
しか言わなくなってから
三ヶ月過ぎた
冬の上野公園で
壊れている
おれ
ショウジョウバエが2匹
離れない
ベンチ
に横たわって
斜めに見る
空はどこまでも
 ....
湯船にゆっくり脚をのばす
私は顔をお湯から半分だけ出して
鼻息で作る波紋を楽しむ
沈黙
あなたが入ってくるとき
私は寝たふりをしている
湯かさが増して
鼻で息ができなくなったとき
はじ ....
思いきって体を展開
次のうち正しく人体となる展開図はどれか選べ




の中に答えはあるのか
さらに思いきって
らせんを分解
写真1のヒトを示す遺伝子の正確な塩基配列はどれか ....
ボートから転げ落ちて溺れた
一人目の男は
すぐに飛び込みすくい上げてくれた

ボートから転げ落ちて溺れた
二人目の男は
携帯電話で助けを呼んでくれた

ボートから転げ落ちて溺れた
三 ....
(十八歳のノートより。走り書き。)
整然と暮らす人々への激しい憎悪
違和感が劣等感でしかないことを理解して私は身悶えた
一時もここにいてはならないという強迫観念
しかし他にいるべきところもない ....
いい天気ですね
がはじめの言葉だった
G線上のアリアが流れていて
あんまりできすぎたシチュエーションに
笑いをこらえるために
コーヒーを一口すすってから
やっと私は
ええ
と答えたのだ ....
おいしい
ためいきと沈黙の時間に
脇にはベッド
シャワールームには
不思議な大きな女の子の絵が
目隠しに貼ってある
濃密な時間を過ごすための空間

おでんが冷めていく
こういうホテ ....
やもりが小さく這っていた
指を噛み
においをつけて
私たちの行為が終わる
しみったれた青春の木造二階建て
隣の人は今日も家にいる
ラジオのニュースが空に流れていく
株価の変動は関係ないと ....
何度ささやいたかわからない
あいしている
のうち
一度だけは
「哀している」
と言ったのだ
きみは気づかないが

かなしもまた愛し
あいしもまた哀し

きみが肩に頭をのせているあ ....
白い砂浜に続く足あとが
あなたの逡巡の時間だった
五月
私とあなたが確かめ合った
ただ
それだけ

テトラポットの陰で
立小便をしていた男の子が
唯一の愛の証人であったことなど
知 ....
雨の下にずぶ濡れていた
左手にワイン
右手にパン
行き場なく

真夜中のスーパーの駐車場
雨を吸い込んだ衣服が鎧のように私を固定する
じゃりじゃりした下着の中では
排泄物が雨と親密にな ....
夜はどこにあるのですか
しまってあるのですか
どこに
すぐそこに
見えませんか
そんなに澄んで見えますか
あなたの見ているあれは
実は
空ではないのです
あれは
ただのふろしき
 ....
夕焼けに
あなたをひたしておいたのは間違いだった
体の重みが邪魔でならないというように
身をよじって窓辺のベッドに横たわる
へそのくぼみから腰骨
肩甲骨
うで
まるく光る乳房
あごの下 ....
胃路は臭へど塵塗るを
我が涎そ
津ね
奈良

ウイーの奥や
魔境越えて

砂丘
目見し
絵紐背図
愛飢え
丘聞く

濃さ
死す背育ちつ
手となりぬ根の
這ひ
増へ




母屋
射ゆ
獲よ
羽を
お互いに歳をとったら
春の日の縁側で
あなたの膝枕で
眠るように死にたい
と言ったら
あなたは泣いた

六畳間の安いパイプベッドの上で
まだ社会にでることすら想像できなかった
若かっ ....
青白い校庭のすみで
二人手をつなぐ
土管の中
ひんやりと湿ったコンクリートの円形が
彼らの頭から足先を連続させて
皆既月食のように輝いている
静かな夜

土管の外側は小さなタイルのモザ ....
書く端から
言葉がもろい陶器になって
ぱりんぱりん割れていくので
どんなに壁にしがみついても
もう書けないのです
コンクリートは湿ったにおい
かび臭い指先から滴るインクでは記号にならない
 ....
誰もいなくなった教室で
同じ図形をノートの端にひたすらに書くということを止められなくて
一本の線で四角をどんどん連鎖させて黒くなるまで
はじまりがどこだか見えなくなっても
鉛筆の先に終わりはま ....
たもつさんの岡村明子さんおすすめリスト(34)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
天国- 岡村明子自由詩106-5-11
あいうえんどれす- 岡村明子自由詩4*04-9-18
水蜜桃- 岡村明子自由詩9*04-9-17
- 岡村明子自由詩204-9-17
八月三十一日- 岡村明子自由詩304-9-16
階段- 岡村明子自由詩904-4-22
標識_2- 岡村明子自由詩8*04-4-19
視線- 岡村明子自由詩704-1-15
暖炉- 岡村明子自由詩704-1-15
球形の休憩- 岡村明子自由詩403-12-29
低気圧- 岡村明子自由詩403-12-26
木枯らし- 岡村明子自由詩7*03-12-17
湯船- 岡村明子自由詩403-12-12
人が人であることの同一性への試み・思いきって- 岡村明子自由詩603-12-9
溺れる- 岡村明子自由詩1103-12-6
十年後- 岡村明子自由詩5*03-12-4
Air- 岡村明子自由詩803-12-3
「猫」という名のホテルにて- 岡村明子自由詩603-12-2
圏外- 岡村明子自由詩303-11-25
しぼむ- 岡村明子自由詩1003-11-12
初恋- 岡村明子自由詩503-11-9
アスファルトの磔刑- 岡村明子自由詩403-11-8
ふろしき- 岡村明子自由詩703-11-8
カーテンコール- 岡村明子自由詩603-10-29
以呂波うたの実験- 岡村明子自由詩403-10-22
五十音の実験- 岡村明子自由詩1203-10-22
四月×日- 岡村明子自由詩503-10-21
土管- 岡村明子自由詩403-10-11
迷羊- 岡村明子自由詩603-10-9
ボギー大佐マーチ- 岡村明子自由詩503-10-7

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