1 自然環境におけるチャンスは人間の想像以上に確率の低いもので
まず心よりも先に愛しいと感じる全ての器官
参考資料1「2つの景色」より
マウントするのは
野生における♂が
その最中でも周りの敵に注意を払うため
ということを聞いたことがあるのだが
果たして昆虫から猿に至るまで
その形は酷似していることからも
それもありなんかとも思いつつ
とある南の先島のアダムとイヴは
バッタの重なるを見て
子孫を残す術を得たと語り継がれ
では
ホモ・サピエンスなんて馬鹿げた学名の我々は
如何なる意味をもってして
その形を捨て去り
遥かな時の後でまた
当然のようにそれを慈しんでいるのだろうか
2 すれ違う、ということも
心より先に感じる
参考資料2「交差点のリリィ」より
彼女は意を決して走り出すのだが
決まっていつも
こおろぎが鳴き出し
それから
道のまん中に崩れてしまう
3 そこにある(いる)、ということ
は、それを感じる誰かがある(いる)ということ
まず、心よりも先に感じる誰かが
参考資料3「夜半消え行く音に」より
テレビを消してみましょうか
ちょうど今頃は庭先から
みなさんがよく知ってるものや
そうではない虫の音も聞こえてきます
もちろん
携帯やパソコンを覗いてるうちは
聞こえてきませんが
不思議なことに
物語
例えば
ツルゲーネフやジッドなんかの
青春を過ぎてはじめて
赤面なしに読むことができる
初恋物語を読みながらの虫の音は
今でも覚えてるような
ええ
覚えてるような気がするだけです
一体全体あの時の虫の音は
あるいは物語の中から聞こえてくる
幻覚なのかもしれません
その証拠に
明日の仕事のことを少しでも思い出すと
簡単に消えてゆくのです
4 結局、僕等の心は
そのひとつのちいさな光にもなれないのかと思う時
より、滲む
参考資料4「うみほたる」より
漁り火はほたるじゃない
燐光もほたるじゃない
君もほたるじゃない
君の魂もほたるじゃない
**********
心はここにあって
そのほたるも海には帰れない
5 もう帰れないと感じる器官
どこかで
心はつながってゆく
はずなのに
参考資料5「空耳ばかり」
蜻蛉って鳴くよね
螻蛄って鳴くよね
蜉蝣って鳴くよね
蝋燭の下で
冬虫は
鳴いてないのは鳴けないから鳴きたくないから鳴くことじゃないから聞いてる虫もいないから鳴いてるわけないじゃんって鳴ける虫じゃないじゃあんなんて言って欲しくない
じゃん
冬虫も鳴くよね
蝋燭の下で
6 結論
答えを出して欲しいとは思わない
参考資料6(私信)
今日も虫の音が聞こえる
(幸せなことに正解はない)