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いつかわすれたうたが
君のくちびるにのぼったら
一艘の舟がこぎだすだろう
夕陽の海へ 雲のかなたへ
(そして、振り返ることもなく)
いつかわすれたうたが
君のなみだにかわ ....
昼下がりの
うすむらさきに藤がひかる
森で
少女は見知らぬ少女と出会った
目を閉じて 見知らぬひとと
わたしの森を過ぎてゆく
風、
心臓の音だけが聞こえるでしょう
唇と ....
春の海はまぼろし
蜃気楼の楼閣さえ彼方に浮かんでいる
わたしを呼んでいるように
遠い海鳥
緩慢な波
割れた貝殻
ただ砂にうずもれて
あの子のか細い肩甲骨はもうさびしくなか ....
青い扉の向こうに
雪原が広がっている
かすかなノイズ
そのなかに紛れるように
一頭の白い馬
あれはあなたが放した淋しい夢だ
指で触れて
夢だと知りながら
その長い首を抱きしめる ....
雪の瞳に映るのは
軽やかな窓
音もなく降る白い彼方の光
ひとつの塔に夜明けが訪れた
沈黙はただ安らぎであるかのように
いつか鳴る(それは予感めいた)鐘の響きを待って ....
あの子は障子に射す光を見ていた
目の窓に映るきらきらの光はなぜか心を
胸のおくをきゅんと痛くするの
涙が目の窓にもり上がって
よけいにかなしみというものが近づいてくる
かなしみはうつ ....
だれもしらない庭にだれもしらないあなた
わたしたちは夢をみた
はつ夏のひかりのなかで
あれはあなたの花
ジャスミンのむせる匂いに
秘密めいたあそび くちびるの感触をおぼえた
だれも ....
夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで
わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉し ....
ある日窓から花を投げた
あのひとが受け取ってくちびるに寄せてから
あのひとが好きになった 恋をした
みずいろの花 むらさきの花 そしてあかい花
あのひとはすべて受け取ってそっと胸にしまった
....
(雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
わたしはくもりガラスの向こう側で)
あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとで ....
ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける
ね、あなたは今も孤独なのだ ....
十月、黄昏
やさしい人の涙を僕は知らない
誰か呼んでいる (猫の仔のようにか細く)
振り向けば街をすり抜けいつかの風が吹く
頬に触れる、あのなつかしい指先で
がまぶしくて目を閉 ....
あの月をおぼえている
かつて輝いた太陽を知っている
その手に触れたものも
触れ得なかったものもぜんぶ
それは、
緑陰にそっと揺れていた
真昼のしんとした光を浴びて
それは、
あ ....
雨のなかの馬
時間さえ檻のなかに閉じ込められる
そっと名前を呼んだ
季節が過ぎて青いさびしさが満ちてくる
後ろさえ振り向かず駆けていこうとする
雫のビーズをまき散らす夢よ
どうか名 ....
山鳩の遠く鳴く朝
僕は旅に出る
心は遠く動いている
窓の向こう
あの坂を下った道に
風が梢をさやがせて
あれは空に向かって高鳴る心臓
緑の葉が一枚 また一枚
流されてゆく
風 ....
かなしくてないているのか
さびしくてないているのか
雲の切れ間に青空
風に小さな羽根をふるわせて
うれしくてないているのか
いとしくてないているのか
透きとおった雪が流れて
目の ....
鳥が啼いてゆく
いつか、いつか、いつか、
赤い夕陽がしたたり落ちて
心を焦がす イタイホドニ
{引用=近づけばまた遠ざかり
遠ざかるとまた近づく
蜃気楼 日々は}
そしてまた ....
夏美かをるさんの石瀬琳々さんおすすめリスト
(17)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
いつかわすれたうたが
-
石瀬琳々
自由詩
5*
15-7-22
藤のからまる森で
-
石瀬琳々
自由詩
12*
15-5-21
春の海の変容
-
石瀬琳々
自由詩
12*
15-4-22
白い馬(あるいは青い扉)
-
石瀬琳々
自由詩
16*
15-2-19
雪の瞳に映るのは
-
石瀬琳々
自由詩
9*
15-1-21
十一月のきつね
-
石瀬琳々
自由詩
13*
14-11-21
だれもしらない庭で
-
石瀬琳々
自由詩
14*
14-5-27
アグネシュカ_夜明けの森
-
石瀬琳々
自由詩
10*
14-4-23
花ぬすびと
-
石瀬琳々
自由詩
12*
14-2-19
手のひらの花、そしてあのひとの雪
-
石瀬琳々
自由詩
9*
14-1-22
白い鳥、飛んでいった
-
石瀬琳々
自由詩
12*
13-11-20
十月、黄昏
-
石瀬琳々
自由詩
7*
13-10-23
緑のおもいで
-
石瀬琳々
自由詩
7*
13-8-21
雨のなかの馬
-
石瀬琳々
自由詩
18*
13-7-18
山鳩の遠く鳴く朝
-
石瀬琳々
自由詩
12*
13-5-22
冬の小鳥
-
石瀬琳々
自由詩
11*
13-1-23
いつか、
-
石瀬琳々
自由詩
10*
12-11-21
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