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{引用=
( 竹林に翁が影、竹を切る 音がする )
里はもうそんな時節らしい
路によりそう水の流れ
ここは、暮らしにいつも水音がある
流れる水は 淀むことをし ....
{引用=
あなたは 一滴の雨のしずく
あなたは、今日 それを知らない
雲のうち 母の子宮に命を得、
社会という 海の器に生まれおちる
歴史という 時の波にあらわれ、
....
{引用=
はじめは、
つねの細雪
里がつきる雪の原
月あかりが
白い影をひく
{ルビ素足=はだし}の人待ちすがたは、
女夜叉
夜めにも妖しい
うつくしさ
*
....
{引用=
十二月の声がする
救いに問い、
重ねたページをひらく
ほこりをかぶった
☆ Christmas notebook ☆
今年のしおりは、
描かれた 木が緑を ....
{引用=
心の 光合成らしきものを
うしなった日
一人掛けのテーブルに
書置きをのこし
家出する
…
…そこは、街路のきえた荒地
枯れ葉が、錯乱したさき
風の音に ....
{引用=
冬がとどく
真夜中のようにしずかに
誰にも 気づかれることの
ないように
技師のつめたい指をして
冬は、いつもきびしさで やってくる
翳ろ ....
{引用=
少しためらい
端座する
永いあいだひらくことのなかった
古い三面鏡
鏡のなかに{ルビ生=お}う
まよいの雪雲は、ひろがり
僕は、人らしくあろうとし、
ど ....
{引用=
糸を吐く
吐きつづける
安住する繭を紡ぐためでなく、
時は、裸形の
いつわることのない
思秋期
無月の夜に さまよい
眠りにたゆむ街に
星の つつし ....
{引用=
忘れ去られた化石のように
書籍がたちならぶ
黴は 胞子のにおい
博物館の展示品さながら
標本とみまがい、
ここでは もう誰も
紙に書かれた物語を
手 ....
{引用=
冬立つ月の夜
南瓜に火をともす
ゆらぐ明かり
ゆらぐ 影も 心も
ひととせの 時のはざまの、いつかより
旅芸人たちがやってくる
誰もが 物の怪さながら ....
{引用=
抱きとめるのは、
こんなにも
どんなにも
悲しいこと
行き惑う身は、心のつばさも
なんの役にもたたないと、
きみはひとり
街の明かりに唾をする
....
{引用=
「 そんな 時代でした
また この月をむかえるのですね
*
青年は 凛とし
少女は ひたむきなうつむき顔
( 二度と会えないと けして ....
季節の ものがたり
訪れる ひき潮の音のすでに秋
{引用=
「「 髪をきるように
ばっさりと 一つの季節は終わり
ここに、誰もいなくなって
それでも 次の遊子 ....
波の音
水辺を尖塔がたちならぶ
人が、」」祈りに神を利用することをやめた 昔
億年の昨日
名立たる街がここにあった
砂丘に廃墟となした オベリスクの針は
そら物語 ....
{引用=
雨の去った午后
くもがくる 心の硬貨は、
ありし日の 思い出
ゆく雲は
どこまでも
どこまでも なだらか
秋をかざす 陽光のサンデッキに
秋空を ことほぐ ....
{引用=
森のほとりに
もの言わぬ田は、ただひと色
深みどり
稲穂がふかく{ルビ頭=こうべ}を垂れるのは、
やってくる収穫の
刈り殺されるものの 祈りでしょうか
....
{引用=
黒い肌の女が 枯れ枝のような
赤子をだいていました
たまゆら
乳飲み子は、欲するものがえられないと
それを知ると、女の乳首を舌でおしだした
砂塵の風
大いな ....
夏の陽ざしは、いらだちの
Fucking hot
モーツアルトの楽の音は、
それを和らげる
そして 冷たいcokeと ひときれの青いパイ
すべては 「文明」 の、ほど ....
空に むきだしの骨をさらす伽藍
「歴史」はいつも古びた建物を残していく
廃墟のあとにしか 平和が生まれることがないのなら
平和は、あまりに残酷な子
森は、朝にめざめ
戦いの ....
{引用=
文月二十日
解剖のひつようもなく
わたしの うちに
命の 砂時計の残りをたしかめる日
オメデトウ
オメデトウ
神々が休むことのないように
あゆみを ....
{引用=
夏の陽に 焼かれながら
後ろ手の 信玄袋をけつの下に
揺らし
女の背は 凛とし
黒紋付の羽織で、振り向く{ルビ面=おもて}が艶やかだった
名は、定
床上手の 女 ....
ジャンヌ・
エビュテルヌ へ、
{ルビ類=たぐい}なく
五本、僕には絵筆を自由にする指がある
夏の陽射しのなかで
あからさまに 風景を絵画にきりとりながら
固定らし ....
{引用=
たわむほどに忍ぶ
ユリの葉は、こらえきれず
重き玉露を 弾いてみせた
その 砕ける音を
耳にしたような気がしたのです
千夜の しののめ
いさめらしきものを ....
{引用=
到来は 雨月の{ルビ小夜時雨=さよしぐれ}
遠くに{ルビ鳴神=なるかみ}もあらぶるよう
昔は今 豊葦原の中つ国、その奥山に御霊がたずねる湯屋がございます
姫垣のむこう ....
{引用=
目をさます
{ルビ灯火=ともしび}に光りをともす
夜の帳をとく
忘れれば 万物の命を病めさせる
部屋に家具ひとつなく
静寂に そこは
音という概念すらありもぜず
....
{引用=
詩を詠むように
風を読むものたちがいる
読経の声
いや、それは蜂の羽音にも似た
風だった
見上げれば、しばらく忘れていた空が
いそぐ雲を 連れ立ち ♯
....
{引用=
緑をゆらす
風は、なおらかに こんなにも
美しいものだから
少しばかり
すずろ歩き
季節をむさぼれば
不埒な 出会いが待っている
ちいさな 会釈
往 ....
{引用=
御控えなすって
御控えなすって くださいませ
さっそく御控えくださり ありがとさんで ございます
軒下三寸 液晶一面 借り受けまして
失礼さんに ございます ....
{引用=
山色も褪せる
賽の河原とよぶ 山の端に
鬼がいっぴき 住んでおった
大酒喰らいの 赤鬼
人に化けては 濁酒を飲みにくる
細かなことには、気が向かぬのか
角を 忘れて ....
{引用=
陽炎に
雪 みあげれば
あっさりと あっさりすぎるほどに
春のよそおいを見棄てる
サクラでした
生の 爛漫が閉塞と終焉のはじまりなら、
未完でありつづ ....
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