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小さな
一人暮らし用の冷蔵庫
霜だらけの冷凍室の内部は
どんどん狭くなる
なのに
霜取りスイッチもない
しかたない
それでは
冷蔵庫と冷凍室を空にして
霜取り
 ....
真昼の空気越しに見る空は青くて
目には見えない風がひんやりして気持ちいい

空気が透明でよかった

なんてね

でも

さっき君の声が僕を呼んでいるとき
君の声は透明で何も見えなか ....
 なあ
 おまえ歩くスピード遅くなったな

   そうかな

 そうさ

妻と散歩する夕暮れの利根川の土手は久しぶり

   ねえ
   誕生日プレゼント リクエストしてもいい?
 ....
砂浜の砂を握りしめ
手を開けば
崩れる砂
崩れた砂を見ると
砂は砂粒と砂粒だった

地球はひとつでも
本当の地球は
個々の人々や生きものたち
一粒一粒の砂粒

この世の中の本当の ....
盲導犬オスカー
オスカーにとって優先すべきことはパートナーを送り届けることだったから
フォークの様な物で刺されても声を上げなかった

こんなこと 息が詰まる
こんなこと 許せない

 ....
ひまわりを見つめると
いつも
太陽を背にしてる

もう一年経ったんだ
あの時もひまわりはまだ咲き残っていた
あの時は太陽で後頭部が焼けるように熱くて
流した涙も熱かった

記憶は儚い ....
Jazzだ
地べたにブルーノートが散らばっている

フェロモンでマークした道から外れる蟻
ほとんどの蟻はフェロモンの道から外れないけど
中には道を外れるフェロモンに鈍感な奴もいる
ウロウロ ....
湯船の湯の中でアルファベットを書いていると
いくつものカルマン渦が生まれた
小さなCの渦
乱れたEの渦
投げやりなXの渦
Qを書くと
Qの渦が生まれ
その中心が優しく輝いているのが見 ....
斑入りの朝顔の葉
白い斑
子供の頃は病気の葉だと思っていた
今では朝顔の個性であると想っている
今では斑のアクセントに自然の美を感じる様になった

斑入りの朝顔の葉
不効率な自然の葉 ....
盆の入り
スーパーの店先にはたくさんの花が並んでいる
私は小さな白菊を一束買って
位牌も仏壇もないアパートのテレビの横に添えた

命の儚さに狼狽え
己の傍観者面に辟易し
せめて大切な人を ....
幅わずか20cm足らずの白線に仕切られた世界は真逆の世界
私のわずか右の世界では皆
私がいた過去に向かって進んでいく
私の世界は誰もいない
皆私の右側の世界を進んでいく
まるで私の未来から皆 ....
祭りの翌朝
小雨降る広場で
ゴミと小銭を拾うお年寄りを蔑む中年夫婦が
小さな野花を踏んだ

こんなに綺麗な花なのに
本物の生きている花なのに
偽物だらけのこの世の中に
確かに信じられる ....
電池の切れかけた目覚まし時計の秒針が
8と9の間で震えている
目覚まし時計はもう鳴ることも時刻を示すこともできないが
私にはどうすることもできない

目覚まし時計の側には
薬と孫の手はある ....
思い出した

深夜放送で読まれた骨肉腫の高校生の女の子の
手紙
中学生の僕は
いのちというものをはじめて意識した
しばらくして女の子は亡くなった
女の子が好きだった深夜放送
僕も毎 ....
ミッキー
世界中の君がひとりきりのふりをするのは
掛け替えのない存在でありたいからかい?
ミッキー
今日君のぬいぐるみを抱きしめている女の子を見たよ
あの女の子にとって
君のぬいぐるみ ....
工場の裏に生えた草を抜いていて思った
この国は何て豊かな国なのかと
何もしなくてもこんなに沢山自然に草が生える
知らない名の草が生える
1ヶ月でこんなに生えるなんて凄い生命力
しゃがんで ....
気がつくと
外は明るくて
蝉が鳴いている

窓を開けると
空は白く
蝉の鳴き声は透き通っていた

外は明るく   太陽が見えない
鳴き声は聞こえ 蝉が見えない

感じているの ....
晴れだ

汚れた車を洗おうと
バケツに水を汲み運ぶ
曲がり角で
バケツが少し回転する
バケツの小さな遠心力が手に伝わる
あっ
懐かしい感覚
身体に染み込んでいる楽しい感覚

 ....
太陽が見えない
月も星も輝かない
この地上は暗く濡れたまま
夜が明ける

夏の黒富士に残雪の傷
目前の山肌は湯気立ち霊気を放つ
この血は静かに震え
夜が明けた

この命が熱り立 ....
小雨の中
モンシロチョウが
ヨロヨロと飛んでいる

どこかの葉陰で休めばいいものを
そんなになってまで
なぜ飛ぶのだ

腹が空いて蜜を探しているのだろうか
子孫を残すために相手を ....
あなたは笑顔で泣いている
薄雲を通過した日差しの下
歩行グリーンベルトの上
うつむいて去ってゆく

私は笑顔で泣いている
笑顔で泣いているあなたを見て
かすかに揺れる半夏生の葉を見て ....
久々の晴れ間に浮かれていた午後


汗で膨潤した角質層が汗腺を塞ぎ
汗腺から出られなくなった汗は
俺の真皮の中で暴れている

汗よ
もがけ
閉じこめられた苦しみに
負けるんじゃ ....
雨に濡れたアスファルトが映す街は
モノクロの写真
音も止まる
古いスチル写真
動いているのは
私の影
そして
雨粒と水の波紋

雨水に浸食されていく電柱は
濡れて黒い墓標
匂 ....
歪んでいるこの音が心地よい

衰えた左手の指が
強く弦を押さえられなくなっていても
コードが濁っていても
GAINを上げれば
心地よい歪んだ音が出る
フレットと弦がカスれてビビっても ....
向かい風は願ったり叶ったり
よく上がるぞ
追い風なんて当てにするな
向かい風を受け止め
駈け上がれ

多少の雨なんか放っておけ
雨雲は低いんだ
すぐに突き抜けるさ
雨粒を弾き飛ば ....
汗をかいた

汗で目がしみる

生物として
人として
うれしい

曇っていても
太陽を感じる

風が吹かなくても
体温を感じる

くよくよするな
汗をかけ

ひか ....
飴を取るときはひとつ
飴を頂くと手のひらにふたつある

言葉の意味を調べてひとつ知る
誰かと話をしていると
いつの間にか言葉の意味をふたつ知る

買い物帰りに今川焼きを買うときは
ひと ....
あの信号が変わる前に渡れたら
きっと うまくいく

ありふれた願を懸けた



決して走ってはならない

ありふれたルールを課した



早歩きがどんどん早くなる

早歩 ....
海の匂いがする風が

過ぎていく時に
光と
圧と
匂いと
音で
描く



   飛ぶ

 
鳥は
海風に向かい
まるで静止しているように飛ぶ

鳥は
生きる ....
トイレットペーパーの芯で
1/10000のスペースコロニー模型を作る
125万平方メートルに1万人が居住するスペースコロニー
1万人がいる狭く閉じた空間は精密な環境下の秩序で成り立っていて
 ....
夏美かをるさんのichirouさんおすすめリスト(177)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
霜取り- ichirou自由詩1014-9-24
君が入れてくれたコーヒー- ichirou自由詩17*14-9-21
のんきな散歩- ichirou自由詩11*14-9-13
だから僕は時々空を見る- ichirou自由詩15*14-9-7
この社会の有り様- ichirou自由詩13*14-8-31
ひまわり- ichirou自由詩15*14-8-30
地べたのブルーノート- ichirou自由詩16*14-8-29
Qの渦- ichirou自由詩14*14-8-23
斑入りの朝顔の葉- ichirou自由詩16*14-8-19
白菊の香り- ichirou自由詩15*14-8-13
センターラインの右側の世界- ichirou自由詩17*14-8-11
きっと- ichirou自由詩17*14-8-9
ある終末- ichirou自由詩914-8-5
深夜放送- ichirou自由詩814-7-31
ミッキーマウスへ- ichirou自由詩9*14-7-27
草茂る国- ichirou自由詩17*14-7-26
生きている途中で感じている- ichirou自由詩814-7-22
遠心力と太陽と- ichirou自由詩12*14-7-12
この命が熱り立つ- ichirou自由詩8*14-7-8
生きていること- ichirou自由詩914-7-6
笑顔で泣いている- ichirou自由詩14*14-7-1
汗よ_この地球の大気に飛び出せ- ichirou自由詩15*14-6-30
雨が降る街にて- ichirou自由詩13*14-6-29
心地よい歪み- ichirou自由詩7*14-6-28
凧になって駈け上がれ- ichirou自由詩10*14-6-22
もうしばらく汗で目がしみていたい- ichirou自由詩10*14-6-20
ひとつよりもふたつ- ichirou自由詩11*14-6-19
早歩き- ichirou自由詩18*14-6-18
海風- ichirou自由詩16*14-6-14
1万人が住むトイレットペーパーの芯で考えて楽しむ- ichirou自由詩8*14-6-13

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