∞ おわりに
私はこれまで
数々の冒険について述べてきた
世界はかくも荒々しく美しいことを
伝えたかったからだ
最後に一人の青年
カントリーボーイの話を記して
筆を置くことに ....
{画像=100104083022.jpg}
その時は
あなたのその手で いっそ
あたしを殺してくれますか
それができぬのならば
最初から好きにならずにいてください
恋心とい ....
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
切り倒したばかりの白木 刳り貫いて
船をつくろう 船をつくろう
亡くなった人の骸を入れるため
船の棺に入れて 愛しい亡骸を入れて
白浜へ挽いていこう 海まで挽いていこう ....
モノクロームの
夢を見た後は
必ず
部屋に月がぶら下がっている
月は
蛇みたいに
神秘的だと思う
胸の空白に
薄い風が吹いている
風で砂漠の砂が
少し飛ぶと
君の心に
届く ....
コーヒーを飲んで、ふと思った
抱きしめればよかったのか
抱きしめて、抱きしめられて
そうすれば
ふたりの間のなにかを埋めることが、できたかもし ....
音楽はやまない
いつまでもその唇から
風に
風に乗って
その唇に
やわらかい草のゆれる
広い野を越えて
人々の雑踏を超えて
あなたの街を超えて
音楽は続く
とどまる場所があ ....
文字達を咀嚼しようと思って本屋へ
沢山の活字たちに囲まれて気分高揚
どんな文章に出会えるかが楽しみで
どんな自分と向き合えるか嬉しくて
明日はどんな私になっているのかな
そん ....
真っ白な ノートの上に 書く文字は 私の記憶の 旅をしている
思い人 お元気ですか 文字に込め 白い便箋 黒く染めゆく
冬空に 浮かぶ白雲 風に乗り 行方を見つめ 夕日が沈 ....
私たちはつながっている
滝つぼでせめぎあう水のように
ときには去りかけている手を
つかむように
私たちは引き合っている
玄関にあるクツや
座っているイスのように
それは確かなこと
....
ねえ
世界と上手く交わるには
どうしたら良いのかなぁ
いつまで経っても
ふわふわとして
現実味が感じられないの
命の重さ
愛の暖かさ
涙の美しさ
全ては幻のよ ....
吐いた息は透明
空気が綺麗だと深呼吸
肺に運ばれ
動脈を通り
体を巡って
静脈を通り
肺に運ばれ
吐いた嘘は透明
空気が綺麗だと笑った
もうかなしくないよ
そう言っ ....
雪がたくさん 降ったから
きゅっきゅっと
アーモンドカステラ
こしらえて
にぎりずしをつくるよに
片手のひらで
雪を 食む / ハむ
耳がふたつできたから
隣の垣根 ....
舌足らずな声と
舌の麻痺した声と
酔いの回った声と
光る声と
舌の先に憂鬱を乗せた声と
舌の先で転がす欲情の声と
だらしのない生活
すべてが連結して
みなぎっている
血が騒いでい ....
僕には、
何もなかった
夏の蚊のごとく
生き急ぐことしかできなかった
何もないのに求め続けた
何もないのだから
何も得られる筈がないのに
なのに求め続けていた
僕には、
....
僕は傾いたまま
あの人の吐息に走っていった
そういえばあの人の笑顔はとても絶望的に見えたが
騙されたい人が辞書を担いであの人を抱きしめていたのを良く覚えてる
日曜日限定のせいか不気味に見える顔で街 ....
ふわり、ふわり。
使うとは思わなかった効果音
すれ違いざまのあなたから
右手が微かに触れた一瞬の事
優しい桜の香りよりあたたかなあなたの温度
涙線がくずれそうなくらい切ない温度 ....
少し早起きした日曜日
気を利かせたつもりで
洗濯をしたら
真っ白だった
タオルやTシャツが
真昼の空のような
とりとめのない空色に染まった
それは一緒に洗った
....
一二の時まで、わたしは発光していました。
ちいさなわたしは
空き地のハルジオンの隙間に落ちていた
たくさんの欠片(かけら)を
拾い集めては、
序序にじょじょに発光していきました。
....
忘れていたもの全部思い出して
今までのもの全部集めて
明日、地球が終わるって話をしよう
明日はもう来ないって言われても
もう、十分だよねって皆で笑いあって
そうして、 ....
気がつけば冬のさなか
襟をあわせ
交差点で君を待つ
知らぬ間に季節は
僕の髪が肩に届くほど
遠く過ぎた
誰にこころ奪われていたの?
いつもそばにいたはずでしょう?
誰の幻に焦がれて ....
選べないのは分かっているのです
でも、もしも許されるなら
別な日であったら
それが難しいというのではないのですから、
三百もの日と夜があるのなら
どうしてこの日でなければなりませんか ....
今日は
夏祭り
何を買おうかな
綿菓子
お面
おもちゃ
焼き鳥
たくさんあるよ
みんなで
踊ろう
盆踊り
マーくんとマーちゃんは
幼稚園で知り合いました
家はご近所で
よく公園で遊びました
二人とも照れ屋で
最初は大人の足に隠れ
一言も話しませんでした
ようやく砂場で
山を作りあう ....
ゆるやかに
どこまでも登ってゆく
木の間道
(日は暮れかかり)
一足は
永遠みたいにながい一瞬の
連続する軌跡を のこして
ひびく
ひびく
ぱたん ぱとん とたん ぐ ....
恋人よ
僕と君は
不確かな
連続性に恐れをなして
足の指先まで震えているのだ
髪の柔らかい幼子が
高い峠から降りてきて
彼の足元に
夕日の影が
せせら笑う
ビルの切れ端に
....
手のひらにあなたを
降りしきる雪を
言葉を 悲しみを
受け止められるなら
時間が過ぎて
見失うものも
惜しくないとさえ
思えるんだ
行方は誰にも分からぬ夜の旅路で
本当に愛し ....
それぞれの親がしんだときのことを語った
それが約束のように
背負っていると思い込んで
なにかを決めようとした
自分がしぬなんて考えもせずに
残ることを話した
それがどんなことなのかなん ....
四葉のクローバーを見付けて
一枚葉をひき千切った
するとどうだろう
さっきまで幸せの幸福の四葉のクローバーだったけど
今はそこら辺にいる普通のクローバーになっていた
気味 ....
握り締めることなんて出来ないってわかってるのに
風に翻弄されて舞い落ちる粉雪をつかまえて
その結晶を手のひらに刻み付けたいと思った
この冬最初に降る雪を見たのは
帰省先である少し北の街 ....
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