静寂の中
聞こえぬ音が
漂っている
リアルな凹凸
まだ見ぬ実体
見はなされ
おびやかされ
晒された者の
裏返る脳裡
粘液質のものが痛々しく
外気に触れられてゆく
これ ....
手の中で粉々にした蝶
鱗粉がまとわりついた指
幼児の残虐性が目覚める
自分の手の中での理不尽な死
鱗粉で彩られた指 虹色に染まる
まとわりつくような夏の暑さに
気だるい顔をした少女
....
風に靡く黄金色の原の影
命のバトンが渡されてゆく
円環が不満で逃げ出す者も確かにいるが
伸びた影が同化するまで私は此処に立っていたいと願い続ける
そして
引き継いで何かが ....
降りそそぐのを
右から整列させる
ぼくはもう
だんだん
目が暗くなっている
あかるいテレビから
もれる笑いごえが
喧騒が
壁をつくる
あしもとをぬらす
ぼくは
もう
だんだ ....
暖かい掌 冷たい掌 柔らかい掌 硬い掌
掌には いろんな感触がある
幼子のちっちゃな 紅葉の掌
老人の節くれた 皺だらけの掌
掌には いろんな人生がある
愛し合う恋人たちが 握り ....
子供が鈴なら 親の愛は それを揺らす風
世界が鈴の音で いっぱいになれば いいのに
かみが かわくまでは
はにかみで あいせそう
つきのうらがわの めつぼうのあらすじも
かわいた だいちの のろいのことばすら
そよぐ水草、駿馬のたてがみ かみが かわくまでは
....
あきらめてみる
たとえばわたしでいることをあきらめてみる
すると亡くなった母のこととか
ひとりぼっちの寂しさとか
なんだかふぅっと身軽になれて
お線香のくゆりは相変わらず苦手 ....
駅までの15分
キンモクセイの匂いが
日に日に濃くなってゆく
秋の日差しは暖かい
暖かくて気持ちがいい。
3ヵ月なんて嘘みたい
....
ニンゲンは幸せだ
猛暑の代名詞になることもなく
熱い息をイライラ吐き
しばしば彼らを罵倒する
(やつらは実に暑苦しい
いっそ冬に産まれてくれればいいものを)
ニンゲンは幸せだ
数 ....
なんどもしたね
なりゆきに任せて
なんども死んで
生き返った
しあわせだった
そうと気づかないほどに
1限の講義は起きた時には終わっていた
2限の講義は遅刻してまで出たいと思わない
何となく携帯電話をいじっていたら
絶好のタイミングで彼女から着信
出るの早いねってそりゃそうだ
ちょう ....
携帯電話の電源ボタン
電話を切るとなんだか
泣きたくなって涙が涙が
すきですか?と聞いてみて
すきですと返ってきた
途端に嬉しいか悲しいか
....
ドット絵の竹林を歩いていた
瀕死の仲間達を引き連れて
ボスを倒して洞窟を抜け出した時
竹取りの村はすぐそこに見えたけど
遭遇した鬼から痛恨の一撃を受けて
最後のセーブポイントまで戻さ ....
わたしはあなたを愛しています
日は沈み夜が街をつつみます
空を飛んでいた鳥たちは
どこへ消えていったのでしょうか
わたしはあなたを愛しています
なぜならあなた ....
都会は公園が狭い
そこらかしこに人々が置き去りにした言葉がころがっている
威力のない不発弾ばかりだ
今は放射能だかセシウムだかで
こだまのように響いていた子供たちの声もあまり聞こえなくなっ ....
十月の午後の坂道は
陽が傾くほど急になる
呆気なく転がり落ちていく
未消化の棚牡丹と
未開封の地団駄
十月の坂道の午後は
追い縋るほど暗くなる
勝手に暮れなずむ
未完の ....
陽気なハリー
今日も命を削って商売繁盛
そして、sold out!
可能性は宇宙よりも無限
膨張していく宇宙よりも遙か
遙か背中を追って
{ルビ僕等=ぼくら}は{ルビ久遠=くおん}と疾走していく
広大な海原に踊る大星雲
幻でもない想い人たちが
明星より ....
遠いところから吹いてきた
風を感じている
静かな部屋
月光が射しこんで来る
月を見上げている僕の姿は祈っているように
見えているのだろうか
忙しい日々にかまけて
貴方と向き合うこ ....
まっしろだ
この紙は何でこんなに 真っ白なんだ
記憶の無い海のように
僕は小船から釣り糸をたらす
何か言葉が引っかかるのを 待っている
まっくろだ
この鍵穴は何でこんな ....
海になる体へ雷の槍をふらせる
うねる波の頭の
ひとつひとつへと
国産みの神を模倣して
空になる体は
すみやかに 確固とした
愛の執行を撃ちつける
脊髄どうしがリンクして ....
降りつづく雨のせいで
部屋の空気が重く感じる
ポツリポツリと奏でる サティのピアノはけだるい
大きめのポットにダージリンティを入れて
ゆっくりと茶葉の広がる時を待つ
雨の匂いと紅茶の香り ....
バーガーショップで働けと強要された
北米の留学先で
バンズにレタスとトマトをはさむ時
どうしてもケチャップが包み紙に付いてしまって
その度先輩に怒鳴られていた
ガールフレンドと来店し ....
わがままで
おろかだった
あの子のこと
ほんとうなら
愛したかったな。
でも
できなかったから
腕も
細すぎたし
すこし
まるくなって
遠くなった
あの子のこと
....
天と地のあいだ
きらめく銀の針
天と地をぬうように
めぐらす細き糸
天が地を呼ぶ声
地が天を呼ぶ声
狂おしい声のこだまの中
全身を打たれるままに
ぬいとじられてしまえば ....
恋人がいるのに
恋人がほしいとねがう
あ、
恋人がいるのに、とおもいだす
サラリーマン生活は、
長くつづければつづけるほど、
うまみがあるという
なるほどな、とはおもう
....
貴方は頭を撫でるのが下手な人
それでもいいの
不器用な貴方の手で
ぎこちない貴方の手で
『曲者!』と 座敷わらしを槍で刺し あれから彼女 音信不通
マンションの隣の部屋は家賃安 やたらめったら自殺ある部屋
驚いてもらえぬ私 幽霊をはじめて5年 まだ未熟者
気がつくと起き ....
通販で 可愛い男子 買おうかな ランチタイムに 妄想添えて
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