ちッちゃな子供が
こちらを見上げてしゃべるのだ
まだたどたどしくて意図がくめず
まるで異邦の言葉
大人は子供の
言葉の一つ一つをやさしくつむいでやるが
二人の伝え合いはあまりうまくいか ....
雨は
縦からやってくるのに
雨のにおいは
横からやってくる
ボブ・ディランが
教えてくれた
「Blowin' in the wind」
その答えは
風に吹かれているだろう
雨 ....
熱風と潮のからさに生足を出したというのは言い訳だろう
追想と他人の秘密を剥がす酒 求めないはずの指先を磨ぎ
隙をみせ皮膚が食われるもよおしを芽吹ける場所が賑わっていく
私は傲慢でした
生まれた折より、愛され、甘やかされ、自我もなく与えられるものを咀嚼するだけでした
それが愛だったのでしょうか、それとも私が無理やり愛だと思い込んでいたかったのでしょうか
人に ....
その箱のなかには夢が溢れていた
幌馬車に乗っていたり
早馬にまたがり二挺拳銃は火を噴いて
またあるときは電話ボックスから秘密基地へと飛び込めば
誰もが海の向こうの豊かさに憧れた
....
突然
女の胸が
扉のように開き
細く
こわばった
いくつもの指たちが
ぼとぼとこぼれた
モネの指
キースの指
アルゲリッチ ....
いずもふるねの かなしさは
まことは きびのえいゆうに
まけたじじつを かくされて
かなしきいりねの だましうち
そのうち いずものへいていと
おうと をうと たまのやまわけ
きびと やま ....
卵は
白身が透明でいるのが礼儀正しいことだと思っていて
黄身は水毬のようにやわらかくあるのが正直だと信じていた
あの日々のわたしは
うまく立てない殻のまるみを遺伝子のせいにしていた
好き ....
僕が公園でハンバーガーを食べていると
人がその前に小石を置いていった
それが何かの印なのかと 僕は
ハンバーガーを置いて 小石を拾ったが
それはほのかに温かくて捨てるに忍びなか ....
無気力と言う船がある
一度乗るとその乗り心地に魅了されるから
考えることを止めてしまったりする
昨日乗り込んでみた
ぼんやりとブルーの空を眺めていると
ぽっかりと空白ができた思考の片隅か ....
汗が光ったのを察知して
君は一生懸命 左手で扇いでくれる
クエン酸の入ったドリンクを一気に流しこむ
その立ち姿を横目に
また夏が来たネ!と
笑いながらハンカチを渡す 麦わら帽の君
フォークで人を殺すことはできるか?
午前2時のグラスは汗をかいている
庭のつばきのあしもとに
ちろちろ光る晴れ色を
わたしたち 雑草なんて呼んで
きみに叱られてしまった
雨上がりでもないのに
つまむだけですんぽと抜けて
糸くずみたいな根っこ
かわいいね ....
昔むかし あるところに
とても優しい おじいさんと おばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに行きました。
おじいさんは山で不思議体験をしました。
そして、たくさんの小 ....
空気を裂く鞭の音が
耳の奥に快感を残す
その音に従うのは
野生を忘れたライオン
鼻先にこすりつけられた餌の
血の匂いに抗えず
むなしく光る牙の隙間から
唾液をたれ流す
録音されたテープ ....
電柱の蛍光灯は黄なく 痙攣している
物売りの笛が 硬直するなかで
アベニューの水銀灯は白く 動揺している
いとおしい片蔭が 逍遥するなかで
あてにならない「骨」の呻きごえ
あてに ....
山すそに嫁いで間もない頃は
会社から帰って玄関を開ける前に
そっと結婚指輪をみつめた
関所を越える前の通行手形
新姓と共に 自分で選んだ道
でも まったくなじみのない夫の家族達
ただいま ....
カブトムシ うずくまり居る 雨もよう
2011.06.20
若者 とは
めいわくを掛ける ことである
わざわざ 悩まねばならぬ
わざわざ 泣かねばならぬ
わざわざ 憤らねばならぬ
わざわざ 遠回りせねばならぬ
わざわざ 大きな荷を背 ....
ジグソーパズルの
欠けた1ピースが
見つからない
左目をなくした
モナリザが恨めしそうに
見上げている
完全であることに
恋焦がれる病が
再発したらしい
散らかった机 ....
警鐘を鳴らすのが
あなたの仕事
プライベートも
落ち着かない
アンテナ
ピンッと張り巡らせて
休んでなんか
居られない
いつもどこかで
争いが起きるのを
止めなければ
....
カルトンの上に画用紙を引いて、続きの仕上がらないデッサンをしながら、前半、身体が、というより頭と手が動かせなく、ますます遅れていくのを実感しつつ、そして後半エスタロンモカでなんとか動けるようになってか ....
空が青い。雲はまっしろ。
山に囲まれた中途半端な町。
良くもなけりゃ悪くもない。
古いお山がたくさんあって
いたって普通なんだけど
なんだか時折切 ....
お前がただ独りぼっちでいることを望むのなら
神はお前を「独りぼっち」にしてくれるだろう
群衆の中で・・・街路で歌を歌ってみたまえ
人々は君を避けて素通りするだろう
穏やかに目を ....
めざめた光を、
うらがえった傘へ、
こっそりと収穫する、
路地裏のコートを着て、
ビー玉、が降る、
午前中のわたしの背中、
すくいとれないほどに水たまりが、
あふれる、
通行人 ....
震えた先に或る
わたしのこと
雨の打つ音
鬱がれた血
異常を知らせる
信号を拾う
神経、
苛立ち
消失希望
騙せない時過
五頭の、
眠る牛に誘われ、
赤子は、へそに、
ブランケットの、
ざわめきを、聞いて、
受話器の発信音に、
埋もれた、
五人の母は、
近づいてくる、
ダイヤルに、
鳴きだす、 ....
蝉鳴く夕暮
夏さなか涼しき夕の友の家ひときわきよくせみの鳴くなり
夏ゆえか猫痩せすぎて眠たげに人も気にせず首を掻きいる
近頃はからだはだるくうつ気味と妻と友との話すのきさき
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす
ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
めだまやきには
苦痛をともなうべきだと
たまごがやかれ
失われるのは
とりのめだまの
源
だった
きみとしろみとその他もろもろ
たとえられて
身のぎせいを
あじわっている
なんて ....
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