{引用=
それは、思うよりも
地理的分布や生息環境に左右されるのです
砂漠を好んだり 湿気や樹上を好んだりと、
生きていく条件は限られているのですから、
あたしという種は、そうせずには生 ....
雲 中なのだ 走らせていく
車を 見えないのも
暗闇の 鳥が飛んでいくのが見えた
暗闇の この僕には言葉もなく 姿
誰か ああ何の自信もなかった 部屋も
待っているのか 声で 見えたのが ....
五時半暖簾をあげる女将
「やってるかぃ」
「今あけた(開店した)ばかりだけど
早いのね」
「ご挨拶だなぁ
今日は涼しいから燗つけてよ」
とり鍋ぼたんの斜向かい ....
花のように
命の終わりごろ
涙の代わりに
種を流すことができれば
ヒトにもそれが
できるのならば
こんなに悲しむことは
ないのでしょうか
いっそ子の顔を知らなけ ....
すっかりと枝を払える紅葉の木何だか女の丸坊主の
もんもんと考えあぐね外へ出て晩秋の空見上げている
東口改札から
身を投げた二人は
人知れず裏通りを流されて
ライオン像の視界を
斜めに掠めつつ
川底の止り木に引っかかった
三丁目交差点に
打ち上げられた二人は
これ見よがしにじ ....
{引用=
願いながら、息つぎあがっていく
街をみおろす丘がある
樫の木は、そそり立つそこで、
長いときを枝にのばしながら
すこしもためらいをみせぬ
自然とよぶ惰性などでない意志 ....
樹木のふりしたブロンズの支柱から
つり下げられた
仄かな風にそよそよと揺れるシルク
柔らかすぎる壁の中に
たたずむものは何だろう
揺れるシルクの隙間から
薄茶けた蝋のような
立体 ....
初秋の風が吹くころ
フレンチトーストが食べたくなる
あたたかいカフェオレをともにして
愛しい人を想い描きながら
サクッ ふわっ しっとり甘い
フォークを持つ大きな手 あなた
....
きっかけなんてないままに
特別な理由には目もくれず
ただ夢中で積み上げていく
行けるところまで行ってみよう、と
そんな毎日が楽しみでした
円柱形の白いもの
どこで拾ってきた ....
僕が見上げた あの日の空は
とても綺麗に 輝いていて
こんな僕にも 微笑んでいた
僕も自由を 手に入れたいと
空を飛んでた 僕の翼は
醜く光り その空汚す
....
空の青さを集めれば
胸に芽吹いた
白が
私の体をいつか覆い
そのまま溶けてしまうのかしら
ゆっくりとしたリズムは
体の奥から
絶えず聞こえている
耳を澄まして
目を閉じて
身を ....
雨 降り始めの音 聞き洩らさず
寝室で眠っている犀を起こさぬように
音楽がそう聴こえたら大人だろ
ここにいれば安全なのです
ここを出なくても 生きていける
そう、それならば…
違うのです
知っているのですから、外界の情報は、
過多になりすぎるほどに 手に余るほどに
だったら ....
昼間の森からはまだあの不思議なメロディーが聴こえるからまだ大丈夫
氷の国の王子はどうしてるかなあ
月の国のあの娘は?
先生、私宮崎あおいになりたい
映画の中の君に
CANCA ....
貴方が欲しくて 縋るように手に入れた
まるで 火に銀を絡めたような
まるで 恋心を閉じ込めたような
願いを込めた 緋色のガラス
きつく締めれば まるで首輪ね
見えない鎖を錯覚して
貴方の心に捕らわ ....
空が青ければ気分も晴れるほど人間は都合よくできていない。
それは夏になったからといって恋をしたことなどただの一度もない事実からも証明できる。
感情は引力で私を押し倒し、重力で沈める。
....
内耳のような誘導路をすり抜けた時
滲んだ涙は悲しいせいじゃない
出口はずっと前から知っていた
いつも見えないふりをしていただけだから
背筋のような滑走路を走り出した時
浮かんだ笑みは ....
幸せの疑似体験をした翌朝
依然として闘病生活の真っ只中で
生理的欲求をめいいっぱいに吐き出した
軽い貧血に対して冷静な自分を
少しばかり嫌になる
嫌いなものを嫌いと言えて
好きなも ....
三日月に人民服着て国慶節
漢民族 帝国の龍 飛天へ昇る
龍神立ち昇る漢土の風は濁
三日月に迷彩色 冴え返る軍務の友
腕章に黒く特務を染め抜いて 天
秋晴れや今日こそエタニムの日なり
夕暮れの通りで
僕は見る。
長い影を引き摺った
車椅子に乗った老人を
中折れ帽をかぶって
ブルゾンを着込んだ老人は
車椅子に毅然と座ったまま
一点を見つめている。
横顔には深く ....
おまえは信じないのかい?
見上げれば、オウクがたずねていた
答えかえせずに、空から煉瓦の雨がふってきそうで
恐ろしく、そいつの堅固そうな樹の下に入ったままだった
ひとりと一本の目の前を ....
急に思いついて
駆け抜けていくコトバを
つかまえようとすると
創作意欲は消える
真っ暗闇の中
ポッと浮かんで消える
使ったのは魂じゃなくて
ブドウ糖とアミノ酸
ある時は力強く
....
{引用=
*
どの色も気に入らないの。欲しいのは唇をかむ痛みの赤さ
きつね花、天秤にして恋人のふるえる声を謀りにかける
しろはくろ、くろはしろからあ ....
夏の暑い昼下り
溶けて落ちたアイスクリーム
ちっぽけな黒蟻が群がる
うじゃうじゃと
小刻みにうごめく黒い固まりは
ただただ気味が悪いだけだった
ほたるこい
の歌のように
自分の水は ....
すこしのあいだ
きづくことが、ありませんでした
きみのはだをみせる背のひろがりが、しろく
光をはじく海になった朝 ∞
おいかけてくるような
日常という記憶をぬけだした陽の
さざ波ばかりがき ....
慰めの言葉をかき集めるつもりの帰省で
何のことはない
旧い友人たちを精一杯なぐさめる酒を飲んだ
思えば卒業をきっかけに
故郷を彼らに押し付けて
都会へ来た俺はまだ幸せものだったのかもしれない ....
堕ちていくのは
時計の針かはたまた
砂時計の砂か
どちらにせよ結果は同じ
両方時を刻む魔法器具
君の小さな手の平を
繋いでふさいでもいいですか?
曖昧な返事は ....
エゴイズムでも自己満足でも
悪者でもひねくれ者でも
勝手でも自由気ままでも
傍若無人でワガママでも
避けられても外されても
笑われても貶されても
蔑まれても罵られても
恨まれても憎ま ....
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