その石はまるで子宮のように
あの日 交わったときから
じっと守り続けた
ゆだるような潮風からも
氷点下の吹雪からも
じっと路傍で待ち続けた
ただじっと砕かれる日を
穿たれる時を
自らが ....
星を喰う獅子が落ち
彼方燃える夕刻に
寄る辺ない足取りは
今にも崩れそうな橋を想定した
白線を辿る
鼻歌が頭蓋に響いては
鞄を持って耳から逃げてゆく
使い物にならない両手で耳を塞ぐと ....
もしもうひとつのパラレルワールドがあるのならば
その世界の僕はどういう人生を歩んでいるのだろうか
もし幸せな人生を送っているのかな
僕の人生と取っ替えっこしないかい
君が死ぬと ....
30年前に飲んだ水薬の幻
人間は人間を定義し続ける
3LDKを王の間として読書する
格言集 言霊チャージでGO
10時にジャムトースト今日の炊飯玄米3合
回転を少し止めた朝は
おだやかな
エメラルドの生地で
ひとつの心臓もない
白い砂床に
波のつぶやきを聴く
貝の肉のような
とりとめのない柔らかさに憧れ
ギリギリと角質の擦れ合う ....
いざという時は
やるタイプとか言って
その時やらない人は結局
いざという時になっても
やらないんだってさ
世の中そんなに
甘くないよ
とか言いながら
どこかで
まあ大丈夫 ....
私が
景色を切り取って綺麗にうたおうとしている朝に
母と祖母が冷たい戦争をしていた
庭では 冬支度がすすんでいた
家の中の空気と 外の空気が
同じぐらいの温度の朝だった
無言とは
ひ ....
幸運のバッファローが鼻血を出して
ポケットいっぱいのピーナッツは欠伸してる
誕生日
ああ 今夜も
おなかいっぱい
日差しがいっぱい
ぶつぶつがいっぱい
ああ 今夜まで
「まあ ....
ウォーターフロント 風の高層ビルに満月が架かる
護岸に寄せるさざ波 夜光虫の息
防波堤に寝ころび夏の大三角形を捜す
海風が髪を撫でるほど吹きつけて風
突堤で発火 ....
その髪は毒の蛇
歯は鋭い猪の牙
青銅の手に 黄金の翼を持つ
彼女の姿を見た者は
全て石となる
神話時代の醜い怪物メデゥーサ
乾いた丘陵のうえの神殿が
....
街路樹に寄り添って
まばたきを我慢すると
色々なことが見えてくる
見えていたのに見なかったもの
園芸店の軒先で
ペチュニアがビニールの容器に
無造作に投げ込まれて
冬の曇天を眺めてい ....
僕は夢想する
雲一つ無い青空に
ぽっかり浮かぶ黒い月を
僕は夢想する
鬱蒼としたジャングルに
飛来する原色の鳥達を
僕は夢想する
ジャングルの樹々の間を
悠然と歩む ....
アトラス天穹支え想いに風吹く
寒空の常緑茂る つづまる小鳥
唱題の中 顧みる生命の傾向
不動の蓮華座へ向け今日も一歩
{ルビ=
突然のお手紙失礼致します。
何をと思われず、どうか先をお読みください。
この手紙は、招待状でございます。
私どもの国にいらっしゃいませんか?
急なご連絡でまことに恐縮ですが、
私 ....
いつものバスに揺られ
曇った硝子を見やる
ヘッドライトがレーザーみたいだ
ならば街は宇宙戦争か
ならばネオンは流星か
霞んだ視界を晴らすために
冷え切った指をのばす
空から舞 ....
好きな花束ねて 花束作ろう
好きな花束ねて あの子に贈ろう
迷いの白と気負いの赤を
一緒に束ねて あの子に贈ろう
波に打たれて もう涙も流せぬ
そんな人の 心を暖める花束
大切な誰かに ....
虹の行方を尋ねましたね
庭に駆け出す小さな足で
あれは、たしか夏の終わり
まだ見ぬ向こうに触れたくて
尻尾はそのたび凛と鳴り
その頃わたしはまだ
羽ばたき空飛ぶネコでした
....
太陽が僕を灼いて
遠くの世界歪ませた
水槽が君を囲んで
遠くの世界絵に変えた
僕は君の水槽に飛び込んで
濡れたまま手を繋ぎたい
熱い太陽に灼かれながら
水浸し ....
小春日和の太陽は
一見優しく
地上に温もりを与え
散りゆく草木を
名残惜しむ
その慈しみに触れたと思い
人々は
それぞれの想いを胸に
去りゆく
季節から日常から人から
帰化して ....
マッチ売りの少女にでもなった気分で
その鍵穴を覗くのがわたしの日課となってしまった
この街へ引っ越してきた当時はタバコ屋さんだったトタン屋根の並び
ちょっとしたお屋敷風の黒塀に
その鍵穴は ....
紅葉があんまり紅いから
メールを送ってみたんです
紅葉があんまり紅いから
安心するんじゃないだろかって
紅葉があんまり紅いから
やさしくなってみようかなって
良く撮れた
....
無辺際の空
金属が滑空する
滑らかな肌は
雲の白さに嫉妬する
見るものすべて
聞くものすべて
触れられぬあなたの
裸体を想起させる
悲しいことなど
嬉しいことなど
すべて綯 ....
肺病病みの男と
肺病病みの女が
みすぼらしい格好で
冬の道の真ん中にいる
男は希望に絶望し
女は絶望に希望し
ふたりはディーゼルエンジンの
煤で汚れた街路樹の陰に入る
何もほし ....
母とあたし
妹ふたりは
連休を利用して
パンフレットでは
値段の割りに
妙に大きな部屋の
あるリゾート施設を
予約した
広い庭を通り抜けて
通された
部屋は大広間のよう
....
なめらかな線に少しだけ空いた
そのへこみを
埋め合わせの私が入り込む
なんて居心地が良いのだろうと思っていたが
埋め合わせは考えた
もうちょっと居場所を広げられないかな? ....
ニコライ堂の鐘が鳴る
聖橋から小川町
緩くカーブのその坂の
底にあるのが小川町
小川町から靖国通
だらだら歩き神保町
三省堂か東京堂
なぜ行かないのか書泉の角を
曲がってうれし吉本 ....
死ぬまでにしときたい事を聞かれないと答え
してもらいたい事はと聞かれ即座に答えたね
膝枕 寝付くまで穏やかにしててもらいたい
髪と布の磨れ違う気遣いにウトウトほろ酔い
時に寝返りうつ伏せ窒息す ....
疾駆する 髪を風になびかせて
星の無い夜 月の無い夜道を
呼吸する音が 耳元でうるさい
冷たい空気と体温の熱さ
帰らねばならぬ 刻限までに
守らねばならぬ 交わした約束を
目にものを ....
街を歩くキレイなお姉さんは
秋晴れの空の下
ふかふかのブーツを履いていた
ブーツの上は素足で
短いパンツでお尻だけ
包んでるんだ
変なの
そう言う私に
キレイなお姉さんは
ふふっ ....
重いビートを無視しないで
おまえを、目覚めさせるために
はるか遠くから聞こえてくる重いビート
コーラスガールの太腿にこびりついた
昨夜の味気ない欲望
すべておまえを目覚めさせるた ....
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