このように銀河は白く
星が密集して見えるわけですが
隣り合う星どうしでも
何光年という隔たりがあって
異なる時間と空間から出発した光が
一斉に辿り着いた
奇跡的な現象なのです
例えば ....
指に触れてはいけない
頬を赤らめてはいけない
このままでは溶け込んでしまう
あなたに
うつむいていても爪先が見えるから
きっとあなたは夢にも現れるわ
獏のような灰色の空ね
あなたの手 ....
凪が終わる時
授業が終わると道人は真っ先に教室を出た。いつもは軽音楽部の部室で、友人達ととりとめのない話をして、ベランダから演劇部の発声練習を眺めながら、本間裕子の姿を追いかけるのだが、今 ....
確かにあっちがああだとしても
でもこっちはこうだし
仮にあれがそうだとしても
これがどうなるのだろう
交差するのは人差し指
虚言はいかにも真実を含んでいそうだった
....
夏のあの日に舞い戻り
やり直そうと
君に言った
君の手が白くなるまえに
繋いだ手が雪にふれて
離れてしまう前に
君をぎゅっと
掴んでいたかった
なぜ 笑ってるの
無言の君の写 ....
生まれた季節は冬の冬
年の最後のどん詰まり
暮れ行く年の落し胤
雪もはらはら降るような
生まれた街は底の街
上の街のとなり街
違っているのは人の色
違っているのは家の ....
各村の長が
たいまつを掲げ
占い婆の元に
かけつけた
ときがきたのだが
口を開いたのは
一刻たってからだった
これから起こることを
聞いてくれるね
みんなも
....
君にとって光るものが僕には光らない
難解な言葉は冬の窓ガラスに消え
奥歯の奥に冷気が浸み渡っていく
アイ・ワズ・サッド
アイ・ワズ・サッド
唇
くるしい
口づけ
悔い
苦しみ
食い合う唇
エッシャーのように
連続し接続し食い合う
食いちぎる
唇を吸う
吸い合う
吸い寄せあい
吸われ
ここに座れ
そして耳を
耳 ....
ここに今
セミのヌケガラがあるからといって
私だと思わないでください
私はそれがないところにいます
陽ざしの中で
水の粉しぶきをあびた
綿毛の舞う先に
私はいます
私は
いま死ん ....
僕の
君の中の誰か
誰かについて
誰かしら
思い返している誰
誰
誰かしら
思い返しては
維持することの出来ない
記憶を記録して
記録を
記憶する
冷たい水銀灯の光
冷た ....
かつて少女であったものの断片
ある切れ端
突端から眺める切れ端
破片
かつて少女であったそれ
その部分
少女の一部分
白い影を波間に
少女らしいたおやかな
少女らしい生臭い
少女ら ....
+
花が散るころにわたしは女でした。女になってしまい、
鉄鉢の中の百枚の花びらが
蝶のように羽ばたき、遠ざかるのを眺めた
+
花びらのひとひらを虫ピンで留め ....
眩暈がする
粒のそろった
音の洪水
言葉の洪水
音像/位相/破綻/逸脱
シームレスで繋がる
流れ/溢れつづけるメロディ
美しい旋律
降りしきるノイズ
全てを呑み込もうとするコーラス
....
睫に触れるしずくにまで嫉妬していた
外は雨が降っているらしい
冷たい手のひら
コートから湯気がたつ
ベッドから身動きもせずにそっと盗み見る
ソファーに腰掛けて
上着や靴下は ....
あたしな ずっと言いたいことがあったんよ
だけどな おかあちゃんは背中やった
顔を見つけるまでに 後ろむいてたから
声 かけれんかった
あたしな ずっと先に言いたかったんよ
だけどな お ....
大きな夕日の線状に放射される
赤い光線の先に
黒いシルエットに変わるまばらな家並みが
山並みにより既に陰っている
表面のうねっている畑の中にあった。
その中を疾走する人影一つ
帰るので ....
R.S.V.P.
それは、きっと
一つの世界の終焉
幕がおりてしまえば
手の温もりをさぐりながら、
かわらぬ笑顔が
かえってくるのに
人のさわがしい声ばかりが
するのです
重 ....
エシャレットを植えたのだが
ワケギと見分けがつかなくなった
どうでも
日本の食卓にあがるエシャレットは
ラッキョウに土寄せをして
軟白栽培し若採りしたものらしい
タマネギもペコロス ....
サッカーボールを持って広場に行くと
いつの間にか
盆踊り用のステージが組まれていて
そこから提灯がぶら下がっている
大平の空をジェット機が横切って
もうすぐ祭が始まるよ
って
知らせるみたいだ
....
壁の土がぼろぼろとくずれてきた
かつて誰かもこの壁をにらみ
抜け出そうと足掻いていたはずだ
僕は透明なチューブの中に住んでいる新種だ
外の世界は吹雪 街路には名前の失われた
作家の墓碑銘 ....
なめらかで でこぼこした白いチョコレート
クリスマスの朝に
君のために歌おう
何千キロ先のどんな場所
数百のことばがある国よりも
君と過ごした空間の方がインスピレーションに良いねと
分かっ ....
聖なる夜の歌が聴こえる。
星々が「おかえり」と囁いている。
舞い降りた彼の元へ清廉なる粉雪が降りそそぎ、
母なる大地の息吹きが彼の頬を撫でる。
此の日の ....
私の内側には、聞いて貰いたいことばかりある
私の頭には、聞いて貰いたいことしかない
やっと年に一回の
大江戸花火大会が
はじまった
花が咲き乱れきった後
最後の一発があがった
花火職人の与作は
世間から
つまはじきにされていた
よく肩をふるわせながら
顔を洗って ....
始めは静々と歩み始めた恥掻きっ子は、
獣道を中腰で歩き続けて、
水のある川岸まで
キョロキョロしながらたどり着いた。
川岸の潅木は少し腐りかけていたが、
得意の木登りで川岸に張り ....
映画館の観客席で
私はサイレント映画の最終上映を観ている
スクリーンの中では
どこか大きな河の岸辺に
冬の渡り鳥が集まり
その鳥を1羽
少女が肩に乗せている
枯草と砂 ....
ちょっと 運転手さん
運転手さんって
あのね
なに? この どこまでも変わらない景色は、なに?
どこの国なの?
どこを走ってるの?
たしかにね サンタさんに ....
おひさまは
毎日うまれて
毎日しんでしまう
しんでしまったおひさまは
地球の裏側を
じつは照らしていることを
わたしたちは
ちゃんと知っている
しんでしまったひとさまも ....
人知れず錆びていく駅の鉄の柱達
開線当初の嬉々とした輝きは
今や夕暮れに溶け込んであまりにも静か
僕らを囲むすべてが知られることのない歴史を持ち寄って
今日を構築してる
遡ればほとんどの ....
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