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知らない季節に
知らない人とすれ違う
のっぺらぼうの街を
毎日、行ったり来たり
そのうちに
私には顔が無くなって
泣くこともできない
ぽつぽつと
仕事に行ったり来たり
そのうちに
 ....
私はトイレ掃除に熱中していた
ありとあらゆる隙間を見つけ
そこから茶色の
時には黒の汚れをかき出す
何かわからない汚れたちは
かき出してもかき出しても
無くならない
私が泣いていると
 ....
子どもが風船を膨らませている
まん丸くした目を黄色の風船に
動き回る手足を赤の風船に吹きいれ
白の風船に子どもの自分を
水色の風船にきゅっとなる心を入れている

どれも軽くて
どこかに飛 ....
「ぐーぐー」

ぐーぐーを聞いてから眠るのが習慣になって
ぐーぐーを聞かないと眠れなくなった


ぼんやりと豆電球を見てたら
玄関を開ける音が聞こえる


「先に寝てて良いよ」と言 ....
田植えが終わって
福島の祖母の家に行って
山菜を食べて
車の中でうたた寝をして
帰ってきて
隣の家から頂いた筍を灰汁抜きして
なんだか冷たいものが食べたくなって
サイダーを飲んだら
し ....
はい、と返事をせず
あい、と返事をする
言葉に力を入れない
あなたに呼ばれるときは
もたれかかるように
あい、と返事をする
拾った缶詰に
「宇宙」とラベルが貼られてて
持って帰って
缶切りでキコキコ開けた

空っぽだった

別にがっかりはしなかった
きっと誰かが
いつかの宇宙を
閉じ込めておきたかっただ ....
わたしがスイカを食べる
それが血液となり
まだ小さい
息子のご飯となる


不思議だ


息子は確かに
わたしのお腹の中にいて
わたしの作った卵から
生物の進化を経て
生まれ ....
わたしが死んだら
なるべく生き物がたくさんいるところへ
なるべくそのままの状態で
置いておいてください
土にかえったり
誰かの一部になったりして
わたしはわたしの
いのちを分解したい ....
今年初めての茄子が採れたので
お義父さんが好きだった
茄子味噌炒めを作ってみました

だけど、いつまでも残っています
冷蔵庫には
茄子一本分の茄子味噌炒めが
ぽつん、と

美味しくな ....
こころの場所を探してみましたが
結局、わかりませんでした

たましいも
いのちも
しも

どこにあるのか
いまだにわからないでいます

さっき電線にとまっていた
たくさんの鳥 ....
眠るとき
いつも思う

地球は誰のことも
抱き締めてくれる

さみしい人も
犯罪者も

億万長者も
名優も

美人も
ふとっちょも

凡人も
偽善者も

それは人だ ....
蟻さん
お仕事の途中で
そら見上げてる



いつまでたっても
そら見上げてる



日が暮れても
そら見上げてる



お腹すくのも忘れて
そら見上げてる


 ....



春を見て
鳥はなんて思うだろう

月を見て
蛙はなんて思うだろう

虹を見て
花はなんて思うだろう

雪を見て
雲はなんて思うだろう

空を見て
木はなんて思う ....
おひさまは
毎日うまれて
毎日しんでしまう


しんでしまったおひさまは
地球の裏側を
じつは照らしていることを
わたしたちは
ちゃんと知っている


しんでしまったひとさまも ....
玄関は春です
別れと出会いが
毎日
飽きることなく
繰り返されるから
わたしは
いつでも花を飾ります
薄紅色の花が
一番似合うと思います



浴室は梅雨です
温かい雨が降る ....
花のように
命の終わりごろ
涙の代わりに
種を流すことができれば


ヒトにもそれが
できるのならば


こんなに悲しむことは
ないのでしょうか


いっそ子の顔を知らなけ ....
この不景気で
「ありがとう」は
あまり回ってこないから
大事に大事に抱え込んでいた


街中の
誰もがそうやっていたら
いつしか
「ありがとう」は
街から消えてしまった


 ....
「あんなもんなのか」
と舅は言った


夫の祖母が亡くなって
納骨も終わって
夏が始まろうとしていた


できたばかりのわたしたちの庭には
ちょこちょこと
なんやかやが芽生えだし ....
鳥だって
ああやって生きている

人だって
そうやって生きたって良いだろ?


わたしたちは確かに孤独だけど

孤独に生きなきゃならない
わけじゃないだろ?
朝露が
草花に抱かれて


喜びの
ため息を吐く


だから、
わたしは
はっとして


朝の忙しさを
暫し忘れてしまう








{引用= 即興 ....
夫がいる週末は楽しいから
なんにもない平日を
早送りする

だけど、今夜は
夫が
携帯電話と間違えて
リモコンを持って行ってしまった



夕飯を食べる時間に
夫がいないので
 ....
涙はしょっぱい
だけど、海のしょっぱさと
同じだったか
ここ最近
ずっと
海に行っていないから
海の味を忘れてしまっていて
確かめようがない



海はしょっぱい
だけど、涙の ....
ある時は
雲が山の真似をしたり

ある時は
風が鳥の真似をしたり

ある時は
犬が人の真似をしたり

ある時は
虫が木の真似をしたり

ある時は
夢が現実の真似をしたり

ある時は
子が親の真似をした ....
書き留めていたはずの詩が
一晩のうちに
家出をしてしまったらしい


枕元にあるのは
真っ白な紙の切れ端で
紙を失くして
彼らは
ばらばらになってしまわないだろうか


雨が降 ....
今夜の献立

・夕焼けと向日葵の背中の煮物

・虹のフライ

・蝉と夏休みの子供の声の和え物

・打水のおつゆ




ごちそうさまでした、と
流しに綺麗な皿が
水に浸さ ....
ふくろうを売りに来た人は
中年の腹が出た女だった
彼女のお腹の中には
不満や悲しみや欲望が
脂肪の姿をして蓄まっているに違いない

ふくろうなんて飼えません
と断ると
玄関に置いておく ....
ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
街なかで白い小鳥を配っていた
籠に入ったたくさんの小鳥を
小鳥配りの人が要領良く配っていく
受け取らないつもりでいたのに
いざ目の前に出されると受け取ってしまう
わたしが手に取ると
それは ....
チューリップが咲いている
この間の春の嵐には
少し苦しそうに
揺さぶられても
泣かずに咲いていた

チューリップが咲いている
何もかもを飛ばして
破り取っていった
この間の春の嵐に
 ....
吉岡ペペロさんの小原あきさんおすすめリスト(68)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
のっぺらぼうの街- 小原あき自由詩10*17-10-11
トイレ掃除- 小原あき自由詩3*17-10-9
風船- 小原あき自由詩2*17-10-8
ぐーぐーといっぴきのともだち- 小原あき自由詩3*17-5-13
デジャヴ- 小原あき自由詩3*17-5-12
あい- 小原あき自由詩4*17-5-9
宇宙の缶詰- 小原あき自由詩6*16-1-26
スイカ- 小原あき自由詩13*12-7-10
わたしのいのちは天(そら)へはいかない- 小原あき自由詩16+*11-8-19
茄子味噌炒め- 小原あき自由詩12*11-6-24
目の前のすべてが不確かに見える日- 小原あき自由詩5*11-4-16
大きな揺りかご- 小原あき自由詩6*10-11-27
蟻の夢- 小原あき自由詩5*10-11-26
love_songs- 小原あき自由詩19+*10-7-9
おひさまひとさま- 小原あき自由詩9*09-12-24
家と季節- 小原あき自由詩12*09-10-8
涙と種- 小原あき自由詩4*09-10-3
雨なんて降らないから- 小原あき自由詩7*09-7-1
お祖母ちゃんの最期- 小原あき自由詩7*09-6-25
電線に寄り添って- 小原あき携帯写真+ ...10*09-6-24
眩しいため息- 小原あき自由詩5*09-4-27
リモコン- 小原あき自由詩33+*09-3-2
涙と海- 小原あき自由詩6*09-2-4
真似- 小原あき携帯写真+ ...5*09-1-12
かあさん- 小原あき自由詩15*09-1-10
夏のゆうげ- 小原あき自由詩30*08-8-1
ふくろうと胡蝶蘭- 小原あき自由詩10*08-6-16
ゴミ箱- 小原あき自由詩32*08-5-23
できごと- 小原あき自由詩34*08-5-17
チューリップ- 小原あき自由詩10*08-4-25

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