オリエンタレ・ベイスンから
いくつかの高地(テラ)と海(マーレ)を越え
ようやくこの海にたどり着く
小さな銀色の船を岸に寄せるけど
この岩だらけの灰色の海には水が一滴もない
すぐそばにアルタ ....
アミダクジ
選ばれちゃった貴方にね
地球バクハのスイッチを
無期限・無利息
見返りいらずで貸してあげよう
即座にスイッチ入れるも良
完全保存するのも良
売り払ってしまうも良
貴 ....
蒼々とした、その
果てしない眺めを
首を長くして
首を痛めても
濁りの混ざった瞳には
どれだけ経っても
待ち焦がれたものだろう
息詰まる部屋では
窓硝子は思ったより透明 ....
辿り着かなければならないところがある
険しい道だけど
辿り着かなければならないところがある
人を待たせている
幾つもの岩山を登り
幾つもの深い谷を渡って
....
ひかりとかげ
ひかりとか げ
ひかりと かげ
ひかれ 私は蜥蜴
ひかれ げげげ
ひかれ かげで
銀色の緑が 芽吹く
しろい陶器のような世界
真綿にくるまれて ....
ニコライ堂の鐘楼に
大きな黒い月が重なって見える夜
空気は鋭角の厳しさをもって
僕を立ち位置から取り除こうと
鈍くて黒い月光りが刺す。
ニコライ堂の裏を降りて行く坂の途中で
首の長 ....
レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき
私のなかで…落ちていきました
小さな音がかえってきては、
だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
のどの奥でわ ....
我らは数珠を繋ぐように
今日まで生き存えた
なぜならば我らはヤンバルに抱かれていた
ヤンバルクイナの啼く夜
我らの未来は
明るくはないが消えはしない
なぜならば我らはヤンバルに抱かれて ....
書き溜めた言葉の中に
幾つかの嘘が入り組めば
新しい事実だって生まれてしまう
世の中の営みから外れた
秘密基地は居心地が良すぎて
明日は今日の事
明日も今日の、と
それは私だ ....
本で窒息しそうな部屋に埋もれた
ハーレーダヴィッドソンなのね
あなたを深く抱きしめていると
吸収しやすいゼリーに溶かして
わたしの中に納めたくなる
それは所謂グレートマザーの ....
冬のあたたかな陽射しに気づいて
ふと顔をあげたとき
たまたま貴方と眼が合った
その時、貴方は何も言わなかったけれど
私にはすぐ貴方が言いたいことが分かった
私たちはひと言も言葉を ....
ちぇっ!
右肩に強い衝撃を感じたと思ったら
見知らぬ男のひとの舌打ちが耳奥にまで突き刺さる
ちぇって言われてもね
いつもと変わらぬおっちょこちょいだから
うっかり階段踏み外して捻 ....
心臓の音がすき。
けれど
心臓の音を聴くのはきらい。
脈を打つ音を聴くのもきらい。
ふとした瞬間に
その音が聴こえてきて
とても不安にある。
だって、止まってしまったのがわかって ....
どこにいる
なにしてる
知る由もなく
知る術もなく
でもいつか出会って恋をする
花も嵐も味方につけて
私はきっと
恋をする
夜明けのサンマルコに風が吹く
恋人達の残り香を拾い
集めながら朝を、呼び込んで
頬を掠める
微かな潮の交響
幾つか期待を散りばめて
ときめく、
アドリアの海
....
{引用=
海の
低く濡れた海の
あなたの声より低く濡れた海の
さよならなんて言い出したあなたの声より低く濡れた海の
掠れた海の波の
途方もないたくさんの囁きたちが
あした、砂浜に降っ ....
きみのひらがなにぼくの声を重ねて
地層みたいなしま模様になって
それはありふれたメロディーで
すき間にもぐりこむ小さな虫ですら
小気味良いアクセントにしかならなくて
さっき港を出発し ....
まるで何事もなかったように
日常の分だけとおり過ぎていく
愛情は誰も手にすることができない
静かな凪の海
私をおきざりにしたまま
潮も今は遠く引いている
深海の青のような音楽
三日月が ....
自由な世界を泳ぐ君 鋼の心を持っている
君はいつでも籠の外
自由な世界を妬む僕 鋼の鎧を持っている
僕は未だに籠の中
かごめかごめ 籠の外の君は
僕の瞳にどう映る?
かごめかごめ 籠の ....
わかるよ、大丈夫だよ と
君は微笑んでくれる
俺がわかってるから と
けれどもわたしは悲しい
悲しくなったから、君がそう言ってくれたはずなのに
君の言葉がさらにわたしを ....
ウチ、ほんまは知ってんねん
アナタを好きなる呪文
でも、まだ、唱えたれへんねん
ごめんね かぁさん
僕はあなたが生きている間に
謝れなかった
あのときのことを
謝らなかった
物心ついた時
母さんは家にいたはずだったが、
母さんの記憶は
千葉のサナトリウムから。 ....
13歳の彼女は頬杖をついてぼんやりと窓の外を見ている。
空を見ているようにみえて、彼女は空を見ていない。瞳に空が映っているだけ。
彼女は世界一の夢想家である。
彼女は彼女であると同時に、赤毛のア ....
うたっている 腫
れは四つあって 猿
には片目がない あ
の草はらはぼくの腕
の内側にはぜている
今も 白い土と赤い
石が落ちている 腫
れているので穴は塞
いでしまった 探し
....
小さな毛糸の手袋が片一方、
橋の袂に落ちていた
どんな子が落としていったのか
いやそれとも
こんなに小さな手を守ろうと
優しさが形を成して包み込んだのは
私の手ではなかった ....
水栽培のヒヤシンス
薄緑の蕾をたわわに付けた
水栽培のヒヤシンス
このままでは綺麗に咲いてしまう
そこで僕は
ちょっと意地悪になって
花瓶の中に
水銀を入れて ....
私を隠し歩いた
色目紛しく映る
人目を掻い潜る様に
喧騒が傘を打つ
時雨程に心は濡れ
滴る音は誰にも届かない
擦れ違う息を感じながら
家路を惑う
触れ合える事も忘れ ....
回路は無情に
残り滓の貴方を映す
繋がれてたのは私の方
「何時も」を何時も通り
回路は無情に
残り滓の貴方を映す
ライトなんか吹き消して
隣に私を乗せたまま
蠍に向かってアクセル吹かせ
燃える欄干突き破ってよ
私をからかわなくなった貴方と
同じ夜空を突っ飛びたいわ
私の眼の奥を見なくなった ....
夜を走る電車
十五両編成の最後尾
ゆっくり居眠りしようと
乗り込んで席を確保した
はずだったのに
次の駅から
スノーボードと思しき
荷物を抱えて乗り込んできた
二十代前半の女性が
暫 ....
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