{引用=
ハナアブのはねを千切って
裏返すと コメツキ虫のように跳ねた
しばらくすると独楽(こま)のようにその場所を回転していたが
捨てた記憶もないのに 朝になると消えた
僕らは身体を突き合 ....
柳の木の下で
若い女が泣いていた
亡くした夫の遺影を抱いて
帰ってきてよと泣いていた
しょんぼりとした後ろ姿は
しだれた柳の枝のよう
風だけがそよそよと
後ろめたそうに吹いていた
....
存在するならば
奇跡さえ信じられよう
降下した米兵を殺してロープに繋ぎ
歌いながら曳き回すモガディシュの人々
襤褸さながら転々する、頭のもげた死体
Mercy
蹴倒され髪を掴まれ哀号と泣き叫び
腑抜けのように脚を開いて
日 ....
娘のプログの監視をしてくれないか
と弟が言う
プログをやりたいと言われて
無料なら んまあいいか みたいな話しで
姉ちゃん こっそり見守ってくれよ みたいな
いいけど なんて所なの
知 ....
やっぱ秋だものね
いつのまにか下腹のあたりに不吉な弛み
食べ過ぎた覚えないんだけど
運動不足ってこともありそうだし
いつのまにか
そう、いつのまにかなんだよね
いつのまにか ....
辞職願には「一身上の都合」とだけつつがなく書いたものの、本当の理由は「生きることによる倦怠感」であった。生きる、という本質的な目的がわたしの中で、ピントの合わない眼鏡をかけているように、急にぼやけて ....
大きな夕陽の中に
君の背中が逆光に
振り向かない君に
僕は問いかける
人生はこんなものなのか
CTでスキャンすれば
楽しい時もあった
輝かしい時もあった
苦しい時もあった
惨めな ....
夜明けまえ 午前五時の街の空は 僕を女にさせる
精液を吸いつくすのだ
その滑らかな静けさに
まるで 見たこともない両性具を着けた生き物として
この世には自分一人しか生きる権利は ....
茜の空
僕も染めて
白に 埋もれる前に
愛しい人の
前にいると
鼓動がトトトト、ト と
ミシンのように
動き出す
愛しさへ向かう
なかに
なにかを
縫い合わせていくのね
スカートが
できるなら ぐるりと
花を
....
片道30分10kmのチャリ通勤を毎日
いつの間にかスリムボディに戻った
そうだ、あこがれのスキニーに挑戦しよう
お店のオススメ商品はどれ?
研究会や協議会の日は皆スーツだけど
地味なのは嫌だ ....
3寸のおおきさで
生まれたわたし
お嫁にいきたく
ないです
と、
もういちど
竹の中にもどれれば
いいけれど
それはどうにも
無理だから、
月を見ながら
涙します
ここにいたいと
涙します
猫になったらあいつんとこへいくんだ
快晴とは程遠い 灰色の空
本日 あなたはついに最愛の人の隣で永遠の眠りにつく
見守りにいけなくてごめんなさい
あなたの娘とその夫が
私の分も あなたが永遠に眠りにつく姿を見ています
....
未明からカラス達が鳴き騒ぐ
燃えるごみの日
電力を享楽する都会 まして貪欲な鳥達に
夜盲は無縁なのだろう
ゥアー ゥアー
アー アー
グオッグオッ オッオッ
アガ アガ グァー
多彩な ....
峡谷を越えると
静かな瓦屋根の風景だった
懐かしい味噌汁の匂いがした
ああ、そうか
もう冬になるんだ
木が無口だ
迷路のような路地裏を抜けると
君の家がある
赤い屋根の洋館で
君はピ ....
清水昶氏の、デリカシーのない発言を禁止している掲示板「新俳句航海日誌」で、2000.10の頭に、お父上の清水武夫氏の詩集「火の学会の着席順(1974.3.30発行)」に残部があるので欲しい人は連絡く ....
わたしを形成するもの
いつか土にかえるまで
静かなあなたの傍らに
言葉はなくても
生きていなくとも
あの日に戻れないから
わたしが朽ちるとき
あなたを思い出したい
ひとり酒は 心をさます
今宵だけ つきあってあげる
あたいの温もり すこしあげる
みんな
みんな帰ってゆくよ
いいかい
覚えておくんだよ
目を閉じたら
こんな景色
もう見えないんだよ
※
「あの‥突然ですが、ボロクソな恋を綴るこの惨めな男の詩は 改訂を繰り返し ながら継ぎ足されてゆく気配です
予め お断りしておきます 。」
俺がリリーに夢中になったのはもうか ....
伯父は
酒に酔うといつも僕を責めたて
僕も内心で怒りながらそれらを無視し続けた
伯父は僕の生き方が気に食わなかったし
僕が内気で口数の少ないことが更に腹を立てた
あるとき伯父は
....
水は重く、水は重く
地に深く沈みこんでいる
岩陰に臍のように窪んだ一角
降り井戸の底の暗がりに残された一匹の
赤い鎧を着た魚
地の底よりふたたび湧き出してくるものを
みつめる黒 ....
埃っぽいよね
埃っぽいよね
埃っぽいよね 埃っぽいよね
埃っぽいよね
....
星もなく
ふあんに耐えかね
肩にくいこむ夜をおろすと
知らない山のほうから遠吠えがきこえる
呼んでいる
/存在(たいしょう)ではない たしかに
よばれている
脳天から電光石火よびさまされ ....
「ここではないどこか」って場所 この世には沢山あるけど私にはない
唯一の救いのようにさよならをいう文のなかに誤字をさがす日
うそつきは大嫌いだっていううそを ....
あんた誰
わたしは小山
隣で寝てるあんた誰
腕の傷はなに
指で歯磨きしてるわたしは小山
床にハーモニカ落ちてる
ゴミ箱にティッシュの山
レンジの上に太陽の塔
本棚はわたしの好き ....
ひと休みするって言ったのは
底のない沼地だから
曇り空なら
気圧の変化じゃないよ
では
裏切られた証を見せてやろうか
そこにあるリンゴを
バリケードの上に向かって投げつけ ....
掲げた手首に引かれた風コンパスと炎の赤道は喉を掻き切り流れ出す椰子の黄色い核が浮き沈みする痕では半人半霊の拝む太陽の焦点も焦げている瞳孔と溶けるチョコレートの肌に押し寄せる波濤そして火傷するほど疾 ....
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