あの星、
大西 チハル



酔っ払うといつも

私をベランダに連れ出し
あの星を見ろ
と言う

あの星たちを見ろ
冬の方が空気がすんでいるから
星が大きくキレイに見えるんだ

そんなこと
今の私(ベランダに連れ出された)でなければ
本当はどうでもいいことで

酔っ払った君でなければ
聞くことのない言葉

では
あの星を下さい
あの星を

あたしにひとつ

忘れられないことを
いつもでも胸に引きずって
泣いてばかり

あたし
泣いてばかり

かじかんだつま先を
暖めてくれるものはなんですか
君ですか
あの星ですか


あの星を下さい
あたしにひとつ

あたしにひとつ







自由詩 あの星、 Copyright 大西 チハル 2005-04-12 13:15:45
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