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ほとぼりがさめるころ 妻子の留守を
みはからって 鬼がかえってくる
おまえもおれの だいじな友だち
からだにめりこんだ 豆をほじくりだし
つまみにして 酒をのみかわす
きよらかな ふゆの
卵を ひとつだけ 
孵らせる ために
些細な じぶんを
しきりに ふりおとす 
ここに 在ることの不思議
みんな 誰ともちがう
経路をたどって いまを
生きている のだから
しあわせを ひきくらべるな  
うつくしい日和に うたを
うたいながら 少女は去った
封印に 桃のくちびるを
少年の おでこに
ぺったり 貼って 
ベンチで たばこを喫いながら
並木が風をうけて 帆のように
喜ぶさまを見ていた いまならば
わたしも けむりになって
消えてしまってもいいと 感じていた
近づけば 遠のく
宇宙の影を ゆめに
おいかけて かえりつつ
あるのか はじめの
ことばの 断崖へ  
ぬれると しなだれて
くずれおちる 砂の花
わたしらも ひとしく
装飾の房を ほぐして
うけいれる 水の戒告
語りおえたら
息たえる そんなふうに
純一の機能を
持たなかったから
よかった とも言える
鏡のなかの じぶんを
こわすこと ぼくにも
儀礼の ときがあって
いまでも その破片が
胸郭に ささっている
たったひとりの あなたへ
とどく かもしれない
ことばの しんじつを
かんがえて こどくを
えらんだ のです
あなたと その周辺を分解し
組み立てなおし 恒星のことばで
したためて 郵便受けに
ほうりこんだが 返事がない
いや たぶん絶対に こない
はばたきが きこえる
とおい 風の血統に
呼びかけてくる
ひろった羽根で
こころみに とんでみる
かみさまが 足あとを
のこすのは きまって
救いへの 導きだから 
すいません その道は
しばらく 使いません
どんなに 踏みかためても
道は じぶんのものに
ならない どれだけ
あるいても あなたの
背中に たどりつけない
ぼこぼこに 叩かれて
昏倒している 勇敢な
男の子たちの ロードを
でこでこに 髪をかざった
女の子たちが 行進してくる
階段を さかのぼって
その当時に もどると
親友を 裏切った直後の
わたしが あめかぜに
漂白されて 立っていた
あかりを 消して
ひらいたら きずあとを
指で なぞって
たがいの からだを
すみずみまで 読む
もう 花のかんむりを
おろしたまえ けんめいに
あらがった あかしに
きみたちの果実には きまって
ほこらかな きずがあるだろう
たくさんの 約束をしたけど
どうやら この生涯では
ぜんぶ 果たせそうにないから
生まれかわっても また邂逅する
約束を つけくわえておく
幕をおろして 劇をはじめる
中枢神経に 花がさくとき
ほんのわずか きみの頬をそめる
熱量が欲しくて まいばん
星の軌道を めぐってくる
きのうの じぶんを
コピーする だけですから
いくらでも すぐできます
じまんするようで てれますが
なかみは なんにもありません
たまには こちらから
さかびん かついで
向こうへわたる 死者たちと
のみあかすのだ そのまま
帰ってこなくても 気にするな
鏡面に 旗をたてる
ここから さきでは
ことばが 失効する 
わたしを きれいさっぱり
拭いとってから 前進する
いつかの風が 世界を
ひとめぐりして また 
吹きつける おもわず
手でかばって はからずも
傷のありかを おもいだす
ビルばかりの 街にいると
遠くへの まなざしを
忘れてしまう きみの
心ではなく 顔ばかり
みつめて ごめん 
夢のつづきは いつも
さむいものを 育てていた
ぼくらが たがいの
希望に なるのだと
むつびあった あの場所から
呪文を となえれば
砂の虹が くずれる
言葉の なきがらを
なきながら ふんで
風の道に とどまる
うしみつどき
中途覚醒して はなびらふる
回廊を あるく
すれちがう 影たちのなかに
わが血族を 見いだすまで
そらの ところどころに
きずをいやした あとがみえる
ひとは ほんとうは
ずっとむかしに みちを
おえているのかも しれないな 
うじゃうじゃ うまれてくるので
ネズミさんは ふあんになる
いったい じぶんとは なんなのかと
たびにでた やつは ネコにやられたのか
それっきり かえってこない
千波 一也さんのみつべえさんおすすめリスト(88)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
そろもん(旬の歌)- みつべえ自由詩608-2-11
そろもん(木の歌)- みつべえ自由詩507-12-13
そろもん(点の歌)- みつべえ自由詩507-12-9
そろもん(扉の歌)- みつべえ自由詩407-12-6
そろもん(昼の歌)- みつべえ自由詩607-11-1
そろもん(翼の歌)- みつべえ自由詩407-10-29
そろもん(雨の歌)- みつべえ自由詩507-10-28
そろもん(終の歌)- みつべえ自由詩107-10-24
そろもん(残の歌)- みつべえ自由詩407-10-23
そろもん(石の歌)- みつべえ自由詩807-10-22
そろもん(恋の歌)- みつべえ自由詩1007-10-9
そろもん(鳥の歌)- みつべえ自由詩307-10-7
そろもん(罠の歌)- みつべえ自由詩307-10-5
そろもん(星の歌)- みつべえ自由詩407-9-22
そろもん(砦の歌)- みつべえ自由詩107-9-21
そろもん(旧校舎の話)- みつべえ自由詩807-9-7
そろもん(寝室の話)- みつべえ自由詩1007-9-6
そろもん(草木の話)- みつべえ自由詩407-9-4
そろもん(金婚式の話)- みつべえ自由詩307-8-25
そろもん(恋煩いの話)- みつべえ自由詩707-8-13
そろもん(私詩の話)- みつべえ自由詩507-8-6
そろもん(盂蘭盆会の話)- みつべえ自由詩807-8-3
そろもん(境界の話)- みつべえ自由詩507-7-21
そろもん(悔恨の話)- みつべえ自由詩607-7-20
そろもん(非礼の話)- みつべえ自由詩907-7-8
そろもん(原点の話)_- みつべえ自由詩607-7-3
そろもん(幻像の話)- みつべえ自由詩507-6-30
そろもん(徘徊の話)- みつべえ自由詩207-6-21
そろもん(夕空の話)- みつべえ自由詩307-6-16
そろもん(哲学の話)- みつべえ自由詩407-6-15

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