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山の水があつまる
わんどの深みに
ザリガニのむき身を放りこむ
暗い川底が
ぐるるんと動いた夏

七輪でおばあさんが焼く
ナマズの蒲焼き
田んぼの畦を吹きわたって
麦わら帽子の
ひさ ....
父が商人になったきっかけは
一本のから芋の蔓だったのです
長男だった私は
そんなことを弔辞で述べた
そばで母や妹たちのすすり泣きが聞こえた

その前夜
父はきれいに髭を剃ってねた
どこ ....
きょう
夕焼けをみていたら
いきなり空が
あかい舌をだした


空よりもずっと
遠いところ
飛行機にのって
バスにのって
橋も渡ったのに
ここは山ばかりなのね
と少女はいった
 ....
古い家の梁に
ロープを掛けただけの
私の特製ぶらんこ
ゆらゆら揺れているのが好きだった


目をつぶると
ぶらんこの旅がはじまる
家ごとゆらゆら揺れて
私は遠いところまで行ってしまう ....
逃げていくキラキラ
水際から雲の先っちょまで
白い捕虫網をもって追いかけた
ぼくの夏やすみ
めくるめく透きとおった羽から羽
声から声の甲高い呪文に
ぼくは敗けてばかり


シュクダイ ....
あまだれが落ちるのを
じっと見ていた
そんな日があった
そんな子どもだった


樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
ああ
あまだれが1ぴき死んだ
あまだれが2ひき死んだ
 ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった

わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
いつも見ている山が、きょうは近い。
そんな日は雨が降る、と祖父が天気を予報する。
大気中の、水蒸気がいっぱいになって、レンズみたいになる。と誰かに聞いた。
山の襞が、くっきりと見えたりする。
 ....
祈ってあげてください。
とつぜん、そんなメールをもらった。
かれが重篤だという。

かれは もう ひとりの みちを あるいている…

かれのことを、詩友といっていいかどうかわからない。
 ....
学生のころ帰省の旅費を稼ぐため、廃材の釘抜きのアルバイトをしたことがある。
真夏の炎天下で一日中、バールやペンチを使って材木の釘を抜く。ただそれだけの単調な作業だった。

毎日、早稲田から荒川行 ....
耳を立てて
虹の匂いを嗅いでいる
そのとき
雲を背負って
ぼくらの原始人が現われる


原始人はときどき血痰を吐く
ひそかに獣を食ったのかもしれない
あるいは体の中に獣がいるのかもし ....
魚になろうって
きみが言ったから
ふたりは裸になって
思いっきり水になって
魚になった

重たい水をおし開く
揺れているきみの顔が
泡つぶだらけで
ひげのある恐い魚にみえた

魚 ....
salcoさんのyo-yoさんおすすめリスト(12)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
山の水- yo-yo自由詩11*13-8-28
弔辞- yo-yo自由詩1513-4-30
やまぶどう- yo-yo自由詩1412-9-18
鞦韆(ぶらんこ)- yo-yo自由詩1412-9-3
つくつくぼうし- yo-yo自由詩512-8-25
あまだれ- yo-yo自由詩1112-7-12
紙の家- yo-yo自由詩2112-6-25
あしたの天気- yo-yo自由詩8*11-7-25
祈りの言葉- yo-yo自由詩10*11-7-21
釘を抜く- yo-yo自由詩17*11-7-4
ぼくらの原始人- yo-yo自由詩8*10-8-6
魚になる季節- yo-yo自由詩10*10-5-30

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