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僕の朝は米研ぎから始まる
米袋から米粒を五握り深鍋に
シャッ シャッ シャッと開けていく
冷蔵庫から前夜冷やしておいたペットボトルの冷水を取り出し
米粒で満たされた深鍋に注ぎ込む
手の平 ....
痛み 超え
恐怖 超え
快楽 超え
嫌悪 超え
絶望 超え
希望 超え
死を前にして、死を前にして
外界 銀に照り映え在る
純粋にオドロキ確認し
内界 漆黒の光点広がり在る
....
晴れ上がり寒風吹く久々に冬らしい冬の今日
一晩苦しめられた疼痛発作に生きる気力萎え街をさ迷う
この街のあちこちに家族との思い出の染み貼り付き残り
歩けば歩くほどいよいよ無人の荒野に一人放り出 ....
パチンパチンと音がする
シュンシュン シュンシュン、音 響く
半端な冬の夜半過ぎ
黒ずみ弾ける二股鞘と
剥き出される真っ赤な種子
街灯に照らされアトランダムに
蒼い地面に撒き散らされ
....
スタッ スタッ スタッ
大きな白いイキモノが用水路を移動して来る。
僕は思わず沿いの遊歩道に立ち止まる。
スタッ スタッ スタッ
水かさは30㎝程、幅約1mの用水路を、そのイキモノ ....
立ち上がれ 立ち上がれ
それぞれが重荷背負ったその肉身
骨格軋ませ筋肉収縮させ
この世で開放されんとする意志なければ
あの世でも人はただ眠り込むのみ
神の与え得る力すら余りに微弱
....
いつのまにか森は黄に染まり
陽射しに浸され黄金いろ
黄金に小刻みに揺れ輝く
空気が違う、匂いが違う
落ち葉と迫る冬のコンチェルト
秋と冬が衝突し合い絡み合い
発光しながら溶解する
静 ....
何処か遠く彼方から
子供たちの声響く琥珀色の夕暮れに
缶カラ からから転がっていく
風もない 人もいない のに
からからからから転がって
グシャリひしゃげる
銀の乱反射に
無数の記憶像 ....
沈潜
水流から飛び立つ鳥達
冷えて透明に波打つ大気に
勢いよく流れ込み同化して
鳴いては耳を澄まし
耳を澄ましては鳴く
大気のコトバ、律動しながら響き
鳥達は従う、向かうべき方角 ....
ヨラさんは小児麻痺だった
ヨラさんはよく笑った
ヨラさんはそのたび涎を机に垂らした
ヨラさんは頭が良くてクラスでいつも1番だった
僕はヨラさんを笑わせるのが好きだった
僕はヨラさんの涎を ....
この夜、キオク
ヒビキの層成す
一斉に立ち上がり
遠く近く壁を造り
痕跡だけ残しては
逃れ消えていく
次から次へと
荒れ狂う情動の海の底
星々の明滅
溢れ流れる愛憎
鳴り止 ....
太陽
姿消し
夜闇訪れ
遠さの感覚
深海の底穴へ
傷みを哀しみを
沈めて鎮めて静か
意識無限広がり始め
己失うことなく明晰に
何かに半ば浸透され
中で思考スル何か
交錯響き合う音 ....
耐える
この二日続く激痛
脳髄抉られ掻き回され
それでも耐える
独り放逐され
孤立無援で
私というこの存在現実
与えた宇宙の神性
その未知の真意
知らずにして
死ねるものか
....
高くなる高くなる
青の天空 が
枯れようとしていた
魂の井戸底から
泉水を湧き上がらせる
己の内なる霊性
純粋な冷水に浸し
定められたその日まで
意志と、忍耐と、無私の認識で、
....
澄み渡る青空に
赤々と色彩滴らせ
紐状花弁幾重にも湾曲結ばれ
彼岸花、輪を成し髭を反らし無言開く
と
いよいよ高まる青空に
透明に重なりいく女の声は 彼方も此方も自由に往き来する
彼岸を ....
一人のタマシイ
踊り廻る幻覚のなか
独り在ること 瞑目し
漂う秋の甘やかな香に
愛の繋がり失いながら
一年の時が過ぎたこと
両手のひら打ち合わせ
澄んだ響きの木霊
耳傾け区切り ....
葉脈一筋一筋の呼吸
陽光照らし
くっきり浮き出す緑に
生動スル循環は止まず
改めて懐かしく
見慣れた細部に
生きる力を貰う
傷みを耐え凝視集中
彷徨う森の静謐な午後
諦めては ....
透明に輝く街並み
降りしきる雨空の許
嘘のように広がります
街路樹の緑艶やかに
用水路の水の流れは銀の透明
街道を走る車音すら響き澄む
私の右目はとっくに塞がり
捕捉可能な視野が ....
雨は降り続け雨は降り
雨雨雨雨 降り続ける
雨が降り続き雨が降り
雨降り続けて秋深まる
雨雨雨雨 降り続けて
蝉の死骸は濡れ溶けて
濡れ腐る蝉の死骸は空
雨雨雨 只降り続ける ....
秋雨、降り続く夜
傘もささず
両手広げて
瞑目し歩いていたら
「君は独りで何をやっているんだ?」
巡廻中のおまわりさんに呼び止められ
「や、なんか情欲が芯部から噴き上げて身体が ....
二十代後半、夏の三千メートルの岩陵から墜ちた時のこと−
次から次に
岩にぶつかりながら
肉体の感覚は麻痺していく一方、
意識はより鮮明となっていく
宙を舞い墜ちながら次第、
次はあ ....
銅線で
脳神経を
キリキリと
縛り上げていく
のは快感だろうから
この夏の夜に画策する
までもなく
渦巻くハンマー音の波
ラバー壁に弾き返され
夜半過ぎに獰猛な咆哮
で復讐を開 ....
肉にめり込み
脳髄に沈み刻まれる
鋼のビート
反復も新たに
冬の鳥は踊り出す
声無き音響の時空を
可憐に哀しく我を忘れ
冷酷に愛しく飛び跳ね
自然に苦しく姿を消し
肉 ....
蝉がひっくり返り動かなくなっていた
マンションエレベータ前のコンクリート床の上で
僕は危うく踏みつけるところだった
何もこんな殺風景な所で死ななくても
僕はそう思いながら摘まみ上げようとした
....
眼下の川では子供たちが裸ではしゃぎ
遠く茶褐色の岩峰が冷たい灰色の空を背景に連なっている
僕はゆらゆら揺れる色褪せた肌色の廃棄バスの屋根の上
何とかバランスを取りながら何度も落ちかけ ....
真夏は
巨大な安穏スクリーン
透明な被膜の内側を
ふわふわ微睡む
人、森、猫
唐突
道路に
空いた穴
その深淵は
弾け飛んだ信頼の重み
傾く生を朦朧と
夏の熱気に曝け出し ....
今日は左肩がやけに痛む
から、
まず左肩から刃で抉ろう
それからいつもの眼底痛だ
右目の下縁から
眼球を抉り出し
左目も同じく
それでなお意識が保持されていれば、
疼く脳髄を
....
海だ
荒れ狂い、渦巻き、
静まり返って包み込む
青い蒼い碧い
無限の広がりだ
私を呑み込んでくれ
殺してくれ
生かしてくれ
その波打つ柔軟な腹に ....
何度飛び降りようとしただろう
日々続くこの原因不明の激痛に
その都度、何か引き戻す力が働き
こうして生きているこの己
一回目はただただ驚き
二回目は俄に怪しみ
三回目で了解した
....
夏の夜、
死者の眼は見開かれたまま
わたしを凝視し
私は、
その濡れた瞳を通して
異界の存在たちを
観ていた
内から内から
内から立ち現れる
それらの眼差し
はまた、
わ ....
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