春雨の涙
黒木アン

傘をひろげましたら
夕べの余韻が
小指におちる滴に
とうていました

親をなくす
という意味を

青いろの空は
オリーブの葉を揺らし
春の息吹を
祝福しているようで
交代のしらせを
つげるのです

誰にでもある
なくせない時
幼心のままで
やってくる
終日のわかれ

命は露のごとし
なれど

おさまるのは
石のしただけではなく
目も文も
貴女の懐かしき日々に
貴女の残された日々に

魂のいきさきが
どうぞ
花園でありますように

泣かない友よ
遠くから
小さな祈りを
私たちにもくる
その日まで




自由詩 春雨の涙 Copyright 黒木アン 2015-03-02 13:19:16
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