すべてのおすすめ
私の影がそろりと
地表から剥がれる時
私はやはり独りで
遠く空を見上げているのだろう

そして夜毎夢の中で
出逢う死者たちは
いつもと同じ柔らかな手を
差し伸べるだろう

けれど彼 ....
水の中に両手を
そっと差し入れ
泳ぐ魚の影を
そのくねりを
掬ってみたいと
思うのです

光と私はいつでも
とても遠い場所で
落ち合うけれど
必ずまた会えることを
知っています
 ....
ぼくがいなくなっても
さみしくないように

きみのまくらもとに
ちいさなかみさまを
おいておくよ

あるばんにだれにも
はなせないことがあったら

ちいさなこえで
ちいさなかみさ ....
在る様に見えた向かいのプラットホームに
止まる列車ばかりを待っていた

落ちかけた陽に照らされ
辺りの羽虫も塵も金色に飛び交う中
次第に此処へと近づく車輪の音を聴いていた

けれどそれは ....
線路を{ルビ跨=また}ぐ歩道橋を渡って
小さな小学校脇の道を歩く

冷たい風に{ルビ靡=なび}く木々の葉は
ほんの数日前とはまた更に
色も重さも変えたようだ

見上げれば焦げ茶色の葉の
 ....
まるでひとつの季節が終わるように
僕は死んだので
周りの誰もがそのことに
気がつかなかった

僕だって少し前から
予想はしていたものの
実際にははっきりと
自覚している訳ではなかった
 ....
指の形を覚えている
緩やかな節への流れと
その静かな温度を

ある日私の地平の向こうへと
吸い込まれていった
橙の夕暮れも透明なカラスも
かつてはその指を知っていた

今は置き去りに ....
移る
ということは
時に哀しい

確かにあると
信じたものが
まるで儚い霞になるようで

移る
ということは
時に嬉しい

身動きがとれないほど
縛られたものから
ふいに解 ....
いくつもの僕のうたのなかに
僕がいる

けれどそれはもう
いまの僕じゃない

僕のたましいは
僕のうたを
うらぎりつづける

そう
僕はいきているのだ






 ....
しばらく海を
見ていない

とうに街には
飽きてしまっているけれど

それにもすっかり
慣れてしまった


誰の笑い顔も
どこかぎこちない

それでも疑うことは
何より疲れ ....
浅瀬のような空でした

私は止まれない魚になり
そして反芻する言葉の中で
現実だけが薄暗く沈んでいきます

ぴしゃりぴしゃりと時間の岸に
私の影が跳ねています

それよりもあなたは
 ....
無数の生き物たちがざわめいている
走りながら{ルビ靡=なび}きながら留まりながら

かつてを振り返ることも無く
いつかを探ることも無く

連続する慌ただしい揺らぎの上に立ち
私は{ルビ空 ....
私が見つめていたいのは
空だけであり

私が見つめられていたいのも
空だけである

その真実が
私から空を遠ざけている
呼吸が緩く渦を巻く
雨の涸れた風の世界

けれど風は
こちらからあちらへ
あちらからこちらへを繰り返し

その先の
どこへも流れない

白を放ち続ける街灯以外の
全ての静けさに横 ....
こんどは

そらだけを

みつめて

いきられる

ものに

なりたい
風の言葉は聴かない
大きな波間に揺られてしまうから

静かに耳を閉じて
心の水底を漂うだけ

哀しみの理由は知らない
日々を馴染ませる湿度のようなものだから

低空で胸を開いて
攫 ....
にちようびが
しゃらしゃらとやってきた

とろとろしてたぼくは
もそもそして
ぽやぽやして
むしゃむしゃして
またとろとろした

それからすこし
かなしいゆめをみたぼくは
めそめ ....
ことばにならないこと
ことばにするから
やさしい

かたちをもたないもの
かたちにするから
たのしい

なんでもあるようで
なんにもないせかいと

なんにもないようで
なんでも ....
雨雲に覆われた街を
切り取る車窓を眺めれば
まるで僕らは
ネガの中を走っているよう

降り出しそうで
{ルビ堪=こら}えるあの空には
あとどれだけの
時間があるのだろう

始まれば ....
そこはまるで
ひとつの街であり
ひとつの物語でした

私はもう誰も居ない
公園のブランコに

キーコキーコ
と揺れていて

さようならの練習ばかりを
しています

あなたには ....
暖かな夕焼けを背負って
私は昨日を歩いている

土手の草陰に置き去りのボールと
空に絡まる電線

川の水は流れているようにも
流れていないようにも見える

背中を温める夕焼けが
実 ....
僕らはさみしい子供だから
間違いだらけの夜更けの中で
雨の音を聴いている

最近雨が好きになったのだと
君は言う

明日も雨が降ればいいねと
僕は言う

壊れたテレビを何度でも
 ....
鍵盤の音を確かめるように
ひとつずつボタンを外していく

育ちすぎた夕暮れが息苦しそうに
僕らの仕草に耳を傾けている

一秒がいつでも一秒ではないように
僕らもまた危ういバランスの中で奏 ....
くるぶしの水位で哀しみが満ちているので

じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ

とっても歩きづらい


どうせなら肩くらいまで浸かっちゃえたら

のんびり平泳ぎでいくのにな
君は鳥が好きですか
僕はどちらでもないです

桜が咲くと嬉しいですか
僕は土手で寝転びます

今日は何か音楽を聴きましたか
僕は鈴木茂を二回かけました

夕ご飯は美味しかったですか
 ....
みどりいろのタネから
ぼくはうまれた

うまれたときから
ぼくにはポケットがあって

そこにはぜんぶが
つまっていたけれど

たいようにこがされたり
あめにしみこまれたり
ほしに ....
夜を急かすように
遠く点滅を続ける塔の先端の赤にも
この街の川は知らん顔で今夜も
静かに月を映している

僕は少し落ち着かず
ひとつの夢を見ることが出来ない

僕はしゃがみ足元の
惑 ....
久しぶりに良く晴れたその日の夕暮れに
私の体温が奪われていく様子を
歩道橋の上から透明なカラスが見ていた

カラスはその向こう側が
全く透けて見えるほどに透明だったけれど
そのカラダの形 ....
いつの間にか夜が短くなった
それに合わせるように私はとても無口になった

いつもの裏通りには
見当違いな質問ばかりが飛び交い
静電気を帯びた優しさが充満している

声を紡ぐ旋律が見つから ....
二月をはじめたばかりの空に私は宿る
人見知りの日差しはまだどこかぎこちない

手放した温もりを眺める視線と
手放された痛みを撫でる記憶

風は中途半端に冷たい

人気のない歩道橋の上の ....
千波 一也さんの松本 涼さんおすすめリスト(74)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
柔らかな手- 松本 涼自由詩708-1-30
プリズムホワイト- 松本 涼自由詩807-12-28
ちいさなかみさま- 松本 涼自由詩1107-12-25
落陽- 松本 涼自由詩707-12-17
白い空- 松本 涼自由詩507-12-9
本日- 松本 涼自由詩607-11-14
指の記憶- 松本 涼自由詩607-10-12
移る- 松本 涼自由詩407-9-24
僕のうた- 松本 涼自由詩607-9-12
夜の遠く- 松本 涼自由詩507-9-5
問いかけ- 松本 涼自由詩807-9-4
生き物- 松本 涼自由詩507-8-21
真実- 松本 涼自由詩607-8-3
静けさ- 松本 涼自由詩207-8-1
こんど- 松本 涼自由詩807-7-27
それだけ- 松本 涼自由詩607-7-23
しゃらしゃら- 松本 涼自由詩707-6-25
ピース- 松本 涼自由詩1107-6-12
ネガ- 松本 涼自由詩1807-6-1
ブランコ- 松本 涼自由詩707-5-12
デッサン- 松本 涼自由詩1307-4-18
さみしい子供- 松本 涼自由詩1607-4-9
夕暮れピアノ- 松本 涼自由詩1007-4-9
水位- 松本 涼自由詩1007-3-26
ところで- 松本 涼自由詩2107-3-15
みどりいろのタネ- 松本 涼自由詩1607-3-13
三月- 松本 涼自由詩707-3-11
透明カラスと夕暮れ- 松本 涼自由詩1007-3-6
短い夜- 松本 涼自由詩807-2-28
二月- 松本 涼自由詩8+07-2-11

Home 次へ
1 2 3 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する