あの人の死
快晴
あの人が死んだ時
私は不思議と
悲しくなかったのです
頭では死というものが理解出来ても
それが心までは伝わってこなかった
まだ
もう二度と話せないという現実
もう二度と笑えないという現実
もう二度と泣けないという現実
現実は現実として受け入れながらも
あの人に化粧をする時
私は少し躊躇った
腐敗を隠す死化粧
もう何も感じないんだね
あの人の葬式を
私は少し退屈だと思ったのです
隣の席の男の子が
落ち着きなく動くのが
とても気になっていたのです
誰もが涙を流しているから
私も泣いたほうがいいのかと思って
泣こうとしたけど
やはり涙は出ませんでした