祭りの夜は雨でした。
カメラを片手に
あなたを探して
緊張を撮影した私
ぼやけた色とりどりの風景に
あなたはいない
溜め息を雨粒がさらってゆきました。
意味の持たない写真達
....
自分が何者なのか
まだ分からなかった頃
なだらかな猫背の丘の上の
手のひらの形をした大木によりかかって
毎日のように雲を眺めていた
飽きもせずに眺めていた
いわしはうろこが剥がれた ....
ひろばにおちてた
そらいろ めがね
めにかさねたら
あめあがりのくもさんが
ぜんぶ ゆがんでる
ひょこっとみえたにじさんも
かいだんみたい
でもね でもね
....
色とりどりの花
匂い
移ろい
ときめき
きらめき
ちょうちょの
黄色が
軽やかに舞う
花のように 電気のように
一回転したぶらんこのように
嘶く牛蛙
はずかしい空に散る
不器用なほど優しい君は
人よりも多く涙を流す
その滴を拭うこともできず
僕は何度も唇を噛み締めた
武装した人々で溢れる町
妥協・諦め・偽り・無関心
履き違えた強さを抱えて
一体何と戦 ....
夕方の上り通勤快速は
降り出した雨を切り裂いて走る
車内は意外に混んでいて
ロングシートは満席で
吊革に片手をぶら下げて
流れる車窓を流れる雨滴を
ぼんやりと眺めていた
雨の駅に ....
深い悲しみを抱き
癒し
眠りに誘い
そして私は
深い悲しみから
解き放たれた吐息を聞きながら
夜の眠りにつく
今夜の献立
・夕焼けと向日葵の背中の煮物
・虹のフライ
・蝉と夏休みの子供の声の和え物
・打水のおつゆ
ごちそうさまでした、と
流しに綺麗な皿が
水に浸さ ....
新聞脳の父と
テレビ脳の母と
YOUTUBE脳の子供が
小さな家に住んでる
すべて借り物
いらなくなれば捨てられてしまう
情報のはかなさ
メディアのくるしさ
家族の双方向性
....
たばこ
それはヒトを好戦的にする
きつえんしゃ
は 非人道的存在だ
でなければ旅先で 略奪などするわけがない
虐殺者の大多数が 愛煙家なわけがない
ああ幼子を傷付けたくない一心で
花火す ....
ガラス張りの冷蔵庫から
ぼんやり眺める街並みは
いつか見た夢のように
とても希薄で
行き過ぎる人影は
照りつける陽射しに
丁寧に舐め回された揚句
溶けかけている
薄いアイス ....
夢を見た
走り続ける夢
人混みを駆け抜け
雨の中を走り
まだ走る
走り続ける夢
いったい私は
どこへ行きたいのか
何になりたいのか
泥に飲み込まれるような疲労 ....
余 熱
そこは
しろい花が咲いていて
緑も若やいで うつくしい
空気は
いつまでも清澄であり
....
そのむこうには
休日がある
わたしたちのための
いったい何を休めばいいのだ
と男が言い
いったい何から開放されるの
と女が言う
お墓の土から生まれた蝉の幼虫が
羽化するの ....
部屋のしくみ
部屋の壁に
エレベーターがある
時々音をたてて
上がったり下がったりしてる
今日は僕の階で
ドアが開いた
まだ誰も乗ってなかった
....
今度またこういうことがあったら
言ったほうがいいのかな?
言わないほうがいいのかな?
と訊いたとき
君はとても嫌な表情を浮かべて
だけど即座にはっきりと
全部言って 必ず全部言って
....
いろいろ書こうと思うのだけれど
どうにもうまく繋がらなくて
言葉は千切れた
そこにはもしかしたら
小さな小さな
だんまりの世界なぞがあって
そこではもしかしたら
だーれもしゃべらない ....
陽炎、それは
記憶のゆがみ
デジャブのような交差点で
わたしが出逢った八月は
語る青い風になり
あなたを連れてきた
視界の輪郭線が溶け、崩れ落ちて
なみだのフィルター越しに
見 ....
アナタハ ダレデスカ
身寄りも帰る場所もなく来る日も河川敷を掘じくる佐久間少年ですか
地球の汚染大気に蝕まれ余命いくばくもないメイツ星人ですか
ふたりきり
河川敷の工場跡で
下水道に住む ....
夢を見ていました
それは鉄道の歌
乗客のざわめき
僕はひとりで
渦巻く雑音の中心で
サンドイッチを食べたのです
夢から覚めると
家のベット
約束の時 ....
080731
なんか単純なのだと
咲いたばかりの花が
赤色の理由を述べる
単純な色なのだと
信じる者は救われるが
足を掬われて
転ぶことも ....
笑顔
寝顔
泣き顔
怒り顔
ふくれっつら
むくれっつら
ションボリ顔‥
てきとうに並べたけど
みんなみんな私の顔
ぜんぶぜんぶ君の顔
いまのところ
おたがいに ....
ピンクのはあと
ピカピカはあと
ドキドキはあと
いろんなはあと。
あおいはあと
きいろいはあと
きみどりはあと
むらさきはあと
とっても すてき
でも
あい ....
080731
7月
おそらくそれは
無理でしょう
声にして言ってみる
ひとりごとのような声が漂って
少し狼狽える
神奈川県横浜市青 ....
てゆーか旅と言ったら死体を探す意味で
凪いだ東京湾の沈んでいるヘドロとか
晴海の奥の草地に放棄されている冷蔵庫の中身に十字架を切る
みたいな
永遠に浮かぶことのない人たちみたく
あ ....
{引用=月夜の{ルビ泡沫=うたかた}
ひらいた辞書に
針をおとす}
夜の端を
そっとめくると
月は
その裏側で
輪郭をにじませる
言の葉は
月影を背負い
蝉時雨の風と
果 ....
虹色の雲を見ている
水気の多い風が肌を撫ぜるから
夏の木陰で光のなかを見る
まぶしいほどの光量が影を真っ黒に染めている
冬の薄闇よりも一層黒いのに
その闇の黒さは目に見えるのに
水 ....
(1)
掛け声と干物の臭いに押し流されるようにして
昼下がりの賑やかさに身を委ねてみる
所狭しと商品の並んだ店先を覗けば
一見かと値踏みする手練の客あしらいに
思わず半歩後ろへ下がりつつ ....
音が耳に飛び込んできた
窓を開けただけですぐ
世界の動きがわかる
工事してビルを造る
飛行機の飛ぶ
車の徐行して走る
子供たちの笑う
烏の飛ぶ
自転車の走る
人々の話す
犬の吠 ....
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