もくれんの
白いたまごが
割れると
たちどころに
小鳥が生まれ
空にむかって
さえずりをはじめる
風が吹けば
はばたく真似事もする
翼は
永遠に無垢なまま
飛び立つことをしないま ....
冬が去ったとは言え
霧に覆われ風にさらされる離島礼文
ようやく萌え始めた草の緑に
きりっとしまった白い袋
鎌倉武士の母衣が花開く
かつては
ニシン漁の男たちが
往来を始める島の ....
もしおなかに
お月さまの赤ちゃんがいたら
おなかはあかあく光るんだろう
もしおなかに
時間がいたら
そこが人類の突端なんだろう
もしおなかに
駅前マッサージが ....
Kとのみ名乗るおとこがいた
足の下の、10インチ四方のみ
そこにKは立っている
立ったまま眠り
一本のペン
一枚の紙切れ
夢を綴った
そこにのみ意味があるかのように
不本意にもKは ....
気まぐれな嵐は
ときおり吹き荒れて
数え切れないほど
散り始める
桜の花びらが
舞い落ちては
ゆったりと流れる
どこかの運河の水面を
どこまでも薄紅色に
染めるように
この春は過ぎ ....
蛇口から
ゆっくりと
こぼれて
おちる
透明で
ふくよかな
水の
躍動よ
掌を
舟 ....
【昼間の星】
こんにちは 昼間の星々
雲の姿は無いというのに、私たちには お互いの姿すら見えない
腐りやすい私たちのこの身体よりも もっと高い深みに
あなたと私の心 ....
―あのね〜、お母さん!
今日ね、お弁当の時間にね、
ちーちゃんが一人で笑い出したの。
だから「どうして笑っているの?」って訊いたら
「分からない」って。
それでもちーち ....
泣いちゃいけないよ
って言わないで
俯いちゃいけないよ
って言わないで
言ってくれないから
泣いている
言ってくれないから
俯いている
雨降りお天気は
きょうもお元気
街に ....
パンジーの隣に
スィートアリッサムを植えようとして
移植ごてを手に
しゃがんでいた
視界をよぎる小さなプリズム
見上げれば
空はどこまでも青く
あたたかくなりましたね
本当 ....
町が痛いの、知らない風が吹いている
出てゆけって聴こえる
おまえの居場所じゃないぞって
いま、一人で泣いてる
死にたい気持ちが少しある
、紫色のスターチスを3本買ったよ
140427
ありふれた幸運
逆様に見えた世界
ありさまと名づけたい日々の光景
踊り狂う姿は若さの象徴なんて
陳腐な台詞を繰り返し吐く訓練に飽き
モダンな都市の郊外 ....
なんにもないから
そらはくもをあつめた
じぶんを青くぬった
そしたらみあげる人がいた
そらは青いって
詩をかく人がいた
そらはいった
おいでよ、おいで
でも、その詩 ....
18歳の君の春は
新しい生活の始まり
知的障害を持ちながらも
厳しい自立を自ら課し
家族と離れ
グループホームで暮らし
工場で働く
そんな君の切実な悩み
恋
そして
性欲
....
横浜の姉に電話する。
料理や家事のことでわからないことがあると
姉にきいてみるのだが。
姉もだんだん逝った母に似て
話が長くなってきつつあるようだ。
煮ると焼くしかない僕のレパートリ ....
「かわいい」
保育園の部屋に初めて入った周を
年長の女の子が、迎えてくれた
「じゃあね」
僕と妻はにこやかに手をふって
若い保育士さんに抱っこされたまま
きょとん、とする周をあずけてか ....
あわれなことに
老残の年配ともなると
過去に偏り 拘り 囚われ
追いかけること 以外 能がなくなるんだょ
こころの足腰に粘り ....
嬉しい嬉しいと動き回って 一時逆子になった君
この前2100グラム 少し大きめと
きっと愛情過多ね 今から親馬鹿ね
嬉しい嬉しいと動き回って そんなに嬉しいの?
同じくらい嬉しいよ
....
木曜日
四月から2.6歳になる娘の保育園がかわる手続き
ってのが理由で昨日仕事を公的に休んでいる
今はなんのわるびれもない
大体ここ(ネット上)に本音とやらがかいてあるというのを信じる宗教観的 ....
春という素性の上に
細いすじがねを
うっかり高く伸ばしてしまった
ふたりは
よりかかりあう
その寸前で
定冠詞のような
小さな花を咲かせている
あなたはわたし
わたしはあなた
....
砂地にのびる
影法師
不機嫌な男みたいに
息苦しくて
湿っぽい
気圧が下がってる
きっと
嵐の前触れだ
....
ポカリ凍らせてきて溶けない
昼下がり
古いテニスコートを占領して
自転車の練習をする女の子
もうずい分上達したようで
ぎこちなくだが転びもせずに
不規則軌道を描いている
ヘルメットを被った人工衛星
昔は誰も被って ....
鳩尾を透過していく
風のライオン
たてがみの感触に
背中が粟立つ
睫毛を蹴って逃げ出す
光のインパラ
ボンネットを飛び移る
逃げ足が眩しい
舗道に投げ出された
影のアミメ ....
手を
引っ張り続けるか
離すかの
あの話の結末
何が正解か知らない
夫婦で
右と左の
正反対の意見の
間にいる
わたしでいることを
どうしても
自分の子ども達に
経験させた ....
絵の具の声が
はじめて油絵具を手にした少女には 聞こえた。
「恥じるな ためらうな チューブから色を ひねりだせ」
開封し、すこしだけ色を出してはみるけれど、ぬっちょりとした色があるだけの
そ ....
水は、万象の旅人
生き物の身体は
彼等の泊まる、仮の宿
水よ
お前が
笑いさざめくのは
春の林床に降り注ぎ
小川を結び、走るとき
お前が
咳き込み ....
ことばに変換できない
内に断層の捲れ上がる感覚
{ルビ穿=うが}たれた二つの池が風もないのに細波立つ
千も万もの透明な手足を生やしては
縋るものもない空の空を
死にもの狂いで掻き毟る
....
私は卵を毎日産む
優秀な鶏
多くの同胞と同じように
一羽ずつ
ケージの中で大切に守られ
整った環境で
健康に育てられ
栄養が 無駄な筋肉や
要らない羽にいかないで
卵のみに集中するよ ....
あまった時間なんてないのにもてあます
反省なんてしたくないから探す/言葉を
文字にすればゆるされるとおもっている
今が過去になると決めている
明日の自分を想像できるけど
少し夢をみる ....
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