重たい鉄兜を被せられた人がいる
気がついた時にはすでにそうだったから
それが自分だと思い込んでいる
ゆらゆら不安定に生きていて
ある日たまたまどちらかに傾くと
それっきり右なら右
左なら左 ....
積乱雲が雨を降らせる。
空が好きだな。雲が好きだな。それを映す
水面が好きだな。言い出したら霧を見つけた。靄も好きだ。
雲の根源は地上に流れる水にある。
葉の裏から出た水蒸気にある。
空が私 ....
それはつややかで
長い眠りを経て
化石が光輝く石になるように
半透明のクリスタルのように濡れて
小さな歯茎から芽を出した
そろそろと目覚め始める頃
歯のない人生にさよなら
歯のあ ....
下を向いていることが なにより好き
下しか見えないから 当たり前
もっと前を見つめて 天を仰ぎみて
大きく羽ばたき
大きく羽ばたき
うん そのあと どうする ....
からっぽの溝に鳥が死んでいた
学校の帰り道
それだけでしょんぼり出来た
世界は知らないうちに壊れていた
世界はこころそのものだった
誰彼かまわず挨拶していた
た ....
すべらかな曲線の感触を
薬指は覚えている
残り香は闇にほどけて
薄らいでいくというのに
互いのささやかな湿度を
夜ごと貪り合った
決して同じではない温度が
夜ごと擦れ違った
....
秋の野原にたんぽぽなんぞが咲いていると
あれ、もう春だったっけ? とぎょっとします。
いや、冗談じゃなく、最近の忘れっぽさには
少し怖いものを感じていますので。
現フォに投稿させていただい ....
恥かしや 後で見つかる 誤字脱字
本になり 修正できず 涙の日
またやった 読みなおしても 見つからず
離乳食
自立の一歩
母さんのおっぱいは
少し寂しくなります
いつまでも
吸血鬼で
可愛い可愛い鬼で
いて欲しいのは
母さんのわがままです
きみは
....
ありのままの
星空よりも
ふんわりと雲のかかった空を見上げ
満天の星空を
想像する方がきれいかもしれない
ありきたりなことだけれども
わたしたちの想像力は
ある種の創造力よりもずっとずっ ....
夏休み最後の日曜日
娘達を連れて出掛けた『ツタンカーメン展』
それまで静かに私の後をついて来ていた下の娘が
王妃の小像の前で時突然口を開い ....
よってたかっての虫達が少なくなった頃を見計らって甘い香りを遠慮もなく振り撒いて
誰を誘惑しているのか
ずるい金木犀だ
俺だって 夏からつきまとわれて 迷惑している女の子達がいて
....
わたしはかなしみに愛されているんだ
と確信した夜があった
抱きしめてください
とわたしは言った
かなしみはそっとわたしの許に降りてきて
降りてきて
隣に寄り添って理由をたずねて ....
シュッと宙に向けて突き出した切っ先が
目に飛び込んできた
暗い展示室にひときわ輝く一振り
研ぎ澄まされた刀身が
強いスポットライトを跳ね返して
銀色の光を放っている
思わず吸い込ま ....
東の空のしたで彼女が孫と祈っている
彼女は自分のために祈ったことがない
だからぼくが代わりに祈り守ってゆく
同じ時間よ
それだけが
欲しかった
同じ空間よ
....
想像してごらん
額に猫を載せて歩いてゆく人を
想像してごらん
通りを横切る犬の大きな糞を
想像してごらん
派手なミニスカートをはいた金持ちの貴婦人を
想像してごらん
パレード ....
{引用=
うつむいてばかりいて、
気づきませんでした
見あげると
すべてを忘れさせてくれる 秋の空がありました
ぬけるような碧の その広がりは
人の小ささを教えてくれるため ....
方向性を定めず水面を揺らす少年少女
アイデンティティーの火花が空をのぼっていくから
頬杖ついた透明な空虚
あくびをしながら眺めればいい
空はなにひとつ言葉をもたない
殴り書きの小 ....
121010
横顔の君はとても綺麗です
チャーミングですと煽てられ
そんなでもないのにねと
悪い気もしないので照れ笑いを隠しながらふり向く ....
うちこわしの時がきた
半径 ところどころ
直径 つきのわ くま
飲み込んだ夜 ゆれ
ツマンダ ページ 落ち
ふてくされて おひまなうぶ
せとものに つまようじ
焼かれていたよな
....
夜の中心に置かれた
玻璃の器の中で
微光を放っているのは
誰にも問われることのなかった
ひとつの答えである
はららごの銀河を撫でる黒い海苔
鳥取砂丘を見ると
頭の中でハミングしてしまう曲がある
{引用=月の沙漠をはるばると
旅のらくだが行きました}
異国の世界を唄った
この童謡が小さい時から好きだった
よく「月の砂漠 ....
旅の途中で
人間という乗り物を選んだ時
わたしは
翼を捨てた
翔ぶ力を失うことと引き換えに
それに見合うだろうと
思える力を
もらったはずだった
後悔はしてないが
時々背中に ....
片足で立っていればぐらぐらする
次の一歩が決まらないから
足の下の景色を
ちゃんとみようとおもった
むかってゆく方向に
風がふけばいいのに
どうしていつも前からふくのだろう
試されて ....
指でなぞる雲
指先から放たれる感覚は
自由自在に空を飛ぶ鳥のよう
ひゅいと懐かしい風が吹く
雲をなぞったように眉毛をなぞり
瞼を閉じれば暖かい光が
残像を呼び起こし ....
いつか何処かで――
あなたに逢った気がする
あなたのお母さんと
歌に生涯を捧げたあなたの思い出を
初めて語り合った日の夜
生前のあなたも来たという
故郷・朝霞にある ....
蒼然古色霜夜の廃城
その回廊を音もなく飛び歩く
惨劇の後の静寂は、ひたと夜闇に寄り添って
風ばかり、眠れる草木をあやしている
石は変わらず乾いてそこに在る
お前は
どのストーンヘンジか ....
母の作る
遠足のお弁当
いつでもそこには
りんごのうさぎ
黄色い躯体に
赤い耳
役に立たない耳の端(は)を
世界に
ぴん、とそばだてて
ああ
君がい ....
何もかも面倒くさいって思ってしまうんだよ
あたま、病んでいてね
もしかしたらそんな理由からじゃない
のかもしれないけれど
三度の食事もサプリで済めばよいのにね
いっそお洋服着る習慣なんて ....
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