今日はどのお部屋をお使いになりますか?
さぁ お好きな鍵をお持ちください
氷山のお部屋で 心を鎮めてください
木漏れ日のお部屋で 心から微笑んでください
情熱のお部屋で 夢を ....
いと白き芍薬
ほの暗き庭園の
井戸の片へに咲きたるは
自死の佳人の佇むか
幾重もの 薄き花弁の匂やかに
滲む花蜜のぬらぬらと なまめかし
目を凝らすだに その薄衣の紅き縁
血の如し
....
学校帰りは抑えていた
わくわくがはしゃぐから
本人達より先走って
二人の影の一方が遊びに誘い
もう片方の影が誘いに乗って
周りの建物の影と一緒に遊びに行く。
夕陽が帰宅時間の陽 ....
午後の体操が始まると
もの忘れのお爺さんは
何かを思い出したように
皆の輪からむくっと立ち上がり
部屋の外へ歩き出した
つきそいながら隣を歩き
途中でソファに腰を下ろして ....
貧しい公園の貧しいベンチで
貧しい僕らが座っていて
コーヒーをひと缶
分け合って飲んで
だけど、愛だけはあるから
寂しくはないよ
お金が入ったら
二人で公営の団地に住もう
そこには ....
引っ掻き傷のような雨に
ふやけていく街の輪郭を
見ているようで見ていない
雨のまにまに
彼女の打算
蒸留水のような嘘が
グラスのふちを伝うのを
見ていないようで見てしまう
雨の ....
天も地も
親しみあう闇
眠りも覚醒も
溶けあう夜更け
空と森と土たちの
交わる全体性
流れるように
循環する
暗黒の空の下
森の樹々は眼を閉じている
樹々の足元で
....
良かった とたくさん書いてある手紙
挫折した私にあてた 亡き先生の言葉
都会の勤めを一年で辞め地元に再就職した
仕事を覚えたての私に
あなたの事だから きっと会社の利益になる
早く決 ....
見つめ合うこともなく
言葉を交わし合うこともなく
唯体温を感じる距離で
お互いを認識している
肌が触れ合うことに
どんな意味があるのか
きっと答えは無いのだろう
そこに在るというだけ ....
要するに
しっぽ
なんだと思う
ブロック塀を
渡る猫が
しっぽ
ぴん、と
アンテナ立てて
バランスをとる
そろりそろり
それでいて
悠然として
しっぽ
うっかり落 ....
プラスチックに入れられた 三個のタイヤキ。
自転車で しゃかしゃか走るのに一所懸命で
折り重なって 上蓋を圧迫ぎみの危険に気を配れない。
赤くて細い 一本の輪ゴムに運命を託す。
....
1
小糠雨の止む
午前十時の
霧起つ街路では
弱い日光を
全身に溜めた
雨粒が
エレジーとともに
消える
無色透明の中の
一筋の色ガラス
たちの群れ
粒子のように渡 ....
この先は川でいきどまりのはずなのに…
帰ってゆくオランウータン
帰ってゆくパンダコパンダ
帰ってゆくオットセイ
帰ってゆくコアラ
じてんしゃにのって
はた ....
梅雨前線
低気圧
湿って
じとじと
一日中の雨
太陽光はなく
昼でも
薄暗い北の部屋
聞こえるのは
雨だれの
音ばかり
寒いのに
蒸し暑く
頭を置いた ....
信号無視するあなたが好き
駆けることもなく悠々と
赤いランプの意味をかき消して
あなたはそんなあなた自身が大好き
私よりも家族よりも誰よりも
孤独の壁はそびえ立ち いつまでも近づけな ....
雨が濡らす新緑の並木道
歩道を楽しげに歩く老婆と中年の女性
一つ傘の下まるで恋人のように腕を組み
女性は老婆の顔をのぞき
満面の笑みを浮かべて話しかけ
老婆は斜め上、女性の顔を見つめ
ニコ ....
薄紫の
花を
目が食べ
目覚めたとき
その直後も
草を食むように
咀嚼しつづける
夢見の歯車
ふと遠い日のすももの果実
熟れて柔らかに割れ
したたって染みる
濃い赤紫 ....
110601
パールホワイトの大型車なんかが走っているのは
我が国だけだろう
西欧人からは
なんという非常識な色だと言われそう
新型のフォルクス ....
{引用=モンキーズ・ダイジェスト}
エステティックサロン ビッチクラフト代表 竹野ユメ講演
「美の魔術師と呼ばれて」より抜粋
(略)体内物 ....
3000年ぶりに
蓮の華が開いた
泥の池の中で
世界は変わる
天恵は再び
人類の上に
取り戻され
魂の交信が
すべての地の上で
復活する
神が降臨する
金色の光を伴って
長い黄 ....
なにもかもが縺れた朝に
六月が
しくしくと雨を浴び
痛い痛いとさけんでいる
犯罪者もペテン師も
愛しきも憎きも
背に負って
痛い痛 ....
{引用=モンキーズ・ダイジェスト}
故・鳥丸孫一郎氏回想録「わが温故知新」より抜粋
ここはメタセコイアの群生する山の深奥。遥か下方のせせらぎを木立
の虚ろと鳥の囀りの ....
『おや 気がつかれましたか。』
「はぁ。」
『まだ眠っててもかまいませんよ。』
「はぁ ん〜 とても長いエスカレーターですね。 」
『そうですね。』
「先が見えない。 ....
ただ 紺 としか言いようのない色の
ベニヤのようなうすっぺらい壁面の上に
サビだらけのトタン屋根がふわりと乗っけられている
建物そのものが 甘く針金で結わえられて
地球の上に ふわりと ....
ホッテントット族が眠たくなって
だらんと垂れているところを
ピグミー族が短い脚を伸ばして
落ちないよう引っ張っている
夜中の十二時半のいびき
その反対側では
バスッケト選手のアメリ ....
スプーンのお腹は 唇の熱を一瞬奪う。
離して写れば 魚眼レンズなお米顔
花柄の柄を掴んで 口に入れちゃう。
スプーンはテレビと違って
私を これ以上小さくすることはできない。
小さく ....
何処の世界へ行きたいですか?
花がたくさん咲いてる世界ですか?
笑みが溢れる世界ですか?
愛される世界ですか?
本当に行ってみたい世界は?
行ってみたいのは 差別のない世界
行って ....
{引用=
鴉の眼に宿る一閃の煌きが人々にとっては畏怖でしかなくとも
夕暮れに戻った巣の中では献身的な愛を育む母鳥であるかもしれない
そう言ったおまえのイメージからははっきりと
精巧な素描の上に ....
僕の
指で
嘔吐する
君の
口内から吐き出される
言葉、言葉、言葉は
キラキラと
美しい
夜の
露の
ネオンの
輝きの
眩しい
現実
夜風が
気持ちいい
夜だ
....
長い睫毛の目をくりくりと
人見知りも見せずお話してくれました
独学で成るレゴのヘリコプターと
黒マジックで見事に塗装し直したセダンと
救急車の工程中も見せてくれました
東京ばなながヒットして ....
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